文化講座
第9回:お茶について学びます
前シリーズでは「お料理博士になろう!!」と題し、食材の栄養素や調理法についての説明を、オリジナルレシピとともにご紹介しました。
今シリーズでは、「旬の食材大事典~今食べたいのはこの食材!!」というテーマで、この季節に最もおいしい食材や調理法を取り上げ、その効能はもちろん、それらにまつわる様々な事柄などを、皆様にご紹介しています。
第9回目のテーマは「お茶」。
「お茶」の美味しいレシピと、お茶の種類や効能等についてご紹介します。
まずは、お茶を使ったおいしいデザートをご紹介します。
お茶を使ったおいしいデザート
三色団子
材料 | 8本分 |
---|---|
上新粉 | 150g |
ぬるま湯 | 200ml |
砂糖 | 70g |
インスタントコーヒー | 小さじ2 |
ゆで卵の黄身 | 1コ分 |
抹茶 | 小さじ1・1/2(3g) |
団子串 | 8本 |
作り方
- ボウルに上新粉を入れて、40度位のぬるま湯を加え、砂糖を加えてよく混ぜ合わせ、手にラップを巻いてしっかりとこねます。
- かたく絞ったぬれ布巾を蒸し器のサナに敷き、1.を6つ位にちぎって、蒸し器に入れて強火で約15分間蒸します。
- 火が通って透き通っていたら、ぬれ布巾の中で強くこねます。(やけどをしないように注意する)
- 3.を3等分にし、ひとつ目はコーヒーを、2つ目はつぶした黄身、3つ目は抹茶を混ぜてなめらかにします。※他の色が移らないように、その都度よく手を洗うこと
- それぞれを8等分にして、手に水を付け過ぎないようにして、丸めます。
- 水でぬらしておいた串に三色の団子を刺します。
- 蒸し器に並べて、5分間蒸します。
※花見団子にする場合は、一番下を抹茶、真ん中は白、一番上は食紅で色付けしたピンクの団子を刺します
抹茶パフェ
材料 | 4人分 | |
---|---|---|
抹茶スポンジ | 120g | |
生クリーム | 200ml | |
グラニュー糖 | 10g | |
抹茶のアイスクリーム | 4コ(300ml) | |
白玉粉 | 120g | |
水 | 100~120ml | |
ゆであずき | 150g | |
チェリー(すいか可) | 適量 | |
チョコレート菓子 | 8本 | |
ミント | 4枝 |
作り方
- 抹茶スポンジは、1人分を6切れにします。
- 生クリームにグラニュー糖を加え、しっかりと泡立てます。抹茶のアイスクリームは丸く抜きます。
- 白玉粉に分量の水を少しずつ加え、塊を指先でつぶして練り混ぜ、1人5コあてに丸めます。熱湯で浮いてくるまで茹で、水にとります。
- ゆであずきは少し煮詰めて冷まし、あんこを作ります。
- 長いグラスの底からスポンジ、生クリーム、あんこ、スポンジ、生クリーム、あんこ、抹茶アイス、白玉の順に盛りつけ、生クリームとあんこを添えます。
- 最後にチェリーとチョコレート菓子、ミントを添えます。
※写真には抹茶寒天を添えました
抹茶のアイスクリーム(参考レシピ)
材料 | 作りやすい分量(6~8人分) | |
---|---|---|
抹茶 | 大さじ2 | |
ぬるま湯 | 大さじ3 | |
生クリーム | 100ml | |
A | グラニュー糖 | 70g |
コンデンスミルク | 60g | |
牛乳 | 100ml |
作り方
- 抹茶をぬるま湯で溶きます。生クリームをしっかり泡立てます。
- ボウルに1.と(A)を入れてよく混ぜ、冷凍庫で冷やし固めます。
- 2.を2回程フードプロセッサーにかけると、なめらかな仕上げのアイスクリームになります。
抹茶スポンジ(参考レシピ)※240g分出来ます
材料 | 作りやすい分量 | |
---|---|---|
卵 | 3コ | |
グラニュー糖 | 100g | |
薄力粉 | 80g | |
