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マモさんの里山講座

里山研究家 吉澤 守(ヨシザワマモル)

里山の森[I]ネイチャー・サウンドを求めて

里山の森は、私たちにいろんな楽しみや、安らぎや癒しの場を提供してくれています。
森のさまざまな楽しみの中で、まだあまり知られていなくて、それでも、非常にグレードの高い楽しみ方について紹介しておこうと思います。
自然の中での過ごし方に、ネイチャー・リスニング(自然の音色に親しむ)というジャンルがあります。例えば、バード・ウォッチング(野鳥の姿を観察する)ということはよく知られていますが、バード・リスニング(野鳥のさえずりを聴く)というジャンルは、あまり知られていません。自然に耳にする野鳥の鳴き声のことではなく、バード・サウンドだけを求めて、わざわざ森の中に入ることを指しています。

森の中には、実にいろんな音があります。木の葉が風に揺れる音、虫の音、小川のせせらぎ。そうした音を耳にしますと、何となく気が休まるものです。それは何故なんでしょうか?
さまざまな音の中には、不安や恐怖や不快を感じる音がたくさんあります。その中で、心地良いと感じる音の響きは、ほとんどすべての人に共通しています。夜風に吹かれながら聴く規則正しいさざなみの音にも人は心地良さを感じます。
<音>には、すべての音に波長があります。その波長が、人々の快感点とマッチしたときは快く感じ、マッチしないときは不快な音になります。さらに、人の心を癒したり、気を和らげたり、ストレスを解消させるような音の響きは、その波長がぴったりマッチしたときに人に心の安らぎを憶えさせてくれます。

野鳥のさえずりや、木の葉の揺れる音や、せせらぎの音に人が共通して安らぎを感じるのは、好き嫌いという趣向の問題ではとらえることのできない何かが、それらに共通する波長の中に含まれていることになります。
私は以前、誰かにその波長を、14.07メガサイクル(間違っていたらごめんなさい)であると聞いたことがあります。その数値の正確さはともかくとして、その波長は、人が誰もが経験した昔懐かしい体験にもとづいていて、そうした音に出会うことによって、理屈抜きで心和む時を味わうことができます。
それは、胎児としてお母さんのお腹の中にいた頃の、お母さんの心音から響いてきたあの時の音と、森の中で聴く音が同じ波長だからなのです。里山の森は、母なる森の役目をしています。

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