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幸福寿命・Well-being Lifetime

Wellbeing Specialist & Designer
アップグレーズ狂人 UpGrades Crazy
医学博士 山中直樹

Well-being120(120歳まで幸せに生きる)・・20 自然ジネンの生きがい Well-being120-2

 2021年1月2日にはコロナ禍でも世界最高齢者の日本人は118歳を迎えました。
 生命科学、ITが進展しており社会は急速に変わっていますが防疫医療体制による新型コロナウイルスのパンデミックを防いでいません。
 逆に、SNSと同様に速いスピードで世界中に広まってしまいました。
 科学や技術の進歩に比して、国家や国際社会では権力の都合、短期的な利益追求、差別、弱者軽視、信仰や政治的社会的な分断によって協力体制が築かれていません。
 権力者や群れを頼りとする人たちの都合、人種、貧富や教育、仕事による差別が逆に広がって弱者を犠牲にして争っています。
 オードリー・タンのように「私は政府とともに働いている。政府のためにではない」(日経社説)と職に務める人は多くありません。
 こうした時代に一人ひとりがWell-beingであるためにはどうすれば良いでしょうか。

 私が目標にしているWell-beingについて述べたいと思います。
 一人ひとりが自分のWell-beingを目指すのです。
 私のWell-being120の基本は、ブッダ・釈迦の教えを原典にしています。
 既に取り上げましたが、「諸行無常 諸法無我 涅槃寂静」です。
 「時間は必ず過ぎ去り、全ては変化する。
 自然の法則は理法であって自分の恣意や都合では変えられない。
 煩悩を排して静かに中道の心で生病老死にうろたえない」
と理解しています。
 「自然の摂理・理法に従う莫煩悩の心」です。
 ブッダは在家信者の心得を「シンガーラへの教え」(『ブッダの真理のことば 感興のことば』中村元 岩波文庫)で説いている教えです。
 「青蓮華、紅蓮華、白蓮華 水の中に成長し、水の中から現れ出て、しかも水に汚されないでいるように。そのように、人格を完成した人は、世間で成長し、世間に打ち克って、しかも世間に汚されないでいる」。
 ブッダは最後までキリストやムハンマドのような教祖的な立場は取りませんでした(『ブッダ最後の旅』中村元 岩波文庫)。
 ただ、悟りを開いた先達として教えを説いていたのです。
 しかし、ブッダは全体的な一神教思想のような一つの教義に従うのではなく、一人ひとりが自分の考えを持つことを大切にしています。
 「自らを灯明とすること・法を灯明とすること」(自灯明・法灯明)の教えです。

 ブッダ自身が大和絵の原典と言ってよい法隆寺の玉虫厨子の台座にある「捨身飼虎図」のように自分の命を捨てる境地として生病老死の煩悩から脱して寂静の涅槃に到達したのは80歳になってからだと正直に言っています(『ブッダ最後の旅』中村元)。
 在家信者に招かれた時の料理のスープに毒キノコが誤って混ざっていると知ったブッダは弟子たちには飲まないように言って招待者の好意に自分だけが飲んだのです。
 ブッダも生死の煩悩を乗り越えるのは容易ではなかったのですから、私はあきらめずに「自分らしく・Keep it Real」で自分流の莫煩悩を求め続けています。
 一人ひとりが煩悩を少しでも減らせばWell-beingな社会につながれると思います。

幸福寿命・Well-being Lifetime
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