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旬の食材大事典~今食べたいのはこの食材!!~

郷土料理研究家
栄中日文化センター提携 インターティアラ・お料理サロン 主宰
伊藤 華づ枝

第4回:りんごについて学びます

前シリーズでは「お料理博士になろう!!」と題し、食材の栄養素や調理法についての説明を、オリジナルレシピとともにご紹介しました。
今シリーズでは、「旬の食材大事典~今食べたいのはこの食材!!」というテーマで、この季節に最もおいしい食材や調理法を取り上げ、その効能はもちろん、それらにまつわる様々な事柄などを、皆様にご紹介しています。

4回目のテーマは「りんご」。
「りんご」の美味しいレシピと、りんごの歴史、成分と効用等についてご紹介します。

まずは、りんごを使ったおいしい料理とデザートからご紹介します。

りんごを使ったおいしい料理とデザート

りんごとセロリのサラダ

りんごとセロリのサラダ

材料 4人分
(実習分量)
2人分
(参考分量)
りんご(中) 2コ(500g) 1コ(250g)
セロリ 1本(100g) 1/2本(50g)
くるみ 30g 15g
レーズン(ぬるま湯で戻す) 大さじ4 大さじ2
A マヨネーズ 100ml(70g) 50ml(35g)
プレーンヨーグルト 大さじ3 大さじ1・1/2
レモン汁 小さじ1 小さじ1/2
小さじ2/3 小さじ1/3
白こしょう 適宜 適宜
レタス 4枚 2枚

作り方

  1. りんごは1/4量を残して皮をむき、5mm幅のいちょう切りにし、サッと塩水につけて水切りをします。残したりんごは皮つきのまま5mm幅のいちょう切りにし、同様に塩水につけて水切りします。
  2. セロリは皮をピーラーでむき、斜め薄切りにします。水に晒して水切りします。
  3. くるみは粗く刻み、一部を残しておきます。
  4. レーズンはぬるま湯で戻します。
  5. (A)を混ぜ合わせ、ペーパーで水気を取った1.~4.を加えて和えます。
  6. 手でちぎったレタスを器に敷き、5.をのせて3.で残しておいたくるみを散らします。

キャベツとりんごのサーモンサラダ~すだち風味~

エネルギー131kcal、たんぱく質9.3g、脂質7.1g、塩分1.6g(1人分)

キャベツとりんごのサーモンサラダ~すだち風味~

材料 4人分
(実習分量)
2人分
(参考分量)
鮭の水煮(缶) 1缶(180g) 1/2缶(90g)
A 小さじ1/3 少々
白こしょう 少々 少々
小さじ1 小さじ1/2
すだちのしぼり汁 2コ分 1コ分
マヨネーズ 大さじ2 大さじ1
キャベツ 5枚(260g) 3枚(150g)
りんご 1/2コ(140g) 1/4コ(70g)
小さじ1/2 小さじ1/4

作り方

  1. 鮭缶は中骨の硬い部分を取り、身を細かくほぐします。
  2. ボウルに1.と(A)を入れ、混ぜ合わせます。
  3. キャベツは短めの細切り、りんごは皮付きのまません切りにします。
  4. 3.を塩で調味し、2.を少し残して入れます。
  5. 器に盛り、残りの2.を飾ります。

※写真にはすだちを添えました

大根とりんごのナムル

大根とりんごのナムル

材料 4人分
(実習分量)
2人分
(参考分量)
大根 1/4本(200g) 1/8本(100g)
小さじ1 小さじ1/2
りんご 1/2コ(170g) 1/4コ(90g)
黄柚子の皮 1/4コ 1/8コ
A 黄柚子の絞り汁 1コ分(大さじ1) 1/2コ分(大さじ1/2)
唐辛子粉(粗挽き・韓国産) 小さじ1/3 少々
大さじ1・1/2 小さじ2
砂糖 大さじ1 大さじ1/2
大さじ1 大さじ1/2
小さじ1/3強 少々
糸唐辛子 適宜 適宜

