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お茶成分と薬効

信天翁(アホウドリ)喫茶主
医学博士 山中 直樹(宗直)

β--カロチンのサプルメント摂取は賢明ではない

前回でも紹介したCancer Factsにあるβーカロチンのサプルメント摂取について、米国人に発しているアドバイスを紹介する。

喫煙者はβ--カロチンを摂取すべきか?
まず、NCI(National Cancer Institute) は今までに米国民に向かってサプルメントを摂取すべきかどうかについて勧告したことはないのだ。
タバコを吸う人達に対しての最高のアドバイスは次のようだ。今だ、端的にいって、肺がんとなる危険性を減らそうと思うならば、禁煙だ。
前回までに紹介した CARET および ATBC 予防試験で判るように喫煙者はβ--カロチンを含むサプルメント摂取は避けるべきだ。

非喫煙者はβ--カロチンのサプメント摂取をすべきか?
  既に紹介した The Physician's Health Study と云う米国男性医師を対象とした予防試験の結果は次のようだ。β--カロチンを一日おきに12年間摂取した米国男性医師の非喫煙者にとってβ--カロチンは何の利益も障害もなかった。
また、CARET および ATBC 試験の結果を見ても非喫煙者に対してのβ--カロチンのサプルメントが有効との情報はない。

以上をふまえて NCI は次のようだ。米国民がサプルメントを摂取すべきかどうかについて勧告はしない。つまり、科学的な根拠不十分で勧告できる状況にないのだ。
NCI はガンの危険性を減らそうと思う人達に対して次のようにアドバイスする。沢山の果物、野菜および穀物を含む低脂肪食を採用するのが賢明であると。

以上より明らかなことはβ--カロチンのサプルメントはお金の無駄遣いにすぎないこと。特に喫煙者にとっては逆にβ--カロチンのサプルメント摂取は肺がんやその他で死亡率が増加してしまう。
低脂肪食で色んな種類の果物や野菜を毎日食べるのが良いのだ。
β--カロチンの例で判るように、ある成分が健康に良いとの情報が発信されたからと言っても、その成分を含むサプルメントが必ずしも有効とはならないのだ。

まず、その科学的根拠が如何なるレベルなのかが大切なのだ。その情報がせめて「前向き無作為割付栄養介入試験」に基づいた予防試験くらいでなければ信用しない方が良い。
しかし、残念ながら我が国ではいまだ上記試験を行える体質や体制にはない。

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