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ワインセミナー

シニアソムリエ 島 幸子

桜の木の下で

今年の桜もキレイでしたね。先週の日曜日にお花見に出掛けたのですが、あの桜の木の下に立ってピンク色の美しい花を見ていると「ああ、日本人に生まれて良かった。」と素直に感じます。

桜の美しさは日本を訪れる外国人にも有名で、一度満開の季節に日本に来てゆっくり桜を眺めたいと思うそうです。

ずい分前の事ですが飛行機の中で隣に座ったアメリカ人ビジネスマンに「今年の桜が満開の日はいつだろう?」と聞かれた事があり、あまり何月何日と気にした事がなかったので適当に答えました。

ワインが大好きな人でニューヨークの帰りは彼とずっとワインの話をしていました。そしてある日、彼は桜を見る為に日本にやって来たのです。私の適当に答えた日程に合わせて!

このあたりの桜は散っていて、無責任な発言の重みに後悔しました。北へ移動すれば何とかなるだろうと、札幌の友人に電話したところ、まだ早すぎる、大阪の友人に相談したら京都の遅咲きの桜があるだろう...と言われ翌日新幹線に乗りました。名古屋にわざわざ来たのにどうして京都に?と不思議な顔をする彼に「歴史の中で咲き続ける桜は一番美しいの。」と言い訳しながらの小旅行でした。

タクシーを使って京都市内を走りながら桜を探しました。何カ所か咲きほこる桜を見つけ、神社の説明などもまじえながら半日を過ごしました。夕食の後、新幹線で名古屋に向かいます。私は名古屋で降り、彼はそのまま東京まで行く事になったのですが、嘘つきにならなくて本当に良かったと今でも思っています。桜が咲くたびに思い出す飛行機の中で知り合ったワイン好きのアメリカ人ジョンの思い出です。

ロンドンの帰りに名古屋に来たジョンは汚いダンボールの箱にワインを数本入れてやってきました。ボルドーワイン一辺倒の彼はワイン屋さんで日本人の女の子におみやげを探していると言って選んでもらったそうです。そのワインは「ロマネコンティ73`」もうずっと会っていないのですがジョンとロマネコンティは桜の季節がおとずれるたび心に蘇る思い出です。
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