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家族で楽しむ里山術

里山研究家 吉澤 守(ヨシザワマモル)

ゆとりの心

"ゆとり"という言葉が、社会的に大きく取り上げられるようになってきています。経済のグローバル化の中で、世界中のどの国にも忙しい日常があるものですが、欧米の国々にはバカンスなどの長期休暇が定着しているために、日頃の家族のコミュニケーション不足を補うチャンスがあります。
いつの日か日本でも長期休暇が当たり前な時代が到来するかもしれませんが、現実としてはまだ課題の中です。

それでも、"ゆとり"という言葉が一種の流行語のように言われ続けているということは、これまでは忙しさをある種の美徳としてきた意識が、違う方向に変化してきているという現状を物語っているのではないでしょうか。

私は、月に一度は家族が揃って過ごせる日を持つことを奨めてきました。特に、中学生位までのお子さんがいる子育て中の家族には、その月イチの時間が、どれ程有意義な価値を持つかということを、あらゆる機会を通じて訴えてきました。
そして、お弁当を食べて帰ってくるだけでもいいですから、できることならその時間を自然というフィールドへ飛び出してみてはいかがでしょうか、と言い続けてきました。

その後、平成の時代に入ってアウトドア志向が高まり、ファミリーキャンピングというそれまでの日本には無かった新しい傾向の家族旅行が始まっていきました。
その頃盛んに言われていたことは「もし学校が毎週土日休みになれば、一年中子供たちを自然の中に連れ出して、家族がゆとりを持って休日を過ごすことができるのに」ということでした。そして、それが平成14年の今年になって実現しましたが、当時ブームだったアウトドアへの熱は今ではだいぶ冷めてきて、あんなに賑わっていたキャンプ場も今では閑散としています。
キャンピングといえばバーベキューという画一化した考え方が、自然に親しみたいと願う子供さんたちにすっかり飽きられてしまった結果ではないかと考えています。

今、学校では、"ゆとりの学習"ということをテーマとした総合学習に取り組まれています。総合学習とは、いわば教科書の無い勉強のことで、子供たちが主体となって筋書きの無い授業が展開されています。そして、その多くが身近な自然をテーマとした環境学習であると聞いています。
私も2〜3の学校の総合学習をお手伝いしながら、自然の中にいる子供さんたちの顔は、昔の子と同じように素直であることを実感しています。

長い間、ご高覧いただきありがとうございました。 −完−

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