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自然体験 | 組合員レポート

山村たいけんin東白川 川尻秀樹さんと山村の伝承文化「炭焼き」と「花餅づくり」を体験しよう!

平成13年12月2日(日)
東白川村「こもれびの里」にて

東白川村は秋から冬へ衣替え。早朝、深紅に紅葉したモミジの落ち葉は白い霜に縁どられ、冬の太陽を浴びて輝いている。冷たい空気を溶かすように差し込むお日さまの温もり。小春日和の青空の下、16家族・51人が炭焼きと花餅づくりにチャレンジした。

09:00~

参加者受付

「飛騨の朝市なんかで売っている花餅がつくれるというので楽しみに来ました」という女性グループ、「お昼のバイキングと餅つきが楽しみ。食べるゾ~!」と意気込む中学生の女の子。ワクワクしながら参加者がこもれびの里に集合。

10:05~

開会式

「炭焼きをするために木を伐ると、その切り株からまた木が生えてくる。持続可能な山林経営をしながら炭焼きをやってきた。花餅も切り株を利用したもの。
今日はそんな山の知恵をたくさん教わることができます。ぜひいろいろ覚えていってください」と、ゲストの川尻秀樹さんがあいさつ。

10:20~

炭焼き体験その1 炭出し作業

本来なら1週間ほどかかる炭焼き。今回は昨年焼いた炭を出して(窯を使わない時は、中に炭を詰めっぱなしにしておかないと、湿気などで天井が落ちることがある)、ノコギリで適当な大きさに切る作業と、次の木材を入れて火をつける作業を体験。この「出しくべ」と呼ばれる一連の作業の、まずは炭を出すところから。炭焼き名人、安江一夫さんが窯の中に入り、取り出した炭を子どもたちが炭焼き小屋の外に運び出す。

←炭焼き名人、安江一夫さん。「炭が焼けたかどうか判断するのは、煙の色やにおいを見て。経験と勘やわ。それと、煙突の出口にソヨゴの枝を渡しといて、ポキッと折れたらできあがり」と、教えてくれた。それを受けて川尻さんも「煙が白から青っぽくなったら炭が焼けたと言われている。それからソヨゴの葉を入れてパチンと割れたらいいとも聞いた。これが山の知恵です」

小さな子も自分の胴体ほどもある長い炭をたくさん持ち、初めての体験にちょっと誇らしげ。ノコギリで次から次へと切っていく男の子、お父さんと一緒に初めてのノコギリに挑戦する小さな女の子。

←こんなに長いまま炭になるんだね!

この間、参加者から次々に飛び出す質問に明解に答えていく川尻さん。さすが樹木医、森林インストラクター、きのこアドバイザーなど、多くの資格を持つ森林の生き字引。炭の種類や効能(吸湿作用、水をまろやかにする、など)、使い方、バーベキューのおいしい焼き方まで教えてもらい、参加者は「ふ~ん」としきりに感心するばかり。
耳を澄ますと、切り終わった炭がパチパチと小さな音を立てている。「どうして?」と川尻さんにうかがうと「炭の精がしゃべっているんだよ」とニッコリ。「あまりほんとのことばかり言うとメルヘンがなくなっちゃうでしょ」と言いつつも、切ることで空気中の水分を吸って動き始めるからだと教えてくれた。

10:50~

丸太切り・薪割り体験

丸太をノコギリで切ったり、薪割りの体験も。お父さんたちは大ハッスルで薪割りに挑戦!子どもから「お父さん、うまい!」、お母さんから「昔、炭焼きやっとったの?」なんて声も飛ぶ。果敢に挑戦するお母さんはなかなかオノが真ん中に入らず苦戦。

←う~ん、格好は一人前の山の仕事人。ストレス解消になるわ~!

