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家族で楽しむ里山術

里山研究家 吉澤 守(ヨシザワマモル)

土づくりをしてみよう

子供たちが、自然と直接触れ合う機会が少なくなって、もう随分長い期間がたっています。コンクリートの建物が林立する都会の町並み、舗装された道路、学校のグラウンドですらアーバンコートやコンクリート化された所もあって、「土」を踏むことのない環境が日常の生活の中に当たり前のように存在しています。人々が自然の恵みを受ける三つの要素である大気(空気)、水気(水)、大地(地面)のうち、大地は、人々が親しみながら手を掛けてきたもっとも身近な自然です。
地面を平らにして家を建て、大地を耕作してさまざまな作物を収穫し、広い大地に多くの人々が集まって都市をつくり上げてきました。都市は、自然界の中で人間だけが快適に暮らすことを求めてきた特別な空間ですから、雨(水気)が降って泥になるようであれば舗装されました。
くねくねと曲がった道路を真っすぐにすることによって、時間と距離を短縮することも都市が求める大地の変更でした。そうしているうちに、人々はだんだんと自然から遠ざかり、土に触れることのない生活が普通になってきています。

6月5日の「環境の日」を含む6月は、「環境月間」です(国連では日本の提案を受けて6月5日を世界環境デーと定めており、日本では環境基本法が6月5日を環境の日と定めています。世界各国でこの日に環境保全の重要性を認識し行動の契機とするため様々な行事が行われています)。
環境の日は、広く環境の保全についての関心と理解を深めるとともに、積極的に環境の保全に関する活動を行う意欲を高めるという趣旨に基づいて定められました。環境月間にあたって、私から一つの提案があります。それは、「土づくり」をとおして環境に対する意識を高めていただけたらというお願いです。
土には、さまざまな岩石が細かく砕かれてできたものと、木や草が腐ってできた腐葉土がありますが、腐葉土づくりは誰もが取り組むことができます。まず、家族で森へピクニックに行って、枯葉を集めて来ましょう。
それに、どこかの川原か山の斜面などで見つけた砂や土をブレンドして蓋付きのバケツに入れ、そこに園芸店やホームセンターなどで購入した鶏糞を入れてかき混ぜます。木を燃やした灰や米ヌカなどを入れても構いません。
それを時々かき混ぜながら半年程(夏場を入れて)しますと、手で握ってもサラサラとした腐葉土になります。
最初の腐葉土は、次につくるときの元肥ですから、それをとっておいて次の土づくりのベースにします。

2回目からは枯れ葉に元肥をブレンドするだけで、立派な腐葉土を繰り返しつくることが可能です。その土で野菜を栽培して家庭で味わってみませんか。有機野菜のでき上がりです。
家庭でつくった腐葉土を使って収穫した野菜を「収穫祭」と名付けて味わったら感激しますよ!

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