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中国茶

信天翁(アホウドリ)喫茶主
医学博士 山中 直樹(宗直)

プーアール緊圧茶

黒茶のプーアール茶は散茶と固形茶に分けられる。その固形茶を緊圧茶と呼び、いろいろな形をした製品がある。沱茶、餅茶、方茶、緊茶、磚茶等が緊圧茶類の代表だ。

千年以上に及ぶ固形茶の歴史がある。唐代には龍鳳形に成形された貢茶。栄代には龍団茶という龍鳳模様の餅茶や団茶がある。人の頭のような形をした大小の人頭茶と呼ぶ団茶も貢茶にあったと言う。そこで、今日よく耳にする固形茶を取り上げてみる。

沱茶:プーアール緊圧茶の代表。固く緊結した茶碗状の形をしている。半開きの松茸の笠のような形でもある。
沱茶は白茶や黄茶で述べたような若芽の白毫が多く観察される黒っぽい光沢のある製品が良いものだ。ミル芽の若芽を用いたものだからだ。天日で乾かす晒青緑茶や釜炒りした炒青緑茶を原料とする。良質な緑茶を用いた沱茶は清香味があり、爽やかな味がする。金沱茶などすばらしい。
プーアール散茶を蒸して成形するものがあるようだが、私はまだ味わったことがない。年代を経たものはまろやかな味がするという。
四川省や広東省にも沱茶はあるようだ。

餅茶:円形で平たい餅型。大小があり、小餅茶と大餅茶と呼ぶ。我々が近年よく目にするのは大餅茶である「雲南七子餅」だ。餅茶を七つ重ねて筒に入れて、梱包すると運搬し易い形になるので、七子餅と名づけられたようだ。
プーアール沱茶や方茶の精製時にできた副産物を原料にして作られると言う。緑茶を固めて形成されたものであるから緑がかったものが良い製品だ。味も穏やかで、湯色は紅黄色。黒茶特有のかび臭はあまりしない。

方茶: 雲南省にシーサンパンナ族の自治州がある。少数民族の自治区だ。プーアール茶の代表的生産地。茶産地は海抜千メートル以上にあるという。この地は特有の雲南大葉種がある茶木の発祥地、つまり、原産地と考えられている。樹齢が千年近い茶樹があるようだ。天候も温暖で降雨量も多く、茶木は大きく育って喬木となる。
プーアール緊茶で方形をした方茶は自治州で生産される。雲南大葉種の芽茶(ミル芽のディエンチン)を用いた釜炒り緑茶を原料とする。良質で新しい製品は青緑色で白毛が多い。ディエンチンに対してディエンホンという高地紅茶のブランドがある。金環コロナが美しい高級紅茶だ。
自治州の地域文化として存在しつつ、世界文化として通用する製品として注目だ。

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