作り方

  1. 大根は3cm長さのせん切りにし、分量の塩でもんでしばらくおきます。
  2. りんごは芯を取り、皮付きのまません切りにして塩水にさらし、水気を切ります。
  3. 柚子の皮は白いワタの部分を取り、せん切りにします。
  4. 1.の塩気をザッと洗い流し、軽く絞ります。
  5. ボウルに(A)を混ぜ合わせ、2.~4.を加えて和えます。
  6. 器に盛り、糸唐辛子を添えます。

りんごのケーキ~タタン風~

エネルギー258kcal、たんぱく質2.7g、脂質12.5g、塩分0.1g(8切れ分としたときの1切れ分)

りんごのケーキ~タタン風~

材料 18cmタンバル1コ分
(実習分量)
りんご 1・1/2~2コ(正味400g)
A グラニュー糖 25g
無塩バター 25g
大さじ4
レモン汁 大さじ1
B グラニュー糖 50g
大さじ3
大さじ2
  レーズン 40g
ブランデー 大さじ1
C 無塩バター 80g
グラニュー糖 40g
2コ
小麦粉 80g

作り方

  1. 8等分の串形に切って皮をむいたりんごと(A)を鍋に並べ、弱火で15分程度煮ます。(りんごから水分が出るので、水は足さない)
  2. 小鍋に(B)を入れ、グラニュー糖を溶かします。プツプツと泡立ってきたら、鍋をゆすりながら加熱します。(木ベラで混ぜすぎるとアメ状になるので注意します)焦げはじめたら火を止め、色を見ながら余熱でさらに茶色くなるまで焦がします。水大さじ2を加えて再度火をつけ、少し煮詰めてカラメルを作ります(水を加える場合はヤケドをしないように注意する)。
  3. レーズンはサッと水で洗い、20分程ブランデーに漬けます。
  4. 室温に戻した(C)のバターをクリーム状に練り、グラニュー糖を加えて更に混ぜます。
  5. 4.に溶いた卵を少しずつ加えて混ぜます。
  6. 小麦粉を入れて手早く混ぜ、3.のレーズンの汁気を切って加えます。
  7. ケーキ型にクッキングシートを敷き、2.のカラメルを流し込みます。
  8. 7.に1.を放射線状に敷き、中央にも埋め込み6.を入れます。
  9. 190℃に予熱したオーブンで30分焼きます。

※写真にはひめりんごで作った甘煮を、バラ形に巻いたものとミントを添えました

りんごとナッツのケーキ

エネルギー380kcal、たんぱく質4.8g、脂質23.6g、塩分0.1g(8切れ分としたときの1切れ分)

りんごとナッツのケーキ

材料 21cmタンバル型
(実習分量)
バター(無塩・室温) 170g
砂糖 100g
2・1/2コ
牛乳 大さじ2
  りんご(大) 1コ
レモン汁 小さじ2
砂糖 大さじ1
シナモンパウダー 少々
A 小麦粉 180g
シナモンパウダー 少々
くるみ 20g
ナッツ(飾り用) 8粒
シナモンパウダー 少々

作り方

  1. バターをボウルに入れ、ハンドミキサー(又は泡立て器)でよくかき混ぜ、砂糖を2~3回に分けて入れます。
  2. 1.に卵を2~3回に分けて入れ、牛乳を入れて更によく混ぜます。
  3. りんごは皮をむき、1コを8つのくし形切りにして、縦に切り込みを入れます。
  4. 3.にレモン汁と砂糖、シナモンパウダーをふりかけておきます。
  5. くるみは粗く刻みます。
  6. 2.に(A)をふるい入れてさっくりと混ぜ、5.も加えます。
  7. 紙を敷いたタンバル型に6.を流し入れ、上に4.とナッツを放射状に並べ、170℃のオーブンで約40分間焼きます。
  8. 焼き上がった7.は網に取って冷まし、お好みでシナモンを振ります。

