今年は大人気のワインのおかげでソムリエの私のスケジュールも目まぐるしいものとなりました。２日に１度は電車に乗って地方に講演の仕事で出掛けておりました。お休みもずっと取れず少々寂しいのですが、電車の窓からは時期はずれの紅葉が楽しめて、あまりの美しさに感動してしまいます。秋の写真集の中に自分が入り込んだようで、片道３時間の道のりもなかなか良いなと思う瞬間です。

先日の講演「おしゃべりワインセミナー」も無事終了し、お客様の笑顔を沢山いただいた楽しい仕事でした。

これからはレストランが１年で一番忙しい季節を迎えます。忘年会、クリスマス、中でも12月24日はカップルの若いお客様でレストランは満席です。

独身の人にとっては誰とどこで24日を過ごすのかが大切なわけですが、限定メニューでバタバタとしたレストランは熟年のお客様にはお勧め出来ません。１日か２日ずらしてご来店いただいた方が満足度の高いお食事となります。24日はお家でゆっくりとシャンパンを楽しまれてはいかがですか？　グラスの底から立ち昇る美しい泡はクリスマスに相応しい華やかさがあります。

ワインのスタートは約８千年前と言われておりますが、シャンパンは1660年代にスタートした最近のお酒です。コルク栓がガラス壜の普及によって産まれ、英国の上流階級やロシアの皇帝に愛飲され、かの有名なポンパドゥール女史は「女性に飲めて、しかも美しさをおとろえさせないのは、シャンパンのみ」とおっしゃったそうです。

あの美しい泡は壜内で二次発酵を行った際に産まれる自然の炭酸ガスが、とじ込められ液体の中に溶け込んだものです。ハツラツとした泡は若いシャンパン、きめ細やかな泡は年を重ねた熟成したタイプのシャンパンです。お二人に相応しいシャンパンを１本よく冷やして、出会ってからの長い時間を振り返りながら、ゆったりとしたクリスマスイブを今年は過ごしてみませんか？

素敵なクリスマスイブをお過ごしくださいませ。