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インターネット公開文化講座

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愛する人に作りたいスイーツレシピ

郷土料理研究家
栄中日文化センター提携 インターティアラ・お料理サロン 主宰
伊藤 華づ枝

第1回 夏の冷菓 ~ピーチ・メルバと手作りあずきバー~

 前シリーズでは「日本全国食べ歩き~郷土の味を求めて~」と題し、筆者が全国各地を食べ歩いて研究した郷土の味、その土地の人々から愛されてきた逸品を、作りやすいレシピと共にご紹介しました。今シリーズでは、お菓子の歴史やその名前の由来、誕生秘話などを取り入れながら、家庭で作りやすいスイーツレシピを毎月2点ずつご紹介します。

1.ピーチ・メルバ

ピーチ・メルバとは、バニラの風味をつけたシロップで煮た桃の上に、バニラアイスクリームをのせて木苺(ラズベリー)ソースをかけ、スライスアーモンドをのせた桃の冷たいデザートです。

<名前の由来>

「メルバ」とは、オーストリアのオペラ歌手「ネリー・メルバ」が愛したデザートであるということから名づけられました。

<誕生秘話>

西暦1892年、ロンドン公演のためにメルバが宿泊していた、サヴォイホテルの名料理長「オーギュスト・エスコフィエ」が、連日の公演で咽を痛めていたメルバのために即興で作った甘いデザートです。
即興のデザートだったため、このデザートの名前はなく、名前を聞かれた料理長はメルバを讃えて「ピーチ・メルバ」と名付けました。

ちなみにサヴォイホテルの総支配人セザール・リッツとオーギュスト・エスコフィエは、ホテル・リッツなどいくつものホテルを世界に知らしめた人です。

ロンドンの「リッツ・ロンドン」へ宿泊しました(1997年12月)

「リッツ・ロンドン」の外観と筆者(2012年2月)


桃の丸ごとコンポートゼリー

※今が旬の桃をバニラシロップで煮てから、煮汁も共にゼラチンでゆるく固めた私のオリジナルレシピです

エネルギー225kcal、タンパク質2.4g、脂質0.9g、塩分0g(1人分)
材料(4人分) 分量
白桃(小1コ200g位) 4コ
 
A  
400ml
白ワイン 100ml
グラニュー糖 130g
レモン汁 大さじ1
バニラビーンズ(縦に割る) 1/2本
 
大さじ2
粉ゼラチン 1袋(5g)
ミント 4枝

作り方

  1. 桃は沸騰した湯に1コずつ入れ、すばやく水にとって皮をむきます。
  2. (A)を鍋に入れて煮立て、1.を煮汁をかけながら弱火で25~30分間程煮てから、バニラビーンズを取り出します。
  3. 分量の水にゼラチンを振り入れてふやかし、2.に混ぜます。
  4. 3.の粗熱を取り、ボウルに移して氷水で冷やすか、冷蔵庫で1晩かけてゆっくり冷やします。
  5. 器にゼリーと4.の桃を盛り、ミントを添えます。

※桃を煮る時間は、桃が軟らかい場合は短く、硬い場合は長くします。

 

大鍋で煮た桃をゼリーで固めている様子


<名古屋で食べるなら...>

桃のコンポートの下には、桃のシャーベットが敷かれていました。

★イザーレ・シュウ
(Issare Shu)

名古屋市中区栄1-3-3ヒルトンホテルプラザB1F


2.あずきバー(あずきの氷菓)

代表的な商品として井村屋から「あずきバー」という名前で販売されており、今では日本全国で親しまれている氷菓です(あずきバーは井村屋の商標登録製品です)。

井村屋の「あずきバー」(2014年7月)

あずきの氷菓の始まりは、1915年(大正4年)嶋田屋(現在・東京の湯島にある甘味処「みつばち」)の偶然の発見から生まれました。
冷夏の影響でかき氷が売れず、かき氷にのせる粒あんが残ってしまい、店の夫婦が冷凍して食べてみました。美味しかったので、試しにアイスクリーム製造機にあずきを加えた事から始まったといわれています。

大正時代の終わりには、うるち米を使った最中種(もなかの皮)にアイスを挟むアイス最中も登場しました。
子どもから大人まで、幅広く人気のあるデザートと言えます。

<日本のアイスクリーム>

アイスクリームとは牛乳などの乳製品に卵、糖類、香料などを合わせて撹拌し、凍らせた冷菓の総称です。
日本で最初にアイスクリームを食べたのは、1860年に日米修好通商条約の批准書交換の為に渡米した、徳川幕府一行とされています。

1869年5月9日、町田房蔵が横浜馬車道通りで、日本で最初のアイスクリーム「あいすくりん」の製造を始めました。

1900年には資生堂がアイスクリームの販売を始めました。日本でアイスクリームの工業生産がスタートするのは、大正9年のことです。

アイスクリームは世界各国でその国ごとに、規格が設けられています。
日本では食品衛生法により「アイスクリーム類」と「氷菓」に分類されます。
アイスクリーム類はさらに「アイスクリーム」・「アイスミルク」・「ラクトアイス」と乳固形分・乳脂肪分の割合ごとに分けられます。

  • アイスクリーム:乳固形分15%以上、乳脂肪分8%以上
  • アイスミルク:乳固形分10%以上、乳脂肪分3%以上
  • ラクトアイス:乳固形分3%以上

伊藤華づ枝作
いちごのアイスクリーム

伊藤華づ枝作
バニラのアイスクリーム


「氷菓」は乳製品が入っていない、又は乳固形分が3%未満の凍ったお菓子のことで、かき氷・シャーベット等がこれに分類されます。

伊藤華づ枝作
桃のシャーベット

伊藤華づ枝作
メロンのシャーベット


今ではさまざまな会社から、多くの種類のアイスクリーム・氷菓が販売され、一大産業となっています。

手作りあずきバー

手作りの小豆あんに牛乳・コンデンスミルクを加えて固めたアイスクリーム

エネルギー205kcal、たんぱく質6.0g、脂質2.1g、塩分0.1g(1コ分)
材料(アイスキャンディ型8コ分(100ml容量)) 分量
小豆(乾) 1カップ(180g)
砂糖 180g
牛乳 200ml
コンデンスミルク 60g

作り方

  1. 小豆は洗い、水に浸して30分間位おきます。
  2. 1.を火にかけて煮立ったらザルに上げ、冷たい水で洗います(この作業をびっくり水といいます)。これをもう1回繰り返します。
  3. 2.にたっぷりの水を加えて火にかけ、小豆が柔らかくなるまで、水を差しながら50分間位少しつぶし加減に煮ます。
  4. 3.に砂糖を加え、水分が少なくなってゆるい粒あん状になるまで煮ます。
  5. 4.に牛乳を入れ、均一になるまで混ぜながら煮ます。
  6. 5.を冷ましてコンデンスミルクを加えて混ぜ、とろみがついたら型に入れ、冷凍庫で冷やし固めます。

※製氷皿に入れて固めても良いでしょう。

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