抹茶 | 大さじ1 | |
牛乳 | 大さじ1 | |
バター(溶かし) | 大さじ1 |
作り方
- ボウルに卵とグラニュー糖を入れ、湯せんで6~7分間を目安にハンドミキサーでしっかりと泡立てます。
- 1.に薄力粉と抹茶をふるいながら加えて混ぜ、生地に粉が混ざってから牛乳とバターを加えてさっくりと混ぜます。
- オーブンペーパーを敷いた天板に2.を流し入れ、190度のオーブンで11分間程焼きます。
いちごの抹茶ロールケーキ
(オーブン皿は25×30センチの長方形サイズです)
材料 | 1本分 (4~6人分) |
|
---|---|---|
卵 | 3コ | |
砂糖 | 100g | |
小麦粉 | 80g | |
ベーキングパウダー | 小さじ2/3 | |
抹茶 | 大さじ1 | |
牛乳 | 大さじ1 | |
バター(溶かし) | 大さじ1 | |
A | 生クリーム | 200ml |
砂糖 | 大さじ3 | |
ブランデー | 少々 | |
いちご(中) | 12~15粒 |
作り方
- 卵と砂糖をボウルに入れ、湯せんにしてよく泡立てます。
- 充分泡立ったらふるった小麦粉とベーキングパウダーと抹茶を入れ、粉が見えなくなるまで混ぜます。
- 2.に牛乳とバターを入れて手早く合わせ、オーブン皿に紙を敷いて生地を流し入れます。
- 3.のオーブン皿を二重にして、190度のオーブンで約11分間で焼き上げます。
- 4.の紙をはずして冷まします。
- (A)を泡立てて塗り、いちごを横1列に並べます。
- これをロールに巻いて、切り分けてすすめます。
抹茶のシフォンケーキ(直径18cmのシフォン型1台分)
エネルギー254kcal、たんぱく質5.3g、脂質14.4g、塩分0.2g
(1切れ分)※1台を1/8切れで計算しました
材料 | 6~8人分 | |
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卵白 | 5コ(Mサイズ) | |
卵黄 | 4コ(Mサイズ) | |
グラニュー糖 | 110g | |
塩 | ひとつまみ | |
サラダ油 | 60ml | |
A | 抹茶 | 大さじ1・1/2 |
湯 | ~80ml~ | |
B | 薄力粉 | 100g |
ベーキングパウダー | 小さじ2/3~1 | |
C | 生クリーム | 100ml |
グラニュー糖 | 小さじ1 | |
D | 抹茶 | 小さじ1/2 |
湯 | 小さじ1~2 | |
粉砂糖 | 適宜 |
作り方
- 2つのボウルに卵黄と卵白をそれぞれ入れます。卵白を泡立てます(メレンゲを作ります)。細かい泡が立ち、白っぽくなったらグラニュー糖の1/2量を加え、勢いよく泡立てます。角が立つくらいの堅いメレンゲにします。
- 卵黄を泡だて器で溶きほぐし、残りのグラニュー糖と塩を加えて混ぜ、更にサラダ油も少しずつ入れ、全体を混ぜ合わせます。
- 2.に(A)を少しずつ加えよく混ぜます。
- 3.に(B)をふるいながら加え、泡だて器を底に立てるようにして全体をぐるぐる混ぜます。
- 4.に1.の1/3量を加え混ぜます。メレンゲの白い部分がなくなったら1.の残りを加え、混ぜます。
- 型に5.を流し入れます。170度のオーブンで35~40分間焼きます。
- ボウルに(C)を入れて8分立て(すくうとぽったり落ちるくらい)に泡立て、(D)を加えます。切り分けた6.に適宜添え、粉砂糖をふります。
抹茶ゼリーにフルーツを添えて
材料 | ゼリー型4コ分 | |
---|---|---|
粉ゼラチン | 15g(5g×3袋) | |
水 | 大さじ4~5 | |
牛乳 | 600ml | |
砂糖 | 70g | |
A | 抹茶 | 大さじ1・1/2 |
水 | 大さじ3 | |
生クリーム | 70ml | |
