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『食育』をはじめましょう

栄中日文化センター提携 インターティアラ・お料理サロン 主宰・食育伝道師・管理栄養士
テーブルコーディネーター
伊藤 華づ枝

介護食メニュー ~食べやすくおいしい食事にするための工夫~

 今もっとも注目されている「食育」。しかし、「食育ってなに?」とあまり深く知らない人も多いようです。
 そんな人々のために、今シリーズは「食育」をとりあげてきました。
 「理想の朝食レシピ」、「赤ちゃんの離乳食」、「お父さんの健康を守るレシピ」など、様々な年代の方に合わせたテーマを毎回お送りしてきましたが、このシリーズもいよいよ今回が最終回です。

 最終回の第12回目のテーマは「介護食メニュー ~食べやすくおいしい食事にするための工夫~」です。
 前回ご紹介したように、本格的な高齢化社会が進行している現代の日本では、高齢化にともない介護を必要とする方も年々増加しています。
 日常における介護は様々ですが、特に「食」の介護は、体に障害を持つ高齢者にとって生命維持とともに、欠かすことのできない楽しみを与えることでもあります。
 今回は、おいしく楽しく食べられる介護食についてご紹介します。


1. 介護食を必要とする高齢者とは

★咀嚼(そしゃく)が困難な人・・十分に噛むことができない人
歯の欠損、不完全な義歯装着、口内炎などが原因

★嚥下(えんげ)が困難な人・・飲み込みが困難な人
咀嚼困難、唾液分泌低下、脳卒中の後遺症などが原因

★食事をしやすい体位がとれない人

★手が不自由で食事器具が使えない人

★寝たきり、または麻痺などが原因で自力で食事摂取が困難な人

★意識障害のある人

食事の介護を必要とする高齢者の障害は様々です。
各自の体の特徴を知り、障害の程度に合わせた食事内容にすることが大切です。
そして何よりも、人間性の尊重と温かい気持ちで接するように心がけることが重要です。


2. 食事介護のポイント

(1) 自立心を失わせないよう、出来る限り自身で食事ができるように介助します。
また、残存機能を生かして自力で食事ができるような献立と調理形態の工夫が必要です。
(2) 食べやすくするための食事器具の工夫や、食事環境を整えることが必要です。
手づくりや市販の介助用食事器具や自助具を利用すると便利です。
(3) 寝た姿勢での食事は、喉を詰まらせる原因となります。食事は出来る限り座って食べるように します。上体を立てて少し前かがみになり、あごを少し引くと、食べ物がその重みで自然に胃まで運ばれます。
(4) 食欲を増進させる為に、食膳を見える位置に整えることも大切です。
(5) 介護人が食物を口に運ぶ場合は、食べる人と同じ目線で、食べる人のスピードに合わせることを心がけます。
(6) 食べる人の意見や希望を聞き、コミュニケーションをとりながら介助します。

~食事介護に便利な道具~
折り曲げスプーン・フォーク
先が曲がっていて食べやすく、右手用・左手用がある。
柄は大きくて長い。
スプーンホルダー
スプーンを持てない人に。厚紙を手に合わせて巻いて、スプーンをはめ込み、テープを巻きます。
吸盤
吸盤を使って食器を固定します
コップ・湯のみ
コップの周りに輪ゴムを巻いて滑りにくくしたり、プラスチック容器の蓋に穴を開け、ストローを差して飲みやすい工夫をします。


3. 介護食・調理の工夫
食べやすい形態・やわらかく飲み込みやすい料理の提供が基本です。
咀嚼が困難な人は、十分に噛まないまま飲み込むと、消化不良を起こして病気になる心配があります。食べやすく小さく刻むなどの工夫が必要です。
嚥下困難な人は、食べ物が気管に入ってしまう危険性があります。とろみをつけたり、ミキサーで流動的にして、のどの通りをよくする調理工夫が必要です。
各自の障害度合いに合わせた調理を心がけましょう。

★食事形態の種類
≪きざみ食≫
ペースト状...つぶす、裏ごしする、おろす、ミキサーにかけます
ごま粒状...みじん切りが基本
5mm角から一口大までに切ります
≪ミキサー食≫
やわらかく煮た物をミキサーにかけて流動状にします
≪とろみ食≫
汁もの、きざみ食、ミキサー食などを市販のとろみアップ補助剤、デンプン、ゼラチン、くずなどを用いてとろみをつけます。

「きざみ食」


「ミキサー食」「とろみ食」

★かゆの種類
日本人の食事において、米は欠かすことのできない食物です。
しかし、咀嚼が困難な場合には、通常に炊いた米を食べることができません。
かための全がゆから、おもゆ風の三分がゆまで、各自の状態に応じて作り分けると良いでしょう。

