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インターネット公開文化講座

文化講座

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喫茶と時代変化

信天翁(アホウドリ)喫茶主
医学博士 山中 直樹(宗直)

ニューノーマル時代のお茶―1 デジタル化社会のお茶

 私たちはITによるデジタル化によって第4次産業革命の時代を迎えています。
 コンピューター、ビッグデータやAIによって治療薬の開発や遺伝子編集などの生命科学の進歩も著しく、私たちの日常生活は社会的のみならず健康や医療を含めて人間観が大きく変わっています。
 当然、喫茶文化も変わることになります。
 COVID-19ウイルスのパンデミックどころか「プーチン禍」がパンデミックのように加わって、日常生活、働き方や人とひととの交流の仕方も、今までは普通だったことがこれでよいのかと問われたり、禁止されたりしています。
 専制国家的な国家権力によって人権は制限されて自由に会って会話することが危険だと国内外封鎖・ロックダウンもしました。
 自由社会であっても新型コロナウイルスの感染予防のための公益目的によって制限がされたのです。
 幸いにデジタル技術の発展によって、リモートと言われるように離れた場所に居ても映像を見ながらの通信回線によって交流が出来るようになり、社会的役割まで可能となりました。
 リモートワーク、ワーケーションなどと働き方が従来のように必ずしも一か所に集まる必要もなくなっているのです。

 当然ながら喫茶文化、茶の湯の方法も影響を受けています。
 茶の湯の人間的なつながりとコミュニケーションは「一座建立」「主客直心」の交わりと言われるように小さな室に座ります。
 その集まりでの飲み方はコロナ感染が大変危険です。
 更に、最も人間関係の親密さとなるお濃茶を飲む方法では、一碗を回し飲む作法はさらに危険になります。
 また、豊臣秀吉による北野大茶会のようなその後に続く権力、家元などのご威勢や商業主義的な大寄せの茶会などは開催することが難しくなりました。

 コロナ禍のような人とのお茶を介するコミュニケーション法もデジタル技術を用いることによって創造性が発揮され創意工夫がなされています。
 メタバースの世界ではゲームやアニメの世界のように仮想現実(VR)や拡張現実(AR)によって仮想と現実との境界をあいまいにしながら常時つながっていることが出来るようになりました。
 一人ひとりのアバターを介したコミュニケーションは対面している時よりも素直な会話が可能になるとも言われているのです。
 ニューノーマル時代の「主客直心」の交流になると期待出来そうです。
 そうした技術革新によって人とひとのコミュニケーションの在り方が大きく変わっています。
 従来のデジタル技術を用いたGoogle MeetやFaceTimeなどのリモートコミュニケーションとは異なるものになります。

 歴史的にも奈良時代に伝来した喫茶や茶の湯文化が時代によって変化したように、現代はITの技術革新によるニューノーマルと言ってよい面白い喫茶文化創造の時代となっているのです。
 デジタルを介した出会いとコミュニケーションが直接対面しながら、人とひととの「意識」は如何に変化をするのでしょうか⁉ 
 「プーチン禍」のようなおよそ独善的な強権社会や人たちとどのような関係や平和を築くかも不可欠の課題となりました。

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