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マナー美人になろう

郷土料理研究家
栄中日文化センター提携 インターティアラ・お料理サロン 主宰
伊藤 華づ枝

日本料理のマナー ③

テーブルマナーとは、決して難しいことではありません。
周りの人や共にお食事する人に迷惑や不快感を与えることなく、楽しい食事時間をすごし、親交を深めるための「思いやり」と言ってもよいでしょう。
マナーを身につけることによって、自信を持ち、美しい姿で食事をすすめることができます。
さぁ、ご一緒に、マナー美人を目指しましょう。

今月は日本料理のいただき方の最終回です。




日本料理の形式~会席料理と懐石料理の違い~
会席料理 通常の宴会などで出される料理です。
懐石料理 本来は茶会で茶を出す前に、空腹をいやす程度に出された軽食のことです。最近は、高級日本料理を指す場合が多いようです。
精進料理 寺院の料理のことで、元々は僧侶の食事です。現在は"身を清める食事"として法事などの席で食べられるもので、野菜料理というイメージがあります。

1.会席料理
会 席料理では、酒を楽しむために、ご飯と汁は最後に出されます。料理は一品ずつ出される場合や、吸い物や蒸し物などの温かい料理だけを後から出す場合など様 々。基本は「一汁三菜」と呼ばれる吸い物、刺身、煮物、焼き物。これに品数を増やし、「一汁五菜」「二汁七菜」とした献立もあります。
懐石料理では最初からご飯と汁が出ます。

①日本料理店や料亭へ入店する  
靴を脱いで上がる場合は、美しい身のこなしを心掛けること。
座敷に上がることを考慮して、ブーツなどは控えたほうが無難でしょう。ボディコンシャスなものやタイトスカート、丈の短いものは正座には向かないので注意 しましょう。ストッキングも伝線していないかを確認し、万が一のことを考えて、替えの予備を用意しておくとよいでしょう。

②入室する
招待を受けた場合は、和室に入ったら下座側で畳の上に正座して挨拶を。その際、畳のへりや敷居は踏まないように注意します。

③席の着き方  
【床の間のある場合】
床の間のある側が上座、出入り口に近いほうが下座となります。
【床の間のない場合】
床の間のない場合や、床の間の横に出入り口がある場合などは、出入り口から最も遠い奥の席が上座と覚えておけば間違いがないでしょう。

<床の間のある場合>

<床の間のない場合>

④座布団の座り方
(1) 座布団はすすめられてから座りましょう。その際、主賓、目上の人がいる場合はあとに座るようにします。軽く握った両手を座布団につき、体を支えながら、ひじを滑らせるようにしてにじり寄ります。
(2) 座布団の中央で膝を揃えて正座します。背筋はしっかり伸ばして重心を足の付け根あたりに置くと美しく見えます。
【座布団のタブー】
食事中に足がしびれてきたら、だらしない人、行儀のわるい人と思われないよう、同席者に一言「足をくずしてもよろしいですか」と断ってからにしましょう。
座布団は決して踏まないこと。
膝をつくときは両手をついてすべるように膝を動かすこと。膝だけで歩くことは美しくありません。
裏返したり、引き寄せたりしないこと。

⑤一般的な注意点  
日本料理の食卓は西洋料理と違い、テーブルナプキンがありません。お茶の席の時だけではなく、日頃から懐紙を用意して出かけると便利です。
~懐紙の使い方~  
つまみにくいものを箸で持ったとき、懐紙を添えます。また、醤油やつゆのたれそうな場合の受け皿代わりに使います。
口元のよごれや器、椀についた口紅などをそっと拭き取ります。
箸の先が汚れて見苦しいときに拭きます。


⑥嫌いな食べ物が出されたとき  
食べかけたものはできるだけ残さないよう、嫌いなものは初めから箸をつけないようにします。箸をつけて食べきれないときは、懐紙に包んで持ち帰ります。

