ステップ1 町の散歩
ミラノ:
聖アンブロジオ教会とサンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会
聖アンブロジオ教会
今回は、ミラノで重要な二つの教会を紹介したいと思います。その一つ、ミラノで最も古いとされる聖アンブロジオ教会(Basilica Sant'Ambrosio)は、4世紀に建てられました。その後度重なる修復によって姿を変えてきました。ヴェネディクト会の修道院が隣接し、聖堂前面に長方形をした荘厳な柱廊に囲まれた前庭(Atrium)をもつロマネスク様式の現在の姿は、12世紀頃とされています。
313年にコンスタンティヌスローマ皇帝はキリスト教を公認する『ミラノの勅令』を発布して、キリスト教徒迫害に終止符が打たれました。379年にミラノ司教聖アンブロジオ(334-397)は、殉教者たちの霊を弔うためにここに殉教者聖堂(Basilica Martyrum)を建てました。
『告白』でよく知られている初期キリスト教最大の思想家である聖アウグスティヌス(Sant'Agostino 354-430)は、ミラノで聖アンブロジオと出会い、彼から洗礼を受けキリスト教徒に改宗します。その後キリスト教が世界に拡がってゆくなかで大きな影響を与えてゆくことになります。聖アンブロジオは397年に死去し、この教会に埋葬されました。ミラノの守護聖人として今もミラノの人たちに愛されています。
もう一つミラノで忘れてはならない教会があります。レオナルド・ダ・ヴィンチの『最後の晩餐』(Cenacolo)があるサンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会(Chiesa di Santa Maria delle Grazie)。この教会はもともとドメニコ会派の修道院として1464-1482年に造られました。
レオナルド・ダ・ヴィンチの『最後の晩餐』
ベアトゥリーチェとイル・モーロ
その後ミラノの君主となったルドヴィーゴ・スフォルツァ(通称Ludovico il Moroと呼ばれていました)は、エステ家出身の最愛の妻ベアトゥリーチェ(Beatrice d'Este)
をこの教会に埋葬しスフォルツァ家の霊廟にする予定で改築に乗り出します。ルドヴィーコはフィレンツェやマントヴァの新しいルネッサンス文化に魅了されて、当時最も売れっ子であったブラマンテにその設計を依頼します。更に修道院の食堂にはレオナルド・ダ・ヴィンチに『最後の晩餐』(1495-1497)を描かせたのでした。
ベアトゥリーチェとイル・モーロの墓は、ヴィスコンティ家の霊廟であるパヴィアのCertosa di Paviaの修道院のなかに二人並んで永遠の眠りについています。
ステップ2 あなたのイタキチ度は?
イタリアについての常識問題にチャレンジして下さい!
- 大航海時代、最初にアメリカ大陸を発見した探検家の名前は!
- イタリアサッカーの伝統的な堅い守備を何と言うでしょうか!
- イタリアのコメディーにでてくる道化師の名前を挙げて下さい!
- もうごうイカに由来する色を何と言うでしょうか!
- イタリアで不吉な数字は何でしょうか!
ステップ3 娯楽(1): 劇場に行く
日中は町の観光で忙しく動いているので、夜は食事を済ませたらゆっくり体を休めたいと思う人が多いと思います。しかし夜は夜でいろいろ楽しいエンターテイメントが盛りだくさんあります。オペラやコンサートそしていろいろな音楽のライブもあります。またサッカーのシーズン中であれば是非本場のサッカー観戦も楽しんで見て下さい。
イタリアでは、コンサートなどは9時に始まり11時か12時頃に終わるのが一般的です。
- イタリアのオペラのシーズンはだいたい10月から6月です。しかし夏休みには野外劇場でオペラやコンサートを楽しみます。避暑地などではその為にいろいろなイベントを企画して観光客を集めています。ヴェローナの円形劇場(Arena)やローマのカラカラ浴場(Terme di Caracalla)は有名です。7月から9月にかけて野外オペラが行われています。
チケットの手配
チケットは現地で簡単に手に入ると思っておられる方が多いようですが、出来る限りインターネットなどでスケジュール等について調べておかれることをお勧めします。またスカラ座などのように大きな劇場ではネット上でチケットの予約販売もしていますので利用されるとよいと思います。また旅行社や仲介業者などでも手配してくれると思います。勿論手数料が余分にかかりますので注意して下さい。
ここでは現地でチケットを手配するときに必要となる会話を紹介しましょう。
Ha il biglietto per oggi?
ア イル ビリエット ペル オッジ |
当日券ありますか? |
Ci sono dei biglietti per questa sera?