≪米からつくるかゆの水分量≫
名称 米の量 水の量 状態
全がゆ カップ1 カップ5 ねっとりとして硬め
七分がゆ カップ1 カップ7 さらりとして味の変化をつけやすい
五分がゆ カップ1/2 カップ5 かなり汁けが多い
三分がゆ カップ1/2 カップ10 おもゆ状で、飲むという感じ

※米カップ1=160g、水カップ1=200ml

★嚥下困難な人の介護食
むせずに摂取するために、流動性がありのどの通りの良いものが適しています。

≪好ましい食品形態≫
・プリン状 ・とろろ状 ・乳化状
・ゼリー状 ・かゆ状 ・ミンチ状
・マッシュ状 ・ポタージュ状
≪注意する食品≫
・スポンジ状のもの(カステラ、パン) ・口の中に粘着するもの(わかめ・のり)
・練り製品(かまぼこ、ちくわ) ・大豆、ごま、こんにゃく、油揚げなど

嚥下障害の程度により、軟らかさに変化をつけ、飲み込みやすい料理にします。
一般的にはとろみ食にしたり、寒天やゼラチンを使ってゼリー状にして、のどの通りを良くします。
栄養素と水分が同時に補給できるものにします。
酸味や刺激の強い物、甘すぎる物は避けるようにします。
舌やのどにつきやすい物や、のどにつかえやすい物は避けます。誤嚥に備えて、吸引の準備をすることも必要です。


4. おいしく食べられる介護食レシピ

★鮭のワイン蒸し~魚の臭みをとって食べやすい工夫を~

エネルギー 151kcal、たんぱく質 12.5g、脂質 7.2g、塩分 0.5g(1人分)
■材料 分量:1人分
生鮭 1切れ(50gくらい)
少々
こしょう 少々
白ワイン 小さじ2
大さじ2
玉ねぎ 50g
キャベツ 40g
(A)  
マヨネーズ 小さじ2弱
トマトケチャップ 小さじ1
スープ又はかつおだし 適宜
■作り方
≪一般食≫
1. 生鮭の切り身は、塩とこしょうで調味します。
2. 玉ねぎは薄切りにします。
3. 鍋に2を入れてその上に1をのせ、分量の白ワインと水をふりかけ、蓋をして蒸し焼きにします。
4. キャベツはせん切りにしてゆでます。
5. 皿に34を盛り、(A)のソースをかけて召し上がります。
≪きざみ食≫
  「一般食」と同様に調理した鮭・玉ねぎ・キャベツをそれぞれ粗みじん切りにして盛ります。
≪ミキサー食・とろみ食≫
  「一般食」と同様に調理した鮭・玉ねぎ・キャベツにそれぞれスープ又はかつおだしを足して、ミキサーでかけるかすりつぶします。 必要に応じて、増粘剤でとろみをつけます。

★吉野鶏の吸物~ささ身にかたくり粉をまぶして、喉ごし滑らかに~

エネルギー 26kcal、たんぱく質 4.8g、脂質 0.2g、塩分 0.5g(1人分)
■材料 分量:1人分
鶏ささ身 20g
かたくり粉 適宜
(A)  
だし汁 70ml
しょうゆ 少々
少々
みつ葉 少々
■作り方
≪一般食≫
1. ささ身は筋を取り、斜めに3~4つに切ります。
2. 1にかたくり粉をまぶし、熱湯にサッと通して椀に盛ります。
3. (A)を合わせて火にかけて2の椀に注ぎ、みつ葉のザク切りをのせます。(お好みで柚子を絞って入れても良いでしょう)
≪きざみ食≫
  鶏ささ身はすりみ団子にして(A)に入れ、スプーンでつぶしながら召し上がります。
≪ミキサー食・とろみ食≫
  「きざみ食」のすりみ団子をすりつぶして(A)に入れ、かたくり粉でとろみをつけます。

★ピーチプリン~桃の優しい甘さが心を和ませてくれます~

エネルギー 116kcal、たんぱく質 4.1g、脂質 2.7g、塩分0.1g(1コ分)
■材料 分量:プリン型3コ分
白桃 1/2コ
レモン汁 小さじ1/2
(A)  
大さじ2
粉ゼラチン 1袋(5g)
(B)  
牛乳 200ml
砂糖 30g
白桃 1/4コ
(C)  
洋酒
 (コアントロー)
少々
小さじ1弱
砂糖 小さじ1弱
■作り方
1. 白桃は皮と種を取り、ビニール手袋した手でつぶします。
2. 1をボウルに入れ、レモン汁を加えます。
3. (A)のゼラチンは分量の水でふやかします。
4. 鍋に(B)を煮立て、砂糖が溶けたら3を入れ、溶かします。
5. 4を氷水で粗熱を取り、2を加えます。
6. 少しとろみがついたらプリン型に流し、冷やし固めます。
7. 白桃は細かく刻み、(C)を加えてピーチソースを作ります。
8. 6を型からはずして器に盛り、7をかけます。

~参考文献~
  ・あたらしい家庭の健康料理  著者:伊藤華づ枝
『食育』をはじめましょう
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