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中国茶

信天翁(アホウドリ)喫茶主
医学博士 山中 直樹(宗直)

黄茶

黄茶は「黄葉黄湯」、つまり、茶葉が黄色であると同時に茶湯も黄色であるとの特色を持つ。既に、唐代から記録が残っていると言う茶。唐代、清代と皇帝中心に飲まれていた茶で、今日でも、生産量は多くない。

この黄茶は緑茶に近い。緑茶や黒茶と同様、まず、茶摘みした新鮮な茶葉を、通常、釜炒り加熱による「殺青」を行う。茶葉の酸化酵素の働きを止めるためだ。次に、揉捻と言って、加熱した茶葉を揉む。

次の工程として緑茶は乾燥を行う。しかし、黄茶の場合は低温で火入れ乾燥させる「コウバイ」と茶葉が温かく湿り気のあるうちに堆積して軽度の酸化(発酵)をさせる「悶黄」と言う工程を二回繰り返す。後酸化あるいは後発酵と呼ぶ工程だ。この酸化工程は弱発酵、微発酵のみで、白茶に近く、黒茶のように、しっかりと後発酵させない。白茶と黄茶の酸化工程は軽度であり、相違点として、白茶は乾燥前にわずかに酸化させるのだ(前発酵)。

二回の「コウバイ」~「悶黄」の後は乾燥させる工程によって製造工程は終わる。

黄茶の代表は湖南省洞庭湖にある君山という小島産の「君山銀針」だ。君山銀針は黄芽茶と言って白い産毛をつけた若芽のみを用いて製造される高級茶。姿、かたちも白茶の白毫銀針と同様に白毛をつけた銀針となる。

若葉から作る黄小茶と呼ぶ種類がある。黄小茶の代表は湖南省岳陽地方で生産される「北港毛尖」だ。古く唐代からの歴史があると言う。

更に成長した茶葉を用いて作る黄大茶と呼ぶ黄茶がある。安徽省の霍山で作られる「霍山黄大茶」が有名。茶葉は薄茶色を呈している。我が国の焙じ茶と似た所がある。

安徽省の霍山には唐代の古くからあると言う「霍山黄芽」を復活、再生産した黄茶があるそうだ。全国十一銘茶の一つに選ばれたとのことだが、まだお目にかかっていない。台湾にも黄茶はあるようだ。

黄茶の点て方を君山銀針で見る。白豪銀針と同様にグラスを用いて茶葉が茶柱となって上下移動するのを観察することが必須だ。

茶葉の分量は3グラムを基本とする。70~80℃位の湯を注ぐのが良い。グラスは蓋碗等の蓋をして蒸らす。茶柱が3回くらい上下した浮き沈み、つまり、「三起三落」の動きが止まった頃が飲み頃となる。

飲む前に香を味わうこと。喉越しの良い茶。デリケートさを持つ茶で、少人数の憩いで楽しむが良い。

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