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中国茶

信天翁(アホウドリ)喫茶主
医学博士 山中 直樹(宗直)

中国茶

中国茶は二、三千年の歴史を持つ。中国茶やその文化を理解せずにはお茶を知ったとは言えない。我が国では茶道が発展しているが、その言葉が最初に現れるのは唐代の封演と言う人の「封氏聞見記」なのだ。

茶の歴史的伝説は、紀元前28世紀に「神農」が茶の解毒作用に気づいたことから始まると言う。茶木の原産地は中国西南部雲南と言われ、現在でも樹齢が千年 以上の大木があるとのことだ。晋・南北朝時代には既に飲茶が客を迎える方法として記述されている。

本格的な中国茶文化は唐代から始まる。初めてのお茶に関する総合的な本として、陸羽の「茶経」がある。茶の歴史、産地、茶種、茶具、茶の点て方等、今日で も意味を持つ程にまとめた本だ。当時、団茶、散茶が存在していたことも判る。宋代までは蒸青法と言って、今日の我が国で用いられる茶葉を蒸す方法だ。栄西 が我が国に茶を導入したのはそうした時代の方法なのだ。

明代になると散茶が基本となった。明祖の朱元璋が貧しい育ちであったためか庶民が飲んでいた様式を促したのだ。葉を炒めて作る炒青法によってお茶を作る方 法が中心となった。明代に始まる今日的な散茶として、緑茶、白茶、黄茶、花茶、黒茶、紅茶、烏龍茶と製法に工夫が加えられた。紅茶は福建省崇安星村、烏龍 茶は福建省武夷山に始まる。紅茶、烏龍茶は明末から清初期からだ。

中国茶の種類は六大茶と呼ぶ緑茶、白茶、黄茶、黒茶、紅茶、烏龍茶が基本。緑茶だけで一千種あるそうだ。加えて、花茶、緊圧茶、抽出茶、果実茶、薬用健康茶等がある。

中国は、年間に60万トンを生産する世界最大の茶産地であり、輸出国(20万トン)だ。茶種としては2/3が緑茶で42.2万トン。烏龍茶は5.4万ト ン、紅茶4.9万トン、緊圧茶1.9万トン、その他の茶が4.9万トンだそうだ。

歴史的には茶葉を摘み取って食べたり、スープにして飲むことから始まった。唐代は蒸青して餅状に固めた茶が主流だった。蒸してばらばらな散茶も現れた。明代より炒青法散茶中心となり、今日に至っているのだ。

飲茶の目的としては、のどを潤す生理目的の喝茶、精神的な飲茶として品茶がある。近年では、無我の茶会と言われる精神的な面を重んじる喫茶法が盛んになっていると言う。

いずれにしても、中国茶の歴史は日本の茶史に大きな影響を持っている。今日、再び、中国茶ブームと言われるが我が国の人々は何を求めているのだろうか。

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