愛知県共済

インターネット公開文化講座

文化講座

インターネット公開文化講座

発酵食品の魅力にせまる

郷土料理研究家
栄中日文化センター提携 インターティアラ・お料理サロン 主宰
伊藤 華づ枝

第6回:各論(その5)~納豆~

 前シリーズでは「みんなの幸せレシピ」と題し、(1)初めての1人暮らしごはん、(2)パパッと2人ごはん、(3)一緒に作れる!KIDSごはんの3つのジャンルに分けて、みんなが幸せになれるレシピをご紹介しました。今シリーズでは、代表的な発酵食品を毎月順番に取り上げ、その特徴や健康効果、おすすめの料理をご紹介しています。

 第6回目の今月は、「納豆」

新年あけましておめでとうございます。
新しい年を一層発展させたいと、願いを込めて初詣をされた方も多いことと思います。
先行きの見えない厳しい時代だからこそ、健康に留意し粘り強く努力して良い一年にしたいものです。
さて、粘り強く努力するためにも、昔から「精が尽きたら粘りのもの」を食べると良いとされてきました。そこで今月は、粘りものの代表食材「納豆」を取り上げます。炊きたて熱々のご飯にネバネバ納豆を乗せて食べ、粘り強い元気ハツラツの一年としたいものです。

★納豆とは

大豆を納豆菌によって発酵させて作る、日本の伝統発酵食品です。
今は通年食べられていますが、もともとの旬は納豆菌が活発に働く冬でした。

大豆は収獲後しばらくおくと余分な水分がとんで程良く引き締まり甘みが増すことから、冬から春先に作られた納豆がおいしいとされています。

<納豆の歴史>

納豆の歴史には謎が多く諸説ありますが、いずれも煮豆がワラに触れたことで発酵し、偶然出来上がったとされています。
江戸時代には庶民の間で広く食べられるようになり、この頃から現代の日本の家庭でも多く見られるご飯、納豆、みそ汁という朝食の形が定着しました。

<納豆の語源>

納豆の語源は、僧侶が寺院で出納事務を行う「納所(なっしょ)」で作られたのがはじまりで、「納所豆」と呼ばれ、それが段々と言葉がなまり「納豆」となったと言われています。
僧侶は肉禁制であった為、大豆は貴重なタンパク源としてよく食されていました。

<納豆の種類と特徴>

納豆は大きく2つの種類に分けられます。

■糸引き納豆

納豆は一般的に「糸引き納豆」のことを指します。


「糸引き納豆」の中でもさらに3つに分類されます。

  1. 通常広く食べられている「丸大豆納豆」
  2. 大豆を炒ってからひいて作る「ひき割り納豆」
  3. 糸引き納豆に米麹と塩を加えてさらに熟成させた「五斗納豆」

最近はワラに入ったもの(写真左)はあまり見かけなくなり、1食分ずつパックやカップに入ったもの(写真右)が主流です。
大粒や小粒、黒豆など、大豆の種類も商品によって様々。
納豆を干してカリカリにした干し納豆(写真左手前)は、匂いが少なく手軽に食べられるため、おつまみやおやつにも人気です。

■塩辛納豆(寺納豆ともいう)

煮た大豆を麹発酵させ、塩水を加えて6~12ヵ月ほど熟成させます。
中国では「豆鼓(とうち)」と呼ばれ、日本ではかつて寺院で盛んに生産されたことから「寺納豆」とも呼ばれています。
京都の「大徳寺納豆」、静岡県浜名湖の「浜納豆」などがあります。


毎年2月には、全国の納豆生産者の組織である全国納豆協同組合連合会が主催する「納豆鑑評会」が行われています。
色、形、におい、糸引き、味などを総合的に審査し、日本一(農林水産大臣賞)の納豆が選ばれます。
私も数年前、審査員としてこの鑑評会に出席しました。
テレビ取材もあり「口の中がクモの巣状態です!」と発言してしまった程、数々の納豆を試食しました。
さすがに全国から集まった選りすぐりの納豆ばかりで甲乙つけにくかったのですが、毎年トップ級に選ばれるメーカーのものは格段においしかったことを記憶しています。

