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里山研究家 吉澤 守(ヨシザワマモル)

星の里

中国自動車道を走っていますと、岡山県に入る手前の兵庫県内のある街に「星のふるさと」というフレーズの看板が目に飛び込んできます。「星のふるさと」というのは、あたかも星が降り注いで手に取るように観ることができるという意味と、星をテーマとした古里(ふるさと)ということを連想させる、みごとな街の表現です。
中国自動車道が通る中国山地は、日本海と瀬戸内海地方を背骨のように結び、ちょうど空に突き出したような山間地が、兵庫県から山口県にわたって延々と続きますから、夜半にこの道を走りますと、星と星との架け橋を通っているような、そんな気分にさせてくれます。

かつて、私の事務所が東京(目黒区)にあった頃、大都会のど真ん中で夏の大三角形をビルの屋上から観て感激をしたことがあります。「都会で星なんて観られないよ」といつも言っていた私の友人は、私以上に感動して、それ以来すっかり星に魅せられた人生を過ごしています。

この中部地方にも"星のふるさと"と言える場所はたくさんあります。その中で、特に私が薦める二つのポイントを紹介しておきましょう。その一つは、岐阜県恵那市の根の上高原の一角にある保古の湖です。保古の湖は、標高900mの山上にある人造湖(リザーバーと呼びます)ですが、山上の突き出したようなところに湖があるために、他では味わうことのできない絶好のスターウォッチングが楽しめます。
山上の場所は周囲に街の灯りがなく、そして、360度のパノラマで星を観渡すことができます。まるで大宇宙の中に自分がいるような、そんな気にさせてくれます。首が疲れたら、車の通行のない堤防道路に寝転んで星空を眺めれば、それはとても贅沢な時間です。
保古の湖のもう一つの星の観方は、湖が山上にあるために、ちょうど水面が鏡のような作用をして、星がくっきりと湖面に映し出されることです。北斗七星の七星が湖面に映る光景は、言葉では表現できないほどの感動を与えてくれます。

もう一つのお薦めも岐阜県恵那市内にあります。愛知県共済生活協同組合さんが所有されるファンフォーレストのある飯地町(いいじちょう)は、木曽川を登りつめた台地状の街ですが、台地の街も空に突き出していますから、星に近いところとなります。
飯地町で特にお薦めのポイントは、飯地高原自然テント村から歩いて5分ほどのところにある沖の洞という田んぼです。その田んぼの中ほどに水路があって、水路脇の畦道に立ちますと、視界の中に天の川だけが飛び込んでくるミルキーウェイ・ポイントとなります。
飯地高原での静寂な夜の一時を、天の川の感動と共に過ごせたら、それは、この世にある最高の贅沢の一つかもしれません。感動を大声で表現しないで心で味わうことも、星を楽しむ基本だという事も付け加えておきます。

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