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インターネット公開文化講座

文化講座

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グローカル文化の喜び

信天翁(アホウドリ)喫茶主
医学博士 山中 直樹(宗直)

EXPO 2005 AICHI JAPAN・・その7

3月25日から9月25日に渡る185日間のEXPO 2005 AICHI JAPANは終わった。
偶然に、9月20日、娘が休暇で東京から友達と会場にいたので、グローバルコモン4で一緒になり、ポーランド館に直行した。
ポーランド館でも、幸いして、ワルシャワデーと言うことで、ピアニストの演奏が行われていた。
ポーランド在住のピアニスト・楠原祥子が、ショパンのノクターン、マズルカ、子犬のワルツなどを演奏した。

通常の映像会場で演奏されたが、階段教室状になっているところに座って、ゆったりとショパンの曲を聴くことが出来た。
お国柄か、待ち時間70分とあっても、入ってみると、全ての席が埋まるほど几帳面に詰めて入場させていないのが良かった。
当然、私も待たされて入場したが、ここら辺りが、日本、その他の無駄なく満員にして、忙しく立ち回る国々との差が、何とも言えず、グローカルな文化性を感じ、素晴らしい。

グローバル4の北欧諸国の会場では、ゆったり感が漂っているが、フィンランドやスエーデンなど、日本の14位より生産性の高い国々が多いのだ。
ショパンと言えば、繊細で、ポーランド生まれだが、時代の変動にフランスに滞在、生きて祖国に戻ってはいない。
平野啓一郎の小説『葬送』でのショパンが素晴らしい。
画家ドラクロアとの会話やショパンの英国での繊細な演奏風景、体調に悩みながらの演奏旅行シーンなどが思い浮かんだ。
私には、とても、ショパン音楽を十分には理解できないが、楠原祥子の演奏とポーランド、ワルシャワの映像が重なって、ショパンの心情が垣間見え、触れることが出来た。
心豊かな気持ちになれた。

ポーランド、ワルシャワは、第二次大戦前後においても、ドイツ、ソ連に蹂躙された。
全体主義国によって祖国が踏み躙られた不幸な歴史にもかかわらず、ポーランドは、ポーランドと言うべきグローカル性は奪われていなかったのだ。
異文化との命をかけた相克、交流の歴史が、グローカル性ある文化を産んだのかとも思えてくる。
音楽好きの娘が愛好する紅茶Earl Grey French Blueを飲みながら、会話を楽しめたのも良い。

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