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インターネット公開文化講座

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愛する人に作りたいスイーツレシピ

郷土料理研究家
栄中日文化センター提携 インターティアラ・お料理サロン 主宰
伊藤 華づ枝

第12回 長年愛され続けるお菓子 ~クッキーとココナッツ団子~

 前シリーズでは「日本全国食べ歩き~郷土の味を求めて~」と題し、筆者が全国各地を食べ歩いて研究した郷土の味、その土地の人々から愛されてきた逸品を、作りやすいレシピと共にご紹介しました。
今シリーズでは、お菓子の歴史やその名前の由来、誕生秘話などを取り入れながら、家庭で作りやすいスイーツレシピを毎月2点ずつご紹介してまいりました。

第12回目(シリーズ最終回)の今月は、「長年愛され続けるお菓子」クッキーとココナッツ団子です。

1.クッキー

小麦粉を主材料に、バターや砂糖などを混ぜ合わせて焼いた洋菓子のこと。

<名前の由来>

「小さなケーキ」を意味するオランダ語、「koek(クーク)」に由来しています。
もともとはケーキを焼く前に、オーブンの火加減を確かめるために、生地を少量焼いてみたことが始まりとされています。
18世紀にアメリカに移住したオランダ人が広め、アメリカの各家庭で作られるようになりました。

伊藤華づ枝作
ジャムクッキー
~レモンティーを添えて~

<クッキー・ビスケット・サブレの違い>

どれも小麦粉が主材料の焼き菓子のことですが、国による呼び名の違い、バターなどの油脂の量に差があります。

クッキー:主にアメリカでの呼び名

ビスケット:主にイギリスでの呼び名

パンの保存性を高めるため、二度焼きしたことに由来し、「ビス」が"二度"、「ケット」が"焼く"を意味します。
アメリカでビスケットと言うと、生地にショートニングを加え、ベーキングパウダーなどで膨らませたスコーンのようなパンのことをさします。

サブレ:主にフランスでの呼び名

クッキーやビスケットよりもバターの配合が多く、サックリとした食感が特徴です。
名前にはいくつかの由来があります。

  1. フランスのサブレという地で作られたという説
  2. 17世紀にサブレ公爵夫人がサロンで出したという説
  3. フランス語で「Sablé(砂)で覆われた」という意味からきたとされる説

日本では縄文時代に、栗などの実を粉状にして固めて焼いた「縄文クッキー」が存在したとされています。
1971年(昭和46年)に全国ビスケット協会が定めた規約によると、以下のように定義付けされています。

~以下は日本における定義~

ビスケット

小麦粉、糖類、食用油脂および食塩を原料とし必要により澱粉、乳製品、卵製品、膨張剤、食品添加物の原料を配合し、または、添加したものを混合機、成型機およびビスケットオーブンを使用して製造した食品

クッキー

手作り風の外観を有し、糖分、脂肪分の合計が重量100分比で40%以上のもので、嗜好に応じ、卵、乳製品、ナッツ、乾果、蜂蜜などにより製品の特徴づけをおこなって、風味よく焼き上げたもの

伊藤華づ枝作
バジリコとくるみのクッキー

<クッキーの種類>

★型抜きクッキー

生地をめん棒でのばして抜き型で抜いたり、好みの形に切り分けて焼きます。

伊藤華づ枝作
チーズクッキー

★スノーボール

雪の玉に見立て、丸く焼いたクッキーに粉砂糖をまぶした、アメリカの家庭菓子。
生地にアーモンドパウダーが入るため、口の中でほろほろと崩れる食感が特徴です。

伊藤華づ枝作
スノーボール

ハンナおばさまのクッキー

※ココア&ナッツとチーズの2種類が楽しめます

材料(24枚分(ココア&ナッツ12枚、チーズ12枚)) 分量
バター(無塩・室温) 200g
グラニュー糖 130g
全卵 1コ
卵黄 1コ分
ブランデー 大さじ1
薄力粉 320g
ココア(無糖) 大さじ1
小麦粉(打ち粉) 適宜
 
A  
ミックスナッツ 80g
マカダミアナッツ(半分に切る) 6コ(20g)
 
粉チーズ 20g
パプリカパウダー 適宜

作り方

  1. ボウルにバターを入れ、ハンドミキサーでよく混ぜ、グラニュー糖を少しずつ入れてさらに混ぜます。
  2. 1.に溶いた卵を少しずつ入れて混ぜ、ブランデーを加えます。
  3. 2.に薄力粉をふるいながら加え、サックリと混ぜ合わせ、生地がひとまとまりになったら半分に分けます。
  4. 3.の半量にココアを加えて混ぜ、打ち粉を振ったまな板の上で棒状にまとめてから、12等分に切り分け、手に粉をつけながら1つを直径7~8cmに広げ、オーブンシートを敷いた天板に並べて(A)をのせ、手で少し押さえつけます。
  5. 3.の残りの生地は、4.と同様にし、オーブンシートを敷いた天板に並べてチーズをのせ、軽く押さえます。
  6. 5.を170℃のオーブンで18~20分間程焼きます。残り3分の時にチーズクッキーの上にパプリカパウダーを振って焼き上げます。

