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やきもののやさしい鑑定

日本骨董学院・学院長
東洋陶磁学会・会員
日本古美術保存協会・専務理事 細矢 隆男

縄文土器・弥生土器

古陶磁器の鑑定というと普通とても難しいことをしているように思われますが、基本的には「古いもの」か「新しいもの」かがわかればほぼ判定できます。あとはどこの焼き物か、すなはち産地と詳細な制作された時代判定の問題になります。そこにプロの間での価格、売値と買値がわかると「鑑定」したということになります。

ここではまず最も大切な要件である古いか新しいかについて縄文土器・弥生土器について見てゆきましょう。

時代を鑑定することは焼き物の鑑定で一番重要なポイントです。先に述べたように、古いものか、新しいものか、単純にそのことがわかるだけで本物か贋物か、ある程度わかります。人間も青年の肌と老人の肌が違うように、作品にも新しいか古いかによって幾つかの違いがあります。

その前に「焼き物」には「4種類」の区分がありますので、ここで是非それを覚えてください。
1 土器   焚き火のような中で、500度から700度の低温で焼かれたもの。
2 焼き締め 1000度位の温度で焼かれた素焼きの焼き物。固く焼き締められている。
3 陶器   窯の中で約850度以上で焼かれたやきもの。釉薬が掛けられている。
4 磁器   磁石(カオリン)から作られた原料を轆轤で成型して、1350度の高温で焼いた硬質・白色の釉薬が掛けられている美しい焼き物。

それでは、まず第一に縄文土器・弥生土器にあらわれやすい特徴について述べます。これは千年以上、土の中に埋まっていた作品に顕著な事例です。

この1番目の土器の鑑定ポイントをお教えしましょう。昔から縄文土器、弥生土器にも贋作があって、プロでさえも判断に迷うことがあります。通常、土器は「臭い」をかいでも特に何も臭いません。しかしもともと縄文土器などは何千年も土の中にあったものですから、土がボロボロになってますし、もろいものです。なぜもろいのでしょうか。それはどのようなものでも、土の中に何千年も埋まっていると、変化が生じます。これを「経年変化」といいます。縄文・弥生土器は見るからにもろく、実際に大変もろいものですが、その土器が長年土中にあってもろくなると、埋まっている土の成分を吸収して、次第に同化してゆきます。そこでその土器が古い作品でしたら、一部に少しの水を含ませてやり、においをかぎますと強烈な土臭がします。この土臭がしましたら本物です。最近作られた縄文土器や弥生土器は、焼かれたあと時間が経過していませんから、土臭がしません。これがもっとも簡単で間違いない方法です。

ただ皆さんが骨董店や骨董市で、むやみに水を含ませて土臭を確認することは難しいでしょう。作品をご覧になって、値段交渉も終わり、さて最終的に買うかどうかというときに、このことをお店の方に許しを得て、というよりそれをして納得したら買いますということを伝えて、それからやってみてください。もしそれを拒否されたらお買いになることは控えた方が良いかと思います。

この練習は、縄文土器片でやってみてください。縄文土器片は骨董市などで小さいものでしたら数百円から千円程度で売ってますので練習には一番いいでしょう。


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