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家族で楽しむ里山術

里山研究家 吉澤 守(ヨシザワマモル)

里山へファミリードライブ

たまには、家族そろってドライブへ出かけてみませんか、お弁当を持って。行き先は、自然がいっぱいの里山です。大きな道から分かれてどんどん奥へ入り込むと、道がだんだんと細くなって、家々も点々としてきます。少し高台の見晴らしの良いところに出ると、のどかな牧歌的な風景と遠くの山並みが一望できるでしょう。しばらくの間、車の外に出てその眺めを楽しんでみましょう。

のんびりとした気分で、ゆっくり流れる時間を過ごすことが、里山を楽しむコツです。「はやく、はやく」と子供さんを急かしたり、車から降りてもすぐに車に乗り込んで出発するようなことはしないで、遠くの景色をゆっくりと眺めたら、今度は近くに目を移して、観察するように近くをよく見てみましょう。
子供さんの目線はお父さんやお母さんよりずっと低いですから、大人の目に触れないものが興味の対象となることがしばしばあります。子供さんが何かを発見したら、一緒にそれを話題にしてあげて、知っていることは教えてあげて、知らないことは一緒に考えたりすることが大切です。
野外図鑑などを持参して、一緒に調べてみましょう。そうやって何か一つの物事を、親子が同時に理解しあえた瞬間があったとしたら、それは、家庭の団欒とはまた違う上質な家族の触れ合いとなるでしょう。

ちょっとした小川の流れを見つけたら、その脇にシートを敷いて、お弁当の時間です。外で食べるお弁当は、いつの時でもおいしいものです。家では食べ残す子供さんも、今日は大食いに変身です。
デザートを食べ終わり、いつの間にかお母さんが、シートでうたた寝をはじめました。子供さんたちは、お父さんと小川におりていき、魚を手掴みする遊びを教わります。子供さんたちは服がズブ濡れになるのも気にせず夢中で魚を採ろうとしますが、なかなか上手くいきません。お父さんがコツを伝授して、やっと一匹の小さな魚をゲットしました。その体験だけでも、子供さんの里山の一日は、大感激の一日になります。
車に乗り込んで、田園や林道の中をしばらく走らせて帰路につきます。後部座席にいた子供さんたちは、疲れたのかぐっすり眠ってしまい、真っ赤な夕焼けの中、大きな太陽が山並みに沈んでいくのを見ることはありませんでした。

家族で里山を楽しみながら、自然の中で過ごす時間を子供さんに体験させる場合、親の思考で見つけた場所や過ごし方を強制しても、子供さんはあまり共鳴してくれないかもしれません。子供さんは押しつけをあまり好まないからです。
まずは、ドライブをしながら徐々に慣らしをしていくと、かえって子供さんの方が"大の里山ファン"になるものです。

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