文化講座
2026年4月からの「在職老齢年金」改正と定年退職後の働き方
人生100年時代といわれるようになりました。定年退職後も働く人が増えています。定年後に自由に使える時間は定年まで働いていた時間と同じくらい長いので、仕事をするのか、趣味や旅行などゆったり過ごすのかなど、どのように過ごすのかを早めにイメージしてみるのもよいですね。
内閣府の令和7年版高齢社会白書によると、全国の60歳以上の男女に現在の就業状況を聞いたところ、「現在、定期的に収入を伴う仕事をしている」又は「現在、不定期ではあるが、収入を伴う仕事をしている」と回答した割合(仕事をしている割合)は4割を超えていて、65歳~69歳では、定期・不定期合わせておよそ6割となっています。
また、現在、高齢者が収入を伴う仕事をする主な理由は、「収入のため」が5割以上で最多となり、「働くのは体によいから、老化を防ぐから」、「自分の知識・能力を生かせるから」が続いています。
【収入を伴う仕事をしている人の割合(性・年代別)】

【収入を伴う仕事をしている主な理由(全体)】

出典:内閣府「令和7年版高齢社会白書」(全体版)より引用
今回、在職老齢年金が改正された背景には、働く理由を「収入のため」とされる方が多い中、公的年金は原則65歳から受給開始となり、収入が多いと年金が減らされるので働くのを控えるという方を少なくする目的もあるでしょう。
そもそも在職老齢年金の仕組みとは?
働きながら厚生年金をもらう場合「給与+老齢厚生年金」の合計が基準額を超えると超えた分の 1/2が年金カットされてしまいます。
※対象は「老齢厚生年金のみ(基礎年金は対象外)」
では2026年4月から具体的にどのように変更されたかというと?
支給停止基準額が引き上げられました。
51万円 → 65万円へ つまり「給与+老齢厚生年金」=65万円以下であれば全額支給されるということです。
65万円を超えると →(超過分×1/2)を年金から減額されます。
例えば 給与:46万円
年金:10万円
合計:56万円 の方の場合
▶改正前→ 51万円より5万円多いので 5万×1/2=25000円を年金から引かれます。 ▶改正後→ 65万円以下なので全額支給されます。

日本年金機構HPより
(https://www.nenkin.go.jp/tokusetsu/zairoukaisei.html)
この改正によって
働く側としては
「働き損」をなくすため「51万円を超えないように働く」ことを意識していたがこれからは65万円まで気にせず働けることで老後の資産を増やし人生100年時代に備えられます。
また働き続けることによって、毎年10月に前年9月から当年8月までに納めた厚生年金保険料を反映して年金額が再計算され、受給額が増額されます。
企業側としては
企業の人手不足を解消するには高齢者の働き手が必要なので年金カットにより働き控えや意欲をそぐことなく勤務していただくことが出来ます。
人生100年時代といわれる昨今、在職老齢年金制度は、働き方と年金受給のバランスを考える重要な仕組みです。制度を正しく理解し、長期的な視点で最適な選択を行うことが、安心した老後につながります。
細川 扶実
ファイナンシャルプランナー(CFP®)