ラッピングをする際にクッキーの味を記載すると、わかりやすいため、プレゼントした相手にも喜ばれるでしょう
※ちなみに"ハンナおばさま"とは、料理教室の生徒たちが私のことを呼ぶときの名前です

<ナッツの栄養素>

リノール酸やオレイン酸などの不飽和脂肪酸を豊富に含み、コレステロール値を下げて動脈硬化を予防します。
ビタミンB1やB2、Eなどのビタミン類も豊富に含むため、疲労回復や体力増強に役立ちます。

2.ココナッツ団子

白玉粉と小麦粉を練り合せた生地であんこやカスタードクリームを包んで蒸し、ココナッツパウダーをまぶしたお菓子です。

伊藤華づ枝作
ココナッツ団子
あんこ入り

伊藤華づ枝作
ココナッツ団子
カスタードクリーム入り


<ココナッツ>

近年、日本ではココナッツオイルやココナッツ風味のお菓子が大人気です。
ココナッツとは、ヤシ科ココヤシの種子のことで、熱帯地方で栽培されています。
完熟した固形の胚乳部分を、様々な形状で食用としています。

ココナッツジュース(胚乳水)

未熟果から採れる液状胚乳で、少し甘味と酸味がある透明な飲み物。

ココナッツパウダー(フレーク)

成熟した胚乳を薄くそいで乾燥させ、粉状にしたもの。
細切りにしたものは「ココナッツロング」、粗挽きにしたものは「ココナッツファイン」と呼ばれ、用途によって適したサイズが使われます

伊藤華づ枝作
ココナッツパウダーを使った
ココナッツとアーモンドのクッキー

伊藤華づ枝作
ココナッツパウダーを使った
バナナのチェー(ベトナム風ぜんざい)


ココナッツパウダーを使ったシンガポールの菓子
左(緑色のもの):クエダダ(砂糖漬けにしたココナッツフレークをパンダンリーフの緑色をしたクレープで巻いたもの)
右:オンデオンデ(タピオカ粉の団子・周りにはココナッツがまぶしてあり、中には黒蜜が入っている)

ココナッツクリーム

ココナッツパウダーに水分を加えて絞った白く濃い液体。
生クリームのように使われます。

ココナッツミルク

ココナッツクリームを絞った後に、更に熱湯を加えてよくもんで絞った牛乳のような液体。
菓子の他に、カレーやスープなどの煮込み料理にも使われます。

伊藤華づ枝作
ココナッツミルクを使った
ムース~マンゴーソースかけ~

伊藤華づ枝作
ココナッツミルクを使った
グリーンカレー


近年ブームのココナッツオイルは、ヤシ油とも呼ばれ、胚乳から抽出精製された油です。
細胞の老化を遅らせる抗酸化物質が豊富に含むとされ、美容にも使用されています。

ココナッツ団子

※ココナッツの優しい甘さに癒されます


材料(8コ分) 分量
食紅 少々
熱湯 大さじ2
小麦粉 30g
白玉粉 60g
~50ml~
こしあん 75g
 
A  
ココナッツパウダー 25g
粉糖 12g

作り方

  1. 食紅で色をつけた熱湯で、小麦粉を練ります。
  2. 白玉粉は分量の水で練ります。
  3. 1.と2.を合わせてよく練ります。
  4. 3.を8等分にし、丸めたあんを包みます。
  5. 蒸気の上がった蒸し器で6~7分間蒸します。
  6. 5.を水にとって冷やし、水気をふいて(A)をまぶします。
  7. 器に盛ります。

<ココナッツパウダーの栄養素>

味覚を正常にする亜鉛や高血圧を予防するカリウム、貧血予防に効果のある鉄などを豊富に含みます。

皆様の益々のご健康をお祈りし、今シリーズを終わらせて頂きます。

次シリーズでは、「季節の保存食を作りましょう」というテーマで、最新の保存食レシピをご紹介する予定です。
手作り食品は、「心にゆとり」を生み出す、本物の味です。
加工食品は食品添加物などの心配がありますが、手作りすると安心して家族に与えられる・味も栄養価も充実している・値段が安いなどの長所がいっぱい!!

引き続きのご愛読をお願い申し上げます。

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