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家計のサポート相談員のコラム

株式会社 マネースマート

住宅ローンの新トレンド「50年返済」

 近年のマンションを含む住宅価格は建築費の高騰と地価の上昇によって、一般の方が取得するのが困難な価格になりつつあります。
 建築費は2025年12月時点で2015年比40%以上高騰しました。これは木造、鉄骨造など構造を問わず、また住宅、店舗、ビルなど用途を問いません。
 地価は郊外では下落基調ですが、都心中心部以外にも人気リゾート地で都市部に匹敵する価格で売買されるところも出ています。なお令和7年地価公示によると、名古屋圏の住宅地の平均変動率は2.3%と4年連続で上昇しました。
 このような住宅価格の高騰によって、従来どおりの資金計画では住宅取得が困難となる人が増加したことを踏まえ、最近は35年を超える返済期間、最長50年返済のローンの需要が増えています。
 今回はこの「50年返済ローン」のメリット・デメリットを比較します。
 以下では一般的な金融機関で、年収600万円の人が元利均等返済、金利2.0%で借りた場合の返済期間による違いを比較します。

(1)50年返済は借入可能額を増やすことができる

返済期間 35年返済 50年返済
借入可能額 5,280万円 6,630万円
返済総額 約7,346万円 約1億500万円

 返済期間を長くすることで、より高額の住宅を購入できるようになりますが、総返済額は高くなります。生涯賃金に差がないとすれば、50年返済を選択した人のキャッシュフローは35年返済の人より当然厳しくなります。

(2)50年返済は毎月の返済額を減らすことができる

【例】3,000万円を借りる場合

返済期間 35年返済 50年返済
毎月返済額 99,378円 79,137円
返済総額 約4,174万円 約4,748万円

 返済期間を長くすることで、毎月の返済額を減らすことができますが、総返済額は高くなります。
 この差額を運用に回せば金融資産を増やすことができると考えることもできますが、実務上は減らした返済額一杯で資金計画を立てているケースが多く、運用に回すことができる人は少ないのが実情です。

(3)50年返済はより多く住宅ローン控除を受けることができる

【例】1,000万円を借りてZEH仕様の新築住宅を購入した場合

返済期間 35年返済 50年返済
住宅ローン控除の最大控除額 約770,000円 約830,000円
控除期間の支払利息額 2,238,149円 2,386,528円

 返済期間を長くすることで元金の返済が緩やかになるため、控除対象となる住宅ローンの年末残高が増えるので控除額が増えます。
 一方で控除期間中に支払う利息額も多くなります。

(4)50年返済は定年退職時のローン残高が多くなる

【例】30歳の人が1,000万円を借りた場合

返済期間 35年返済 50年返済
65歳時点のローン残高 0円 約500万円

 50年返済では定年退職後も住宅ローンの返済が一定額残ることから、現役時代に退職後の住宅ローンの返済原資を確保しておく必要があります。
 退職金で一括返済する方法もありますが、その後の生活資金が不足することが懸念されるので、キャッシュフロー表(住宅ローンを利用した後の家計のシミュレーション)を作成して確認する必要があります。

(5)50年返済は担保割れ=オーバーローンになる可能性がある

 返済期間が長くなればなるほど、その間の自宅の評価額の低下が予想され、自宅を売却してもローンが完済できないオーバーローン状態になる可能性が高まります。
 そのため将来の住み替え計画や売却の予定がないかなどライフプランを踏まえて返済期間を決める必要があります。
 また住宅を長期にわたって良好な状態に維持することが重要になります。実際「50年返済」のパイオニア的存在である【フラット50】では、対象となる住宅を以下の2つの基準をいずれも満たす住宅に限定しています。

  1. 長期優良住宅、予備認定マンション、管理計画認定マンションのいずれかであること。
  2. 住宅金融支援機構が定めた技術基準に適合する住宅であること。

 良質な住宅を長期的に維持管理することで、資産価値を維持しオーバーローンになる可能性を低減することを前提としています。

 以上「50年返済」にはメリットもデメリットもありますが、いずれにしても返済期間を決定する前にキャッシュフロー表を作成し、将来の家計の健全性を確認することが必須になります。

吉田 貴彦
ファイナンシャルプランナー(CFP®

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