※写真はくるみ4粒とピーカンナッツ4粒を飾りました

りんごのコンポート~チーズクリームとナッツ添え~

りんごのコンポート~チーズクリームとナッツ添え~

材料 4人分
(実習分量)
りんご 2コ(700g)
A 600ml
白ワイン 100ml
グラニュー糖 180g
レモン汁 大さじ1
バニラビーンズ 1/2本(縦に割る)
B マスカルポーネチーズ 120g
グラニュー糖 大さじ1・1/2
レモン汁 大さじ1/2
ドライマンゴー(粗く刻む) 20g
ミックスナッツ(粗く刻む) 20g

作り方

  1. りんごは縦半分に切って皮をむき、スプーンで芯を丸く取り除き、塩水にくぐらせます。
  2. 鍋に水で洗った1.と(A)を入れ、グラシン紙又はアルミホイルで落としブタをして20~25分間煮ます。途中10分間煮たところで一度りんごを裏返します。
  3. 2.を煮汁と共に素早く冷やします。
  4. ボウルに(B)を混ぜ合わせます。
  5. 器に3.を盛り、芯を取り除いた部分へ4等分した4.を添えます。

1. 歴史

あの有名な「アダムとイブ」のお話で聖書にも登場するように、りんごは古くから食べられていた歴史のある果物です。白雪姫など世界中の子どもが読む童話、近年ではアップル社のロゴマークなど、様々なところで目にする果物でもあります。原産地は中近東、コーカサス地方といわれており、4,000年以上前にはすでに栽培されていました。世界には約15,000種類の品種が存在するといわれ、日本でも約2,000種類あります。日本へは江戸時代に伝わり、明治5年、アメリカから75品種が導入され、本格的な栽培が始まりました。その後、度重なる品種改良により、甘味、酸味、食感の異なる多くの品種が次々と誕生してきています。りんごは比較的冷涼な地域に適しており、冷害で米が実らない年でも立派に実をつけることができるので、寒冷地では重要な作物となっています。

2. 成分と効用

欧米では「1日1個のりんごは医者を遠ざける」と言われています。また、「りんごが赤くなると医者が青くなる」などの言葉もあります。それもそのはず、りんごには健康を維持する栄養素が実にバランス良く、しかも多種類にわたって含まれているのです。特に多く含まれるカリウムは体内の塩分排泄を促し、高血圧症に効果を発揮します。また、食物繊維であるペクチンがたくさん含まれており腸の調子を整え、便秘を予防してくれるだけでなく、コレステロール値の上昇も防ぎます。りんご特有の芳香、さわやかな酸味は、新陳代謝を活発にして、肩こり・腰痛などを回復させます。このように多くの生活習慣病を予防する働きがあり、とても注目されている果物なのです。その上、りんごに含まれるビタミンCは女性にうれしい美肌効果もあります。

りんご(皮付き)の成分(可食部100g当たり/生)(日本食品標準成分表2015年版(七訂)から引用)

  • ●カリウム...120mg
  • ●銅...0.05mg
  • ●マンガン...0.04mg
  • ●β-カロテン...22μg
  • ●ビタミンC...6mg
  • ●水溶性食物繊維(ペクチン)...0.5g

クエン酸やリンゴ酸

りんごを食べた時に感じる酸味は、りんごに含まれるクエン酸やリンゴ酸によるもの。この酸味には疲労回復を助けてくれる作用があると言われています。疲れた時には、りんごに含まれるクエン酸やリンゴ酸が、疲労解消に役立ってくれます。

ポリフェノール

ポリフェノールには抗酸化作用があります。ペクチンにも抗酸化作用があると言われるため、りんごにはダブルの抗酸化作用成分が含まれています。
ペクチンもポリフェノールも多く含まれているのはりんごの皮の部分なので、できたらりんごは皮ごと食べた方がさらに栄養素を余すことなく摂ることができるようです。

アップルフェロン

虫歯菌をつきにくくする効果があると言われています。ほかに、丸かじりすると、歯肉もじょうぶになり、かむことで唾液の分泌もよくなり、むし歯、歯肉炎などの予防効果が期待できるため、リンゴは「天然の歯ブラシ」とも呼ばれています。