砂糖 | 小さじ1 | |
季節のフルーツ | ||
パイナップル | 200g | |
ラズベリー(又はいちご) | 20粒(大4粒) | |
コアントロー | 少々 | |
砂糖 | 小さじ4 | |
ミントの葉 | 12~16枚(葉の枚数で) |
作り方
- ゼラチンは分量の水で戻します。
- なべに牛乳を煮立てて砂糖を加え、1.を入れて溶かします。
- (A)を溶き混ぜて2.に加え、一度漉します。
- 3.をグラス又はゼリー型に流し入れ、冷やし固めます。
- 生クリームに砂糖を加えて泡立てます。
- 4.に5.と季節のフルーツを飾り付けます。
1. お茶の種類
緑茶やウーロン茶、紅茶など、お茶は全て同じ「カメリアシネンシス」という学名のツバキ科の常緑樹「チャ」からできています。
茶園で栽培された生葉が加工されることで、お茶は作られます。生葉は採取された時点で酸化酵素により発酵が始まり、その発酵度合いによってさまざまな種類のお茶に分かれます。
お茶の葉を摘み取ってすぐに加熱し、発酵(酸化発酵)しないようにして作ったのが緑茶、完全に発酵(酸化発酵)させるのが紅茶、その中間に位置するのがウーロン茶などの半発酵茶です。また、緑茶は、加熱の方法の違いによって釜炒り製(中国式)、蒸し製(日本独特のもの)の二通りに分けられます。
茶の葉から作ったお茶以外にも、ハーブからできたハーブティーや、穀物を焙煎したそば茶、黒豆からできた黒豆茶などもあります。
2. 緑茶
日本人に馴染み深い緑茶は、苦味や渋味、旨みなど独特な味を楽しめます。茶の葉を摘み取った直後に、酸化発酵を極力抑えて発酵するのを防いだ不発酵茶です。煎茶やほうじ茶、抹茶など日本茶の多くは緑茶です。
八十八夜
「夏も近づく八十八夜~♪」と歌われますが、立春から数えて八十八日目の5月2日前後は、春から夏に移り変わる節目で、茶摘みの最盛期を迎えます。今年2020年の八十八夜は、5月1日です。この頃はちょうど新芽の時期にあたり、その年の新芽を摘んで製造したお茶を新茶(一番茶)と呼んでいます。丁寧に摘まれた柔らかい新芽は、すがすがしい香りで甘みや旨み成分も多く、極上とされています。昔から新茶を飲むと一年中病気をしないといわれ、八十八が末広がりということもあり縁起物とされています。新茶を摘み取った後の6月~7月に摘まれたお茶が二番茶、7月~8月のものが三番茶となります。
緑茶成分
緑茶の三大成分は渋みのカテキン(抗酸化作用、抗菌作用、血圧・血糖値・コレステロール値の抑制作用、風邪予防、虫歯予防、消臭効果など)、苦みのカフェイン(覚醒作用、強心作用、利尿作用など)、旨みと甘みのテアニン(リラックス効果、集中力アップ、抗ガン作用など)で、その他にもビタミンC(抗酸化作用、ストレス解消)やフラボノイド(血管強化、口臭予防)、ミネラルなど、数えるときりがありません。
緑茶の種類
主な緑茶には一番高級とされる玉露、一般的な煎茶、すし屋でよく飲まれる粉茶(製造過程に出る粉のように細かい茶葉)、抹茶、番茶(二番茶以降の葉で作る)、ほうじ茶(強火で炒って香ばしい香りを出したもの、カフェインが少ない)、玄米茶(玄米を焙じて加えたもの)があります。
抹茶について
日光を避けるために「よしず」と「わら」で覆って育てた新芽を、蒸して揉まずに乾燥させ、葉脈を取り除いて石臼で挽いて粉に仕上げたものです。石臼で挽く前のお茶を碾茶(てんちゃ)といいますが、これが抹茶の原料葉となります。
原材料や品質の違いによって、濃茶用と薄茶用に分けられます。どちらもカフェインは多く含まれますが、タンニンは少なく渋みはおだやかです。甘味と旨みの成分であるアミノ酸は煎茶よりはるかに多く、カロテンやビタミンEは粉末にした茶葉をそのまま全部飲用するので、無駄なく吸収されます。
3. 中国茶
