文化講座
のし・水引
日本的な贈答は、のし、水引を使いますのでその由来や使いわけを考えてみましょう。
のしの由来
日本は古代から魚介類を尊ぶ風習があり、神様に供えたり、贈り物として使う習慣がありました。なかでも「あわび」は高価なものとして喜ばれ、やがて魚介類以外の品を贈るようになり、「本来ならば最高級のあわびを差し上げるところですが、それに代えて」という意味で「のしあわび」を進物のしるしとして添えるようになりました。
あわびの肉を長く伸ばし、紙に包んだものがのしあわびです。延命に通じ、長生不死の薬といわれ、めでたい儀式や武士の出陣には必ず添えられたといわれます。
このようにのしは、伸ばす(延ばす)の意味に通じ、縁を延ばす、喜びごとを延ばす、続ける、命を延ばすということになります。従って、のしは慶事のときに使います。
のしの種類
◇ あわびのし | − | 正式 |
◇ わらびのし | − | 略式 |
◇ 松葉のし | − | おしゃれ用 |
あわびのし | わらびのし | 松葉のし |
水引の由来
紙に縒(ヨリ)をかけ、のりで固めて色をつけたものが「水引」です。もとは連歌紙をとじるために使われたので、束ねる 意味がありますが、水引という言葉が示すように、水はすべての汚れ物を清め、水が引いたあとはすがすがしく清らかになりますので、清らかな品を贈るという 意味もあります。
水引の色
◇ 金銀、赤白 | − | 慶事 |
◇ 黒白、銀一色、黄白 | − | 弔事 |
金銀 | 赤白 | |
黒白 | 銀一色 | 黄白 |
水引の結び
◇ 結びきり | − | 格調高い結び方、結婚、弔事のように1度きりのときに使います。 |
◇ 蝶結び | − | 幾度あってもよい喜びごとに使います。 |
◇ あわび結び | − | 結びきりの変形、使い方は結びきりと同じ。 |
結びきり | 蝶結び | あわび結び |
まとめ
市販されている品を見ますと、のし、水引の形、色、結びなど現代風なものが様々ありますが、紙の色は白が
格調高く、のし、水引の由来などを考え、贈る相手や目的によって選びたいものです。