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アロマテラピー(芳香療法)基本のレシピ

一般社団法人アロマハンドトリートメント協会代表理事
木之下 恵美 Megumi kinoshita

軟膏のつくりかた

10月は、軟膏の作り方についてお話しましょう。軟膏といっても、用途はいろいろです。リップクリームだったり、ひび割れやあかぎれ、虫さされなどに対するケア用のクリームだったり。軟膏の基本を学んで、いろいろなアロマグッズのレパートリーを増やしましょう。

軟膏のつくりかた

アロマテラピーで作る軟膏は、『ミツロウ』と植物油や液体ロウを使います。オイルは常温圧搾(低温圧搾)で未精製であり、高温加熱が可能な基材を使います。例えば『マカダミアナッツオイル』がそうです。また、液体ロウである『ホホバオイル』も高温加熱可能です。『スイートアーモンドオイル』や『オリーブオイル』『アボカドオイル』などそれ以外の様々なオイルを使用したい場合も、方法がありますので下記をご覧ください。

基材

基材と精油の基本
◆ 上記のどの基材も、天然精油と上手く混ざります。
◆ ミツロウだけでは硬く、天然素材のクレヨンなどの元にもなる基材ですが、クレヨンのような硬さですので、軟膏をつくるためには常温で液体である植物油などと合わせて材料とします。
◆ 軟膏は、必ず湯煎や専用のウォーマーなどを使用して溶かして作ります。

ミツロウ
ミツロウは、ミツバチが巣を作るときに分泌するロウワックスで、常温で濃い卵色の固体です。60度~65度で液化します。1gのミツロウをつくるためには、100~120匹のミツバチが2週間働き続ける必要があります。このミツロウのみをつかってつくるキャンドルは、とても高価で、灯る炎もしっかりしていてよいものです。
ミツロウは、軟膏やクリームなどの基材として、殺菌作用、防腐作用、肌の柔軟作用、保湿作用などのためにも使用されます。軟膏やクリームをつくる場合はミツロウのみだと固すぎるので、高温加熱が可能な植物油を合わせて用います。保湿性が高く抗菌作用にも優れるため、保湿した状態でも感染症や周りの雑菌から、わたしたちを守ってくれます。

常温圧搾(低温圧搾)・未精製の植物油と液体ロウ
植物油は、一目すると全て同じように見えます。アボカドは緑色、カレンデュラはオレンジ色、セントジョーンズワートは赤い色などの色素を含み、この色素自体がビタミンやミネラル、ファイトケミカルなどの微量な栄養成分でもあります。
高温で圧搾する市販されている植物油は基本的に、高温加熱をし、その後、人体に有害なトランス脂肪酸などを取り除き、再び色素や香味、栄養成分などを添加します。
こういった大量生産できる植物油は、マッサージオイルや軟膏、アロマテラピー基材には向きません。ただし見た目では、なかなか把握しがたいものです。
食料品売り場でも、アロマグッズなどをつくる材料として販売されているものでも、化粧品でも、このあたりの把握はとても難しいものです。
良いものも悪いものも混在して販売されているのが現状です。そのため、信頼のできる知識のあるショップでの購入をお勧めします。

軟膏づくりは、基本的に湯煎、もしくは専用のウォーマーと呼ばれる器具をつかっておこないます。材料は、常温圧搾された未精製の植物油とミツロウを使います。
ミツロウが約60度~65度で溶解する性質を活かし、直火ではなく専用ウォーマーや湯煎などで熱を加えます。
直火で加熱すると融点が水より低いミツロウは急激に温度が上がり、手など素肌に付着すると危険です。必ず、専用ウォーマーもしくは湯煎で溶かしましょう。
材料のミツロウの特性は上記した通りです。植物油は、常温圧搾された未精製のものを使います。
常温圧搾で未精製の植物油は、化学的な処理がされていないもので、溶剤や添加物などの付加もなく、栄養価を精製することがないものが最も好ましい基材です。
こういった常温圧搾で未精製の植物油のうち、軟膏作りをするために加熱が可能なものには、マカダミアナッツオイル、ホホバオイル(ホホバオイルはワックスに分類されますが液体で植物油と同じような形状をしています)などがあります。
アーモンドオイルやオリーブオイルなどはリノール酸などを多く含み、加熱して軟膏をつくると劣化しやすくなります。
ホホバオイルやマカダミアナッツオイルは効能や特性で選んで用います。後講で詳しくお話しましょう。

軟膏の作り方
材料
30ml程度入るクリーム容器  1個... *1へ
植物油(マカダミアナッツオイルかホホバオイル)(常温圧搾/未精製)  20ml
ミツロウ(未精製)  2~4g
天然精油  1~8滴... *2へ
ガラス棒  1本
ビーカー(10ml目盛)  1個
専用ウォーマー  1個
マッチかライター  1個

その1 あらかじめビーカーで植物油20mlを量り、ミツロウを2~4g準備します。
その2 専用ウォーマーに、その1で量った材料を入れ、ティーライトキャンドルに火をつけ温めます。
その3 その2が溶けたら、30ml容量のクリーム容器に流しいれます。
その4 その3の容器にいれたクリームの表面が固まりかけたら、天然精油を入れます。
その5 その4をガラス棒でよくかき混ぜた出来上がりです。
* 出来上がった軟膏は、3カ月程を使用期限として使い切ります。
*1 クリーム容器は、精油をいれるためアロマテラピー専用の容器か、遮光ガラスのもので作りましょう。容器の劣化を避けるためと、クリーム自体の品質を保持するためです。

*2 精油の濃度
軟膏を作る時の天然精油の濃度は、30mlクリーム容器の上記の分量で、1~8滴精油によって変えたり、用途によって変えます。
一般的な軟膏は2~4滴、練香水などは8滴ほどを目安にします。
精油や希釈する材料によって、赤ちゃん用クリームから練香水や治療目的とした軟膏まで作ることができます。
使用期限の原則は3ヶ月ですが、これも精油によって異なります。

お好きな天然精油をブレンドして、オリジナルの軟膏を作ってみましょう。
ローズオットー(Rosa damascene)精油8滴の軟膏は、とても素敵な練香水になります。


環境省認可法人(社)日本アロマ環境協会インストラクター
初穂香房主宰
Lavozouアロマテラピー講師
栄中日文化センター講師
1995年よりアロマテラピー講師として活動
ホームページアドレス  http://www.lavozou.com/index.html


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