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インターネット公開文化講座

文化講座

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グローカル文化の喜び

信天翁(アホウドリ)喫茶主
医学博士 山中 直樹(宗直)

EXPO 2005 AICHI JAPAN・・その3

「知の対話」~日本文化はどこへ行くのか~の企画が、愛・地球博の長久手会場、日本庭園内の茶室「香流亭」であった。
文化庁長官・河合隼雄が席主となり、毎回一人の女性賓客を正客として招き、五回に渡って、「知の対話」をするのだ。
抽選に当たった30人の一般人が参加出来るのだ。

私は、初回の5月25日に開かれたローマ在住の作家・塩野七生との対話に応募したところ、珍しくも当たった。
他の正客は、バイオリニスト・五嶋みどり、山形・銀山温泉 旅館藤屋女将・藤ジニー、国連改革欧州諸国担当大使・中山恭子、JAXA宇宙飛行士・向井千秋と云う。
毎回、茶室の立礼席で薄茶の呈茶がなされる。

茶室で開かれる理由は案内文によると次のようだ。
「かつて武士たちが天下国家を語り合ったお茶室と言う空間。21世紀は自らの才能をかけて世界に挑戦し続けるヒロインたちが、万博会場から日本、世界に向けて熱いメッセージを発信します」
 武士たちが天下国家を語り合ったと言う茶室空間で、五人ともヒロインである意味は、今ひとつ明確でない。
平和な日常茶飯の生活を文化的に昇華させた茶の湯文化の場で、且坐喫茶、一期一会の主客直心であり、残情残心あるものと期待だ。

作家・塩野七生は解釈的ではなく、ローマの歴史的事実がどうだったかを大切にしながら書いている作家であり、一度直々に話を聞いて見たいと思っていたから幸運だった。
長年、イタリア各地の実際に取り上げている史跡の町に住みながら書いていると言う。
至る所で、歴史と共存しているイタリアならではと、羨ましい。

我が国はアメリカと同じく、町は次から次へ変容して、あまり、保存されていない。
「ワビ、サビ」の文化は、負の思想、不完全性の美を愛し、自然の変化を、行く川の流れは絶えずしてと尊ぶ思想がある故の移ろいか。
塩野七生正客が語った内容については、私のブログ「グローカル弾笑」をお読みいただきたい。
ローマ帝国は広大な地域に広がり、多重な文化を尊重した。つまり、グローカル尊重があった統治を行った世界帝国だった。

我が国の人達は、多様性を認めるとの価値観に乏しく、"つくろい的"な"和"を重んじる。
主客直心の会話体質に乏しいのが残念だ。

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