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『食育』をはじめましょう

郷土料理研究家
栄中日文化センター提携 インターティアラ・お料理サロン 主宰
伊藤 華づ枝

かしこく受験を乗り切るレシピ ~頭の良い子は、こういうものを食べている~

今もっとも注目されている「食育」。しかし、「食育ってなに?」とあまり深く知らない人も多いようです。
そんな人々のために、今シリーズは「食育」をとりあげました。
「高齢者のための食事とは」、「働き盛りの人のための食事とは」、「幼児のための食事とは」、「よく噛むことの大切さ」、「カルシウムの大切さ」など、基本的な知識と最適レシピを12回テーマでわかりやすくご紹介しています。

第7回目のテーマは「かしこく受験を乗り切るレシピ ~頭の良い子は、こういうものを食べている~」。
受験生にとって何よりも大切なことは、受験当日まで健康な体を維持し、万全の体調で受験に臨むようにすることです。そのために必要なこととは・・・今回は頭を良くするレシピとともにご紹介します。



1. 受験生に大切な栄養素と食品

受験生の食事で最も重要なことは、栄養バランスのとれた食事をとることですが、記憶力・集中力・創造力を高めるために、脳が充分に働いてくれる栄養素をとり、勉強の効率をアップさせることも大切です。

★糖質(デンプンやブドウ糖)
  血糖値を上げ、脳のエネルギー代謝を高めて脳の働きを活発にします

<糖質を多く含む食品>
穀類(ご飯・パン・めん・芋類) など *デンプンは消化吸収されてブドウ糖になります

★たんぱく質(アミノ酸)
  脳の細胞の働きを活発にし、頭の回転を良くします

<たんぱく質を多く含む食品>
魚類・肉類・大豆・大豆製品(豆腐・納豆など)・牛乳・卵 など

★カルシウム
  集中力を高める働きがあります
精神を安定させ、イライラを減少させるためにも大切な栄養素です


<カルシウムを多く含む食品>
牛乳・乳製品(ヨーグルト・チーズなど)・海藻(ひじき・わかめなど)、小魚(しらす干し・シシャモなど)・大豆・大豆製品・緑黄色野菜(小松菜・ほうれん草など)
*海藻は海の緑黄色野菜と言われ、ビタミン、ミネラルの宝庫です

★レシチン(脂質の一種)
  脳の働きを活発にし、記憶力を高めます

<レシチンを多く含む食品>
大豆・卵黄・くるみ・ピーナッツ・ごま・油・レバー・ウナギ など

★ビタミン類
  脳の活動全体を調整し、活性化します
特にビタミンB群やビタミンC、Eは脳の活動をスムーズにするために大切です


<ビタミンB群を多く含む食品>
豆類・胚芽米・強化米・豚肉・レバー・卵黄・牛乳・チーズ など

 
*ビタミンB群の不足は倦怠感、疲労感、眠気、憂鬱やストレスなど、精神的にも肉体的にも悪影響を及ぼします。そして、ストレスが多くなるほど、ビタミンB1の消費が激しくなります。
受験生にとってビタミンB群は重要な栄養素といえるでしょう。

<ビタミンCを多く含む食品>
新鮮な野菜・果物・さつまいも・じゃがいも など

<ビタミンEを多く含む食品>
緑黄色野菜・魚類(イワシ、サバ、サンマ)・大豆・大豆製品・胚芽米 など
 
 


2. 頭を良くする魚の話

健康に関する書物やマスコミで度々取り上げられている"DHA"。この"DHA"がなぜ頭を良くすると言われているのかご存知でしょうか?

DHAとは... 正式名称は「ドコサヘキサエン酸」。
青魚などの脂肪に多く含まれている不飽和脂肪酸の一種です。
脳の記憶学習中枢を構成する物質のひとつで、脳細胞の働きを活発にし、記憶力を高めます。

DHAが多く含まれる食材:マグロ・ブリ・イワシ・サバ・カツオなどの魚類

DHAは脳や神経組織の発育に重要な役割を果たす大切な栄養素ですが、身体の中で作り出すことができません。そのため青背魚からの摂取を心がけましょう。

いわしのつみれ・しそ巻き さばと焼ききのこの
おろしポン酢
サーモンの
タルタルソース


3. 受験生のための食事作りのポイント

(1)必ず朝食をとるようにしましょう
  中学生・高校生の多くに朝食の欠食がみられます。朝食をとらないと脳が十分に働かず、午前中の授業に集中できません。また1日の栄養量も不足します。

(2)間食の取り過ぎに注意しましょう
  糖質の取り過ぎはビタミンB1の消費量が増加し、B1不足になって集中力がなくなり、食欲不振につながります。また、間食が多いとお腹がふくれて3度の食事が食べられずに栄養バランスが悪くなり、体調を崩しやすくなります。

(3)消化の良い食事をしましょう
  受験シーズンは寒さの厳しい季節であり、また夜遅くまで勉強する機会も多いことから、食事は体が温まり、消化の良い食事が適しています。
また、よく噛んで食べることも消化を助けるために大切です。

