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インターネット公開文化講座

文化講座

インターネット公開文化講座

健康はこころと身体から

Dr.BEAUT・ソフィーリッチ代表
医学博士 山中 直樹

"パンデミック禍"とデジタル化時代の健康:2 人間的距離(ソーシャルディスタンス)

 COVID-19ウィルスによるパンデミック禍で人とひととが自由に会って、食事を共にするのみならず、会って対話するのも気にしなければならなくなりました。
 "適度な距離感を保つ"ための人間的距離(ソーシャルディスタンス)が必要だと言うのです。
 職場などで、一定の方向に向い間隔をとって人々が座して黙って食事を取っている様子は不自然に思えます。
 しかし、人とひととの繋がりや人間関係は、それぞれのこころと身体の健康にとっては常に切っても切れない深い関係にあります。
 仕事をする場合では、机を並べたり仕事に合わせた集合、離散しながら相互にコミュニケーションを取っています。
 つまりは「人間的距離・ソーシャルディスタンス」を保ちながら目的に合わせた人間的交流を行って発展してきました。
 個人個人の関係、家庭的関係や仕事上の関係などと多様な「人とひととの繋がり」と「人間的距離」があります。
 近年はそこに、ITを用いたコミュニケーションが加わりました。
 そして、人は孤独感から解放されたり、仕事を進めるための協調、協働により、自分が社会の中で「人との繋がり」によって「やりがい」や「生きる喜び」を感じています。

 ウィルス禍によるパンデミック対策としてのロックダウンでは、日常生活で外出が厳しく制限されました。
 人と自由に会うことが出来なくなりました。
 東日本大震災のような自然災害によっても人間関係が突然に大きく変わることも起こります。
 自然災害でも、人が亡くなったり、自由にいつもの人たちとの人間関係を保つことが出来なくなることもあります。
 しかし、考えてみると自然災害にしろ、ウィルス禍にしろ、日常の「人間的距離・ソーシャルディスタンス」がいつ何時に自由でなくなったり距離を保つことすら出来なくなるかわかりません。
 また、プーチン禍のような権力者による勝手な「戦争」が起こります。
 一人ひとりのこころと身体の健康のみならず、日常生活でのウェルビーイング・多幸感が権力によって理不尽にも突然に奪われることもあるのです。
 「力が正義」だとするプーチン禍のような戦争によって「生物・化学兵器」禍や原子力発電所を含めた「核」禍によって「人とひととのつながり」や「人間的距離・ソーシャルディスタンス」が長期的に奪われる危険があります。
 人権と人道を重んずる言論も含めた自由と民主主義がいかに大切かということです。

 こころと身体の健康、ウェルビーイングは専制的な強制ではなく、一人ひとりが自由に求めなければなりません。
 自由と平等、民主主義が保障される市民権を持つ人による人間的距離・ソーシャルディスタンスがある社会が必要条件だと思います。

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