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インターネット公開文化講座

文化講座

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グローカル文化の喜び

信天翁(アホウドリ)喫茶主
医学博士 山中 直樹(宗直)

EXPO 2005 AICHI JAPAN・・その4

日本画家・小山硬(嘉多志)が、愛・地球博の企画として、絵画を描く依頼を受けて、長久手会場のグローバル・ハウス、マンモスラボに展示されている「ユカギル」マンモスを選んで、描いた。
小山画伯の作品は、画伯の新しい創作世界であるプラチナグレーを中心とした、単彩『水墨画』調の日本的美意識と伝統を発展させる『負の思想』で表現されている。
「利休ねずみ」の世界とも通ずるものだ。
悠久の永久凍土から、この世にタイムトリップして現れた「ユカギル」を感じさせる。
発掘された「ユカギル」マンモスは、今回の愛・地球博の目玉として、グローバル・ハウスに、公開されているものだ。
シベリヤ・サハ共和国(ヤクーチヤ)の北極海近くのユカギル村付近の永久凍土から発掘されたために、「ユカギル」マンモスと呼ばれる。
今から、1万8千年前の永久凍土から、凍結された状態で発掘された、頭部と前足が公開されている。

私も、早々に、グローバル・ハウスのオレンジルートから、『月の石』などの展示を見た後に、「ユカギル」とお目見えした。
最近(6月18日、2005年)の新聞で、「ユカギル」の耳の後ろから採取した、筋肉ミトコンドリアDNAの全遺伝子の塩基配列の解読に成功したと報じられた。
アジアゾウの系統で、地質時代に絶滅したと言う。
愛・地球博は、人類の「叡智」で、地球環境資源の崩壊を救おうとのテーマだ。
近年、人類の営みが原因で、地球温暖化現象が進行して、永久凍土の溶けるスピードが促進されているのだ。
年に5~6mの溶解が起っているという。
永久凍土の溶解によって、1万年前のマンモスが出土している状況にあるのだ。

急速な温暖化による氷解は、南極の氷に溶け込んだメタンガスの放出を伴い、地球環境の更なる崩壊を促している。
小山画伯の『負の思想』で描かれた思想は、人類が『グローカル』な視点から考えるべき方向を示すものだ。
「ユカギル」との『一期一会』の「会」は『且坐喫茶』しながら『叡智』を働かせて、人類の悠久を「期」するものだ。

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