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骨董で贋作をつかまないシリーズ

日本骨董学院・学院長
東洋陶磁学会・会員
日本古美術保存協会・専務理事 細矢 隆男

骨董を買う前に人を買え

一人で骨董店をまわったり、露天の骨董市をまわって買っていますと、贋物や修理品などを買ってしまうことは日常茶飯事です。そこでわれわれはそうした物を買わないようにするにはどのように対応したらよいのかということになります。骨董の世界における自分の実力、すなはち鑑識眼や鑑定能力がつくまでにはかなりの時間がかかります。
正しいことをいろいろ教えてもらえればいうことありませんが、教えてもらうためにはそれなりの授業料を払わねばなりません。しかし授業料を払わないで何かを有効に習得することはなかなか難しいことであると思います。有効に勉強するにはそれは致し方ないでしょう。

さて骨董業界には「骨董品を買う前に骨董商を買え」ということばもありますが、それはどのような意味なのでしょうか。まさか骨董商を買うことは出来ませんから、それは例え話としてなのだということになりますが、よく考えてみると、店で売っている骨董品はすべてその店の主人が選んで買ってくるわけです。
ニセモノが多い店の主人はニセモノであり、いいものを置いてある店の主人は本物という見方も、あながち間違いではないでしょう。そこでよい主人を選べば、おのずとよい骨董品も手に入るという、そういう意味なのです。よい骨董商を探しなさいということなのです。

そこで自分の好きなものを売っている骨董屋さん、気の合いそうな骨董屋さんを探すわけですが、それがなかなか雲を掴むようなわけでうまくいきません。どの業者さんがいい業者さんなのか外見ではわかりません。

ここではいくつかのヒントをお教えしたいと思いますが、何代か続いている骨董屋さんも信用ができると思います。新しい骨董屋さんでも、熱心でまじめに対応してくれる、買った品物についても、いつでも1割から2割付けてくれれば引き取ると言ってくれる場合は信用できるでしょう。また真贋についてもはっきり言ってくれる方も信用できます。こちらがすでにプロの免許を持っている場合は、その旨を伝えて、正直に対応すればよいと思います。

何回かお付き合い(少し買うこと)すれば、相手がどういう人かわかります。
そのようにして自分が信頼できそうだと思った骨董商の何人かと接してみます。

プロ同士の売買ですと、定価の6掛けから7掛け位には安くなるでしょう。うまくすると半額ということもあります。それはあくまでもお付き合いの仕方にもよりますので必ずそうなるとはいえませんが、よい骨董屋さんと付き合うと、自然にそのまた友達のよい業者さんと知り合いになれたり、連鎖的に良い輪が広がってゆくものなのです。
ですから皆さんがこれから古美術、骨董で楽しみたいとお考えなら、業者の中から是非よい先人や先輩を探してお付き合いすることです。それがあらゆる意味で良い品物、すなはち価値ある古美術・骨董が手に入る最短コースといえるとでしょう。

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