⑦お酒の注ぎ方  
(ア) 徳利(とっくり)の中ほどを右手で持ち、左手を軽く添えて注ぎます。
注ぎ口のない徳利は、正面(絵柄があるところ)を上にします。
(イ) (イ) 徳利をそっと傾け、少しずつ注ぎます。
徳利の口先が杯(さかずき)に触れないように注意しましょう。
注ぎ終わる直前に徳利の口先を手前に回すと、しずくが垂れません
 ×  掌を天井に向けて注ぐことは逆注ぎ(さかつぎ)といって、相手に失礼になります。
手の甲が上を向くように注ぐのが正しい注ぎ方です。

⑧お酒の受け方  
(ウ) 杯を右手で持って左手を添えて受けるようにしましょう。
一般的に和食料亭などでの宴席では、1杯目の酒は係りの方が回って注いでくれます。
(エ) 酒が注がれたら、いったん膳の上に置き、全員に注ぎ終わるのを待ち乾杯します。
(オ) 乾杯が終わったらお互いに杯のやりとりになります。

お酒を注いでもらったときは、一度口を付けてからテーブルに置くのがマナーです。
注いでもらってすぐ置くことは失礼です。
【座布団のタブー】
食事中に足がしびれてきたら、だらしない人、行儀のわるい人と思われないよう、同席者に一言「足をくずしてもよろしいですか」と断ってからにしましょう。
再びお酌を受けるときは、盃に残っているお酒を飲み干してから受けます。
この時、杯に残っているお酒を他の容器に空けたり、捨てたりするのは良くありません。
杯をテーブルに置いたままお酌を受けることや、置かれた盃にお酒を注ぐことは「置き注ぎ」といって、失礼に当たります。お酌をするときや、されるときは必ず盃を手に持って受けましょう。
<<お酒を断るとき>>  
飲めないときは断ります。軽く会釈をして断るのが無難です。また、ちょっと杯に口を付けて置いたままにして、杯を空にしないのも一つの方法です。

2.抹茶と煎茶の頂き方

懐石料理が出される店では、抹茶が献立に含まれます。煎茶や番茶、ほうじ茶とは飲み方が異なるので覚えておくと良いでしょう。

一般にお茶が出る前にお菓子がすすめられます。先にお菓子を食べてからお茶を飲むのが決まりです。
銘々皿にのって出された場合は、黒文字(菓子に添えて出す楊枝)などで一口大に菓子を切り、食べるときには皿を胸元まで持ち上げて食べましょう。干菓子は手でつまんで食べます。

<抹茶の頂き方>  
茶碗は右手で取り上げ、左の手のひらにのせて右手を添えます。
碗の正面を手前に持ち、右手で静かに時計回りに四分の一ほど回します。(正面の模様は左真横くらいになる)
抹茶は三口半くらいで飲みきり、飲み終わったら懐紙か、手の親指と人差し指で口をつけたところを拭います。
茶碗を逆時計方向に回し、正面を元に戻したら、右手で静かに自分の前に茶碗を置きます。

<茶席の心構え>
お 茶の心得のない場合、つい出席を渋ってしまいますが、楽しいひと時を過ごし、心を通わせることが目的なのですから、あまりむずかしく考えず、先方のおもて なしを気持ちよく受けるようにするのがよいでしょう。不安な場合は「心得がございませんが」などと、あらかじめ断っておくと安心です。
茶室に入ったら、茶の道具や床の間の掛け軸、季節の花などを観賞するのも必要な礼儀。
同席者がいる場合は、次席の人に「お先に頂戴いたします」と断ってから頂くと良いでしょう。

<煎茶の頂き方>  
煎茶茶碗で、茶托にのせて出されるのが一般的。茶托を片手で持ったり、引きずったりしないよう、必ず両手で持ちましょう。
お茶を飲むときは、左手を茶碗の糸底に当てて口元に運ぶと上品に見えて美しいでしょう。
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