<納豆と健康>

納豆の原料である大豆は「畑の牛肉」と呼ばれ、たんぱく質を豊富に含みます。
さらに納豆は発酵によって原料の大豆にはない有効成分が産まれ、不老長寿の食品と言われるほど、栄養価が高い食品です。

〈納豆に含まれる主な栄養素〉

  • ★イソフラボン・・免疫力を高め、ホルモンを正常化させます
  • ★サポニン・・活性酵素の抑制や血栓予防効果があります
  • ★ナットウキナーゼ・・ねばねばに含まれる酵素で、強い血栓溶解力があるため、血液をサラサラにします
  • ★納豆菌・・腸内環境を整えて整腸作用や美肌効果、風邪予防も期待出来ます
    腸内で日本人が唯一不足している栄養素・カルシウムの吸収を助けるビタミンKも作ります

他にも疲労回復や美容効果のあるビタミンB郡やカルシウムなどのミネラル、食物繊維なども豊富です。

<納豆にあういろいろな薬味>

日によって、お好みの薬味を入れて楽しんでみて下さい。
写真左から右回りに卵・かつおぶし・ごま・のり・おろし大根・ねぎ・辛子・柚子こしょう・キムチ


<納豆を使ったおすすめ料理2品>

納豆とれんこんのひとくちお好み焼き

納豆とれんこんで、ふわふわもっちり食感が楽しい

エネルギー42kcal、タンパク質2.0g、脂質1.5g、塩分0.8g(1枚分)
材料 小8枚分
れんこん 100g
大和芋 50g
納豆 1パック(45g)
 
A  
小さじ1/4
大さじ1
※お好み焼きセット  
紅しょうが(粗く刻む) 大さじ1/2
天かす 大さじ1
かつおだし 大さじ2
しょうゆ 少々
 
サラダ油 適宜
しょうゆ 大さじ1
※お好み焼きセット  
花かつお 適宜
青のり 適宜

作り方

  1. れんこんは半量を粗みじん切り、残りはすりおろします。
  2. 大和芋はすりおろします。
  3. 納豆は粗くたたきます。
  4. 1.~3.と(A)をボウルに入れ、混ぜ合わせます。
  5. フライパンに油を敷いて4.を落とし、小さめの薄い丸型に成形して焼きます。
  6. 器に盛り、しょうゆを塗って花かつおと青のりを振り、召し上がります。
エビの豆鼓炒め

塩辛納豆の旨みで料理の美味しさアップ

エネルギー405kcal、タンパク質21.6g、脂質21.6g、塩分2.1g(1人分)
材料 4人分
むきエビ 300g
小さじ1/3
白こしょう 少々
片栗粉 大さじ1・1/2
 
(A)  
小麦粉 90g
100ml
ベーキングパウダー 小さじ1/3
 
卵白 2コ分
揚げ油 適宜
エビを揚げた油(又はサラダ油) 大さじ2
にんにく(みじん切り) 小さじ1/3
赤唐辛子(みじん切り) 1・1/2本分
塩辛納豆(豆鼓・みじん切り) 大さじ2強(18g)
ねぎ(みじん切り) 80g
 
(B)  
しょうゆ 大さじ1弱
紹興酒(又は酒) 大さじ1・1/2
砂糖 少々

作り方

  1. エビは背ワタを取って水で洗い、キッチンペーパーで水気を拭き取ります。
  2. ボウルに1.を入れ、塩と白こしょう、片栗粉を入れてもみ込みます。
  3. (A)をよく混ぜ、泡立てた卵白を入れ、さっくりと混ぜ合わせます。
  4. 2.に3.を付け、ふんわりと揚げます。
  5. フライパンに4.の揚げ油を入れ、にんにくと唐辛子をゆっくり炒めて香りを出し、塩辛納豆を加えてから、ねぎと4.を入れ、サッと炒めます。
  6. 5.に混ぜ合わせた(B)を回し入れ、手早く仕上げます。
  7. 器に6.を盛り合わせます。

※写真にはベビーリーフやブロッコリー、オレンジを添えました

発酵食品の魅力にせまる
このページの一番上へ