もともとお茶は中国において、有史以前から薬として飲まれていました。そして、「茶」という文字は、「苦い」を表す意味だったようです。当時はお茶は大変珍重され、奴隷とお茶が交換されるほどの価値がありました。やがて、お茶はそれまでの薬用から次第に嗜好品となり、僧侶や文化人の間で日常的に飲まれるようになっていったのです。
中国茶は、ジャスミン茶や鉄観音茶、ウーロン茶、プーアル茶などが知られています。
ジャスミン茶の効能
集中力が続かず仕事や学校に行きたくないという人が増える五月病の季節が近づいてきました。何となく仕事に身が入らないという人には、ジャスミン茶が効果的です。このジャスミン茶は、中国で一番飲まれているお茶の種類である緑茶に分類されます。緑茶といっても日本の緑茶とは少し製法が異なります。発酵させないお茶で、これに香りをつけたものが花茶と呼ばれ、日本ではジャスミン茶やもくれん茶が親しまれています。ジャスミン茶の香りに多く含まれているベンゼルアセテート(芳香性精油成分)が覚醒を高める効果があるので、このお茶を飲むと自律神経の緊張がほぐれて集中力が高まり、リラックス状態になれます。
ウーロン茶の効能
ウーロン茶のダイエット効果は、女性の強い味方です。ウーロン茶に含まれるウーロン茶ポリフェノールが、消化器官壁から吸収される前の脂肪分をすばやく捕まえて、体外に排泄する作用があるのです。もちろん毎日飲み続けることが大前提です。
この他に、日本の緑茶でも知られている「カテキン」が中国茶にも含まれています。この「カテキン」は、がん予防効果のある「ポリフェノール」の一種ですからがん予防効果はもちろんのこと、これから暑くなると増えてくる食中毒の予防のための抗菌効果や解毒作用もあります。中国茶のパワーはまだまだたくさんあり、生活習慣病予防、ボケ防止、美肌効果、冷え性解消、ストレス解消、アロマテラピー効果が認められています。
4. 紅茶
1791年11月、ロシアに漂着して帰国の許可を得るまで辛苦の生活を送っていた三重県出身の船頭が、女帝エカテリーナ2世のお茶会に招かれ、日本人として初めて正式な茶会で紅茶を飲んだという逸話から、1983年に日本紅茶協会が11月1日を「紅茶の日」と定めました。日本で飲まれているお茶は大半を緑茶が占めていますが、世界中で飲まれているお茶の7割近くが紅茶といわれています。紅茶の産地で世界一を誇るのがダージリンやアッサムに代表されるインドで、他にセイロンティーとしてお馴染のスリランカ、中国やケニアなどがあります。日本で紅茶が初めて作られたのは明治時代で熊本県とされ、現在でも九州・沖縄地方や静岡県などで生産・販売されていますが、一般的にはあまり流通していません。紅茶は茶葉によって、味はもちろん色や香りも異なりますので、ぜひお好みの一杯を見つけてください。ちなみによく聞くアールグレイとは、ベルガモットという柑橘系フルーツのさわやかな香りをつけた茶葉のことです。
アフタヌーンティーのすすめ
近年、日本でも紅茶と共にサンドイッチやスコーンなどをいただく英国式「アフタヌーンティー」が浸透し、ホテルや飲食店で優雅なひと時を過ごすことができます。家族や友人を招いて、自宅で楽しむ人も増えてきました。レッスンでも「アフタヌーンティーの開き方」講座が大人気で、紅茶のいれ方や紅茶に合うお菓子の作り方、テーブルコーディネートなどを折々指導しています。アフタヌーンティーは、紅茶を飲みながらの会話や穏やかな時間の流れが、心を豊かにして笑顔を導いてくれる魔法の時間なのです。
伊藤華づ枝の料理サロンでアフタヌーンティーパーティを開いた折の画像
紅茶の黄金パワー
最大の効能はテアニンによるリラックス効果でしょう。紅茶ポリフェノールには血液サラサラ効果や抗酸化作用、抗菌・消臭作用もあります。また、カフェインには疲労回復や消化促進、利尿作用、脂肪燃焼作用が期待できます。しかし、これらはあくまでもストレートティーでいただく場合です。ミルクや砂糖はほどほどに。