チ ソーノ デイ ビリエッティ ペル クエスタ セーラ |
今晩のチケットありますか? |
Sono ancora in vendita i biglietti?
ソーノ アンコーラ イン ヴェンディタ イ ビリエッティ |
チケットまだ買えますか? |
Mi fa vedere lo schema dei posti?
ミ ファ ヴェデーレ ロ スケーマ デイ ポスティ |
座席表を見せてもらえますか? |
Vorrei questo posto(davanti・centrale・indietro).
ヴォッレイ クエスト ポスト(ダヴァンティ・チェントゥラーレ・インディエトゥロ) |
この(前の・真ん中辺りの・後ろの)席がいいです。 |
Possiamo avere due posti vicini?
ポッシアーモ アヴェーレ ドゥーエ ポスティ ヴィチーニ |
2席並んで取れますか? |
Quali sono le date disponibili?
クアーリ ソーノ レ ダーテ ディスポニービレ |
いつのならありますか? |
Dove posso comprare il biglietto per questo concerto?
ドーヴェ ポッソ コンプラーレ イル ビリエット ペル クエスト コンチェルト |
このコンサートのチケットを何処で買えますか? |
Conosce qualche locale in cui ascoltare canzoni italiane dal vivo?
コノーシェ クアルケ ロカーレ イン クイ アスコルターレ カンツォーニ イタリアーネ ダル ヴィーヴォ |
カルツォーネをライブで聞けるお店をご存知ですか? |
A che ora comincia(finisce)lo spettacolo?
ア ケ オーラ コミンチア(フィニシェ)ロ スペッターコロ |
ショーは何時に始まり(終わり)ますか? |
劇場での会話
- 座席について
劇場によって多少違いますが、スカラ座の場合、一番値段の高い平土間席(プラテーア Platea)、4人から6人掛けのボックス席(パルコ Parco)、そして桟敷席(ガッレリーア Galleria)があります。しかし最も安い天井桟敷席(ロッジョーネ Loggione)への入り口は劇場の正面からは入れませんので注意して下さい。 - 服装に注意しましょう!
オペラ初日は着飾った人々が集い、華やかな社交場となりますが、それ以外であれば気持ちフォーマルな服装を心がければよいと思います。しかし平土間席では周りの人たちとの釣り合いもありますので、少しドレスアップする必要があります。
Mi può dare un programma?
ミ プオ ダーレ ウン プログランマ |
プログラム下さい。 |
Vorrei noleggiare un binocolo.
ヴォッレイ ノレッジャーアレ ウン ビナーコロ |
オペラグラスを借りたいんですが。 |
Mi può indicare dov'è il mio posto?
ミ プオ インディカーレ ドーヴェ イル ミオ ポスト |
席が何処か教えてもらえますか? |
Dov'è il guardaroba?
ドーヴェ イル グアルダローバ |
手荷物預かり所は何処ですか? |
Quanto dura l'intervallo?
クアント ドゥーラ リンテルヴァルロ |
休憩時間はどれくらいですか? |
ステップ2の答え
- クリストファー・コロンブス(Cristoforo Colombo 1451-1506):Genova出身の探検家であり航海者。
- カテナッチョ(Catenaccio):イタリア語で「鍵をかける」「かんぬき」を意味する言葉で、イタリアサッカーの堅実な守備を重視した戦術を意味しています。またリーベロ(Libero)と言う言葉もイタリア語で「自由」を意味しています。カテナッチョがフォワード以外の殆どの選手(giocatori)を相手チームの選手にマンマークでつかせ、ディフェンスラインの後ろ、チームの最後尾に一人だけ、マークすべき選手を持たない「自由に動く」選手を置いた戦術を意味しています。
- イタリアで生まれた古典仮面喜劇、コメディア・デラルテ(Commedia dell'arte)に登場する道化師で、仮面を付けるのが主流で、顔の表情より体の動きが重視され、この特徴は後にパントマイムに発展します。ピエロ(Piero)、アルレッキーノ(Arlecchino)、スカラムーチャ(Scaramuccha)、プルチネッラ(Pulcinella)、パンタローネ(Pantalone)、コロンビーナ(Colombina)そしてドットーレ(Dottore)など。
- セピア色:もうごうイカはイタリア語でseppiaと言います。もうごうイカの墨から作った絵の具の色の暗黒褐であったことからそう言われるようになりました。
- イエス・キリストが処刑された日が13日の金曜日であったため忌むべき日であると考えられています。イタリアでは17が忌み数と考えられています。17をローマ数字で書くとXVIIとなり、これを並び替えるとVIXIとなります。これはラテン語で「私は生きた」という意味で、転じて「私の人生は終わった」、すなわち死という意味になるからです。