3. 品種

ふじ

国内生産量1位の代表的な品種です。「国光」と「ゴールデンデリシャス」を掛け合わせたもので、蜜が入りやすく、酸味と甘みのバランスもよい人気No.1の品種です。1962年、青森県藤崎町で誕生しました。ふじという名前は、育成地である青森県藤崎町の地名「藤」と、富士山のように日本一のりんごになってほしいとの思いから付けられました。中国・韓国・北アメリカ・オーストラリアなどでも栽培されており、世界一生産量が多いとも言われています。日持ちすることも魅力の一つです。

つがる

薄いピンク色と酸味の少ない甘口の味が特徴です。1930年に青森県りんご試験場(現:りんご研究所)で生まれ、1975年に品種登録されました。かつては「咳払いをするだけで枝から落ちてしまう」「色付きが良くない」などと言われたことがあり、品種登録までに時間がかかったという説もあります。現在では、国内生産量、人気ともに「ふじ」に次ぐ2番手です。

王林

黄緑色りんごの代表格で、独特の香りと強い甘みで人気です。現在ではふじ、つがるに次ぐ生産量を誇るりんごとなっています。「りんごの中の王様」という願いを込めて命名されました。

紅玉(こうぎょく)

アメリカ原産の古種で、濃い赤色と強い酸味が特徴的な品種です。加工適性が高く、調理用として人気です。紅玉は親としても優れていて、「ジョナゴールド」や「つがる」「ひめかみ」「あかね」など多くの品種を誕生させています。

ジョナゴールド

紅玉の交配種であり、強い酸味と引き締まった果肉が特徴的な品種です。お菓子作りにも適しています。

4. 生産地

2017年 都道府県 収穫量(t) 割合(%)
1 青森 415,900 56.57
2 長野 149,100 20.28
3 山形 47,100 6.41
4 岩手 39,600 5.39
5 福島 27,000 3.67
6 秋田 23,500 3.2
7 群馬 8,760 1.19
8 北海道 7,740 1.05
9 宮城 3,050 0.41
10 岐阜 1,700 0.23

生産量トップはりんごで有名な青森県で、2位は長野県となっており、この2県で全国のりんごの約8割が作られています。

5. 選び方

今がまさに、「りんご」の旬です。10月初旬から12月初旬まで、あらゆる種類のりんごが店頭に並びます。果皮にハリとツヤがあり、形の整ったものを選びましょう。実が締まっていて重いもの、柄が太くてピンとしているものが良いようです。りんごの種類によって異なりますが、お尻の部分まで赤く色づいている実を選ぶと、ジューシーな味わいが楽しめるとのことです。

6. 保存方法

りんごは乾燥に弱い果物です。水分の蒸発を防ぐためビニール袋に入れて冷蔵庫で保存します。りんごは、熟成を促進するエチレンを多く放出するので、ほかの果物と分けて貯蔵しましょう。一緒にすると他の果物に影響を及ぼして熟期を早めてしまいます。りんごを1個ずつ新聞紙などの柔らかめの紙で包んでからポリ袋に入れると温度変化と湿度変化をやさしく緩和してくれます。また新聞紙が湿度調節の役目をしてくれるので、より美味しさが長持ちするようです。保存できる期間は2週間~1ヵ月弱が目安です。冷蔵庫に入りきらない場合は温度が低く、温度変化の少ない場所に保管しますが、その場合の保存期間は冷蔵庫に入れた場合の保存期間の半分程度となります。

7. りんごの魅力

ヨーロッパの人々は、りんごが焼ける時のふくいくとした甘い香りを「幸せの香り」と呼んでいます。それゆえにアップルパイや焼きりんご、ジャムなどを作り、様々な場でりんごを愛し続けてきました。
歌人の俵万智さんは「何層もあなたの愛に包まれて、アップルパイのりんごになろう」と歌っています。りんごの焼ける甘酸っぱい香りと、乙女の甘く切ない恋心が重なった、とても魅力的な歌です。この秋、幸せと恋にしっかり包まれるように、りんごをそっとかじってみてはいかがでしょうか。

旬の食材大事典~今食べたいのはこの食材!!~
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