文化講座
キャンドルのつくりかた
11月は、キャンドルの作り方についてお話しましょう。キャンドル基材となるものには、パラフィンのような石油系の基材とミツロウのような動物性の基材、マカダミアナッツオイルのような植物性の基材があります。そのうちマカダミアナッツオイルは、単一ではキャンドルとはならず、ミツロウと一緒にあわせてキャンドルとします。

キャンドルとろうそく
ろうそくというと和蝋燭を思いますが、この和蝋燭はハゼノキの果実からとられる木蝋と、イグサと和紙を調合して蝋燭芯に塗り重ねて作られる植物性のろうそくです。
キャンドルというと西洋の蝋燭でしょうか。古くからヨーロッパで使われてきたキャンドルは、元来ミツロウから作られてきました。現在では、パラフィンやステアリン酸から作られているものがほとんどです。
パラフィン
パラフィンは、石油の精製工程から製造される炭化水素で、パラフィンワックスとも呼ばれる常温で半透明もしくは白色の蝋状の固体です。水に溶けない性質を持ち、化学的にも安定しています。融点は様々ですが、アロマテラピーで使用するパラフィンはミツロウと同じくらいの温度で溶けるものが多いようです。
ミツロウ
ミツロウは、ミツバチが巣を作るときに分泌するロウワックスで、常温で濃い卵色の固体です。60度~65度で液化します。1gのミツロウをつくるためには、100~120匹のミツバチが2週間働き続ける必要があります。
このミツロウのみをつかってつくるキャンドルは、とても高価で、灯る炎もしっかりしていてよいものです。パラフィンでつくる一般的なキャンドル素地を溶かす場合も、ミツロウを少し足して溶かし固めると、柔らかな色と良い質感のキャンドルになります。
またこの場合、パラフィンだけで作るよりも天然精油の香りが良く広がります。
もちろん、ミツロウだけのキャンドルや、ミツロウとホホバオイル、ミツロウとマカダミアナッツオイルで作るキャンドルは、より一層、天然精油の香りを引き立てます。
パーム油
パーム油は、アブラヤシの実からとりだされるパーム油と、アブラヤシの実の中に核(仁)から抽出されるパーム核油があります。どちらも飽和脂肪酸を多く含みますが、特にパーム核油のほうがパーム油よりも飽和脂肪酸の含有率が高く安定しています。マーガリンやショートニングなどの原材料や石鹸、化粧品、お菓子など様々な用途で使われています。また燃料としてのプラントも近年増加しています。ただし、このパームの木を植えるため熱帯や亜熱帯の森林地帯を破壊するため、環境の問題が懸念されます。特に絶滅危惧種であるオランウータンの森に脅威が迫っています。安定した固体の脂であるパームの油でキャンドルをつくる方法がありますが、個人的にはお勧めしないでおきたいと存じます。

基材と精油の基本
◆ 上記のどの基材も、天然精油と上手く混ざります。
◆ | 火の灯り方、1/fの揺らぎの美しさ、火の持ち、天然精油を希釈した時の香りの立ち方など全ての点で最もよいキャンドルは、やはりミツロウのキャンドルです。ただし、材料が最も高価になるのもミツロウのキャンドルです。 |
◆ | 次によいキャンドルは、ミツロウとホホバオイルのキャンドルでしょう。ミツロウとホホバオイルの比率はミツロウが1gに対し、ホホバオイルが5mlをミツロウ最小限利用の限界とし、ミツロウの割合が多ければ多いほど、よいキャンドルになります。 |
未精製ミツロウ | 30g |
常温圧搾未精製ホホバオイル | 60ml |
天然精油 | 20滴 |
今回は、天然素材のキャンドルの基本の割合で、キャンドルをつくってみます。
その1 | あらかじめビーカーで植物油30mlを量り、ミツロウを30g準備します。 |
その2 | 専用ウォーマーに、その1で量った材料を入れ、ティーライトキャンドルに火をつけ温めます。 |
その3 | その2が溶けたら、ガラスのカップなどに流しいれます。 |
その4 | その3の容器に、天然精油を入れます。 |
その5 | その4が固まりかけたらキャンドル芯を立てます。 |
その6 | その5が完全に冷えて固まったら、ガラスのカップを軽く湯煎にかけてキャンドルを取り出します。 |
環境省認可法人(社)日本アロマ環境協会インストラクター
初穂香房主宰
Lavozouアロマテラピー講師
栄中日文化センター講師
1995年よりアロマテラピー講師として活動
ホームページアドレス http://www.lavozou.com/index.html