(4)楽しい食事を家族も協力して心がけるようにしましょう
  受験シーズンは受験生にとってストレスの溜まりやすい時期となります。食事は受験生にとって、気分転換の機会でもあります。できるだけ孤食を避け、楽しい食卓作りを心がけましょう。


4. 受験生のための食事

 ★イワシのフライ
  ~イワシはカルシウムとDHAの宝庫!頭を良くする一品です~

エネルギー:255kcal、たんぱく質18.3g、脂質15.5g、塩分0.9g(1人分)
■材料 分量:2人分
イワシ(中)
(1尾80g位のもの)
4尾
しょうがの絞り汁 小さじ1
少々
こしょう 少々
小麦粉 適宜
(A)   
1/2コ
大さじ1/2
パン粉(乾) 適宜
レタス 3枚
トマト(大) 1/2コ
レモン 1/4コ
ウスターソース 適宜
マヨネーズ 適宜

■作り方
1. イワシは頭を落として内蔵を取り出し、親指を頭の方から尾の方に向けて骨にそって動かし、骨を取り除きます。(手開き)
2. 1にしょうが汁をふりかけ、塩・こしょうで下味を付けます。
3. 2に小麦粉・(A)の卵水・パン粉の順に衣をつけて、油で揚げます。
4. ちぎったレタスと、くし切りにしたトマト・レモンと共に盛り付けます。
5. お好みでソースとマヨネーズをつけていただきます。

 ★かんたん薄味煮豆
  ~大豆に含まれるレシチンは記憶力を高めます~

エネルギー:116kcal、たんぱく質11.0g、脂質4.9g、塩分0.9g (1人分)
■材料 分量:3~4人分
昆布 10cm
300~350ml
干ししいたけ 2枚
豚肩ロース肉(カツ用) 1枚(100g)
にんじん 50g
水煮大豆 1袋(170g)
砂糖 大さじ1
しょうゆ 大さじ1

■作り方
1. 昆布と干ししいたけを分量の水に30分~1時間位浸して戻します。
2. 昆布は、キッチンバサミで1cm角に切ります。
3. 干ししいたけと豚肩ロース肉は1cm角、にんじんは7~8mmのさいの目に切ります。
4. 1の戻し汁300mlを鍋に入れ、2の昆布としいたけ加えてしばらく煮ます。
5. 4が煮立ったら3の豚肉を加え、火が通ったらにんじんを加えて少し煮ます。
6. 水煮大豆は水でザッと洗い、5に加えます。
7. 6に砂糖を加え、にんじんに火が通ったらしょうゆを加えて煮ます。

 ★卵スープワンタン
  ~寒い冬に体を温めるスープは欠かせません~

エネルギー:173kcal、たんぱく質1.2g、脂質1.1g、塩分0.8g(1人分)
■材料 分量:2~3人分
干ししいたけ 1/2枚
(A)  
豚挽き肉 50g
白ネギ
(中太・みじん切り)
5センチ
少々
こしょう 少々
しょうゆ 小さじ1
ごま油 少々
うま味調味料 少々
ワンタンの皮 15~16枚
(B)  
しいたけの戻し汁+水 500ml
中華風だしの素 少々
小さじ1/2弱
しょうゆ 大さじ1/2
こしょう 多め
1コ

■作り方
1. 干ししいたけは水で戻してみじん切りにします。(戻し汁は残しておきます。)
2. 1を(A)に加えてよく練り混ぜます。
3. 2をワンタンの皮で包みます。
4. (B)を煮立てて3を入れ、浮き上がってきたら溶き卵を流し入れます。
5. 熱々を器に盛ります。

 ★焼きおにぎり
  ~夜食に最適!手軽に食べられてやる気倍増~

エネルギー:325kcal、たんぱく質5.6g、脂質3.0g、塩分0.7g(1人分)
■材料 分量:2人分
ご飯 350g
むきごま(白) 大さじ1~1・1/2
青じその葉 2枚
しょうゆ 大さじ1/2

■作り方
1. 白ごまは香りよく炒って、刻みます。
2. 青じその葉を刻みます。
3. ごはんに12を混ぜて、三角形ににぎります
(1人=2コずつ)
4. 3をオーブントースターまたは250℃くらいのオーブンで軽く焼き色がつくまで7~8分焼きます。
5. 4にはけでしょうゆを塗り、余熱で乾かします。


 
健康な体を維持するために必要なことは
(1) 自分にあった食生活のリズムを確立させること
(2) 規則正しい食生活をする習慣を身につけること
(3) 栄養が不足したり偏ったりしないように毎日3食、適切な食事内容と量をとることです
 
 


~参考文献~
  ・あたらしい家庭の健康料理  著者:伊藤華づ枝
  ・食事で変わる「良い子」と「悪い子」  著書:伊藤華づ枝
『食育』をはじめましょう
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