子どもたちは丸太切りに挑戦。細くスライスして「コースターにしようかな」とお兄ちゃん、お母さんと一緒に切り口の年輪を数えて「私より年上だ」と妹。雄大な自然に包まれ、親子の楽しいふれあいの時間。

←みんなに手伝ってもらってワタシも丸太切りに挑戦。わ~、ノコギリが抜けないよ~!
10:55~

炭焼き体験その2 窯に木材を入れる作業

丸太切り・薪割りと平行して、窯に木材を入れる作業も開始。これもお父さんたちが大ハッスル。「長いの」「短いの」と炭焼き名人が指示する通りの木材を窯の中に。

←森林のことなら何でもござれの川尻さん。手に持っているのはこれから窯に入れるヒノキの間伐材。

子どもが1人窯の中に入って名人の助手を務める。木材を名人に渡しながら「重い!炭と全然違う」と小学生の男の子。お父さんとおじいちゃんが木材を差し入れ、子どもが窯の中で受け取るという家族の共同作業の場面も。「いい体験ができました」と大満足。

←窯の中で、炭焼き名人の助手を務める。中は思った以上に狭いよ~!
11:45~

昼食

「こもれびの里」の中のレストラン「味彩(あじさい)」にて山の幸バイキングに舌鼓。鶏の鍋照り煮、あまごの甘酢あんかけ、カボチャのコロッケ、味おこわ、豚汁、デザートのりんごタルト等など、盛りだくさんのメニューが並ぶ。中でもトマトフライが大人気!東白川の特産品であるトマトの甘酸っぱい味がフライの中に閉じ込められた逸品。聞けば、試行錯誤の末誕生した「こもれびの里」ならではのメニューだとか。参加者の舌もおなかも大満足!

12:50~

窯に火入れ

参加者が注目する中、いよいよ窯に火が入れられた。しばらくすると煙が焚き口から参加者の方に。「焚き口から風を送ったらどう?」という参加者に、川尻さんが「そしたら炭ではなくみんな灰になっちゃう。強制的な風ではなく、温度の勾配によって奧の方まで煙が引っ張られないとダメなんです」。そのうちにだんだん奧の煙突の方から煙が出始めた。この煙が煙突の途中で冷やされて逆流、そこからとったのが木酢液だとか。この木酢液についても川尻さんのレクチャーが。炭焼き名人からは「炭焼きで出た灰はトチノミやワラビなどの灰汁(あく)抜きに使った」と灰の利用法も。すべて無駄なく生活に利用してきた山村の知恵に感心する。

13:05~

花餅づくり

まずは「こもれびの里」案内人の藤井茂樹さんから花餅の意味とつくり方の説明。花餅は生花が手に入りにくかった正月を飾るものとしてつくられるようになった。ひな祭りに餅をはずして揚げ、ひなあられにして食べたとか。本来の花餅づくりは「花餅株」と呼ばれるネジキ(地方によって木の種類は変わる)の切り株を探すことから始まり、新しい赤い小枝の伸びた株を切ってきて、それに紅白の小さく切った餅をつけていく。今回は台座にドリルで穴を開け、枝をさしたものを使用。紅餅はビート(砂糖大根)で色づけしたものだ。台座を用意するお父さん・お母さん、包丁で餅を切る子どもたち。さっそく家族で分担して作業開始!規則正しくつけていく人、枝振りを考えながらつける生け花流本格派、枝先に雪だるまやウサギを飾ったかわいい作品まで登場!工房にはパ~ッと花が咲いたよう。

←ステキな花が咲いたでしょ!お正月、おばあちゃんへのおみやげにしようっと。
14:10~

餅つき体験

2つの石臼を使って餅つき体験。本日作るのは、きび餅とつきあがってから黒豆を混ぜた豆餅。餅つき名人、藤井さん、村雲和裕さんと一緒に杵を持つ小さな子どもたち。堂に入った杵づかいの女性は「昔はよくついた。懐かしい!」と大喜び。これぞほんとの"昔とった杵柄(きねづか)!?"。テラスには「ぺったん、ぺったん」と気持ち良い音と「よいしょ、よいしょ」の威勢良いかけ声が響いた。

←ぺったん、ぺったん。餅つき名人の村雲さんと一緒に初めての餅つき。さあ、いっぱい食べるゾ~!
14:30~

つきたての餅を試食

きなこ、しょうゆ、砂糖などをつけて、つきたての餅を試食。「もう幸せ~」と顔まで餅のようにとろけるお母さん。みんな次々にお代わり!

15:00~

閉会式&記念撮影

「今日は花餅もつくったし、来年はきっといい年が迎えられると思います。いい思い出もできたし、また東白川に来ましょう」という川尻さんのあいさつと、村雲さんから東白川村の案内の後、元気に記念撮影。目いっぱい食べ、創造し、山の生活を体験した一日でした。

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