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「イタリア世界遺産の旅」と「誰でもわかるイタリア語」

石黒 秀嗣

ローマ歴史地区(Centro storico di Roma)その5 
サンタンジェロ城(Castel Sant'Angelo) 1980/1990年登録


スケッチ画 樋口佳代

 135年、ローマ皇帝ハドリアヌス帝が自分自身とその後のローマ皇帝の霊廟として建設を開始、息子のアントニウス・ピウス帝によって139年に完成しました。「アドリアネウム(Hadrianeum)」と呼ばれていました。古代ローマ時代の皇帝や貴族の墓は円筒形のものが多かったようです。「パンテオン」や「アウグストゥスの霊廟」も円筒形をしています。ハドリアヌス帝の他に、マルクス・アウレリウス帝やカラカラ帝もここに埋葬されていました。
 現在は名前を変え「サンタンジェロ城(聖天使城)」と呼ばれています。ローマ帝国の滅亡後、北方から侵入してきたゲルマン系民族ロンゴバルド族によりイタリア半島を手中に治めることになります。そしてローマにペスト菌が持ち込まれ、イタリア全土にペストの流行が拡がりました。590年、時のローマ教皇グレゴリウス1世がペスト流行の終結を祈願する行列をしていたその時、大天使ミカエルがこの建物の上に現れて、その剣を鞘に収めペストの終焉を告げたという伝説から「サンタンジェロ城」という名前が付けられたと言われています。現在は大天使ミカエルのブロンズ像が聳え立っていますが、かつては四頭立て二輪戦車を駆るハドリアヌス帝の巨大なブロンズ彫刻が置かれていました。
 またサンタンジェロ橋(Ponte Sant'Angelo)も、かつては「エリウス橋(Pons Aelius)」と呼ばれ、ハドリアヌス帝が、ローマ都市の中心カンポ・マルツィオ地区と自分自身の霊廟を結ぶためにテヴェレ川に架けた橋です。現在の橋は、1667年に教皇クレメンス9世が、バロック芸術の巨匠ジャン・ロレンツォ・ベルニーニにサンタンジェロ橋を天使像で装飾するように制作を依頼したものです。ベルニーニは10体の受難のシンボルを持った天使像の彫刻で橋の欄干を飾りました。ベルニーニ作の天使像2体のオリジナルは、1729年保存のためサンタンドレア・デッレ・フラッテ教会(Chiesa di Sant'Andrea delle Fratte)に移設されました。ここは敬虔な信者であったベルニーニが熱心に通った教会で、天使像は祭壇の両脇を飾っています。
 サンタンジェロ城は、5世紀頃から次第に霊廟から城塞へと変貌していきます。10世紀にはローマ教皇庁の所有になり、要塞として更に強固なものとなっていきました。中世以降は、要塞や教皇の住居をはじめ、捕らえた人々を収監する牢獄など、様々な用途に使われました。17世紀には要塞の周囲に五角形の陵堡が築かれ、さらにはヴァチカンのサン・ピエトロ大聖堂との間を直結する通路(passetto)を強化し改修が重ねられてきました。この通路はローマ教皇が危険にさらされたときの脱出路として築かれました。
 現在は、サンタンジェロ城国立博物館となっています。ハドリアヌス帝の霊廟や部屋などに神話の場面を表現した帯状装飾は大変興味深いものです。時代と共に変化してきた城の様子が5つの塑型で再現されています。また教皇ニコラウス5世(在位:14471455)以降、歴代教皇は城内の居室(appartamento)の改修に力を入れました。その中でも教皇パウルス3世(在位:15421549)の居室「パウロの間」の聖パウロとアレクサンドロス大王の生涯が対置して描かれたフレスコ画の連作は必見です。また「パウロの回廊loggia)」に描かれたスタッコ細工とグロテスク装飾も素晴らしいので見落とすことのないように注意して下さい。

■サンタンジェロ城(Castel Sant'Angelo)のガイドと写真
http://castelsantangelo.beniculturali.it/
http://www.italyguides.it/it/roma/castel_sant_angelo/castel_s_angelo.htm

■サンタンジェロ橋(Ponte Sant'Angelo)
http://guide.supereva.it/roma/interventi/2010/06/ponte-santangelo-il-ponte-degli-angeli

■サンタンドレア・デッレ・フラッテ教会(Chiesa di Sant'Andrea delle Fratte)
http://www.rome-roma.net/chiesa-sant-andrea-delle-frate.html

■サンタンジェロ城国立博物館(Museo Nazionale di Castel Sant'Angelo)
http://castelsantangelo.beniculturali.it/

新シリーズ
◆誰でもわかるイタリア語 第21回

このシリーズ「誰でもわかるイタリア語」では、イタリア語の基礎を文法用語に頼って説明することを出来るだけ避け、誰にでもわかるようにまとめています。また「単語帳」のコーナーを設けていますので、少しずつ単語や簡単なフレーズを覚えるようにして下さい。

 前回は、進行形stareの現在形(半過去形)+ジェルンディオの作り方を学習しました。

「ジェルンディオ(gerundio)」は単独では、接続詞の代わりをするもので、その中で「...しながら(mentre)」という同時進行の動作を表します。そして日常会話でよく使います。

■同時進行の動作を表します。

1. Leggo il giornale bevendo il caffè.
レッゴ イル ジョルナーレ ベヴェンド イル カッフェ
コーヒーを飲みながら新聞を読みます。
2. Facevo compiti ascoltando la musica.
ファチェーヴォ コンピティ アスコルタンド ラ ムージカ
音楽を聴きながら宿題をしていました。
3. Il professore parla sempre guardandomi negli occhi.
イル プロフェッソーレ パルラ センプレ グアルダンドミ ネイ オッキ
先生はいつも私の目を見ながら話します。
4. Tornando dal lavoro ho incontrato Maria.
トルナンド ダル ラヴォーロ オ インコントゥラート マリーア
仕事の帰り道、マリアに会った。

■進行形に似た表現で、「~するところです」の意味で、これから始まる行為や動作を表します。

 作り方はstareの現在形(半過去形)+ per + 動詞の原形

例えば、進行形のSta piovendo.(雨が降っています。)に対して、Sta per piovere.(今にも雨が降りそうです。)は、まだ雨が降っていませんので進行形とは違います。
 実際の日常会話の中でどのように使われているのか見てみましょう。

1. Che cosa fai in questo momento?
ケ コーザ ファイ イン クエスト モメント
今、何をしていますか?
Sto guardando la TV.
スト グアルダンド ラ ティーヴ
テレビを見ているところです。(進行形)
Sto per guardare la TV.
スト ペル グアルダーレ ラ ティーヴ
テレビを見ようとしているところです。
2. Avete già pranzato?
アヴェーテ ジャ プランツァート
もう食事をしましたか?
No, stiamo per pranzare.
ノ スティアーモ ペル プランツァーレ
いいえ、食事をするところです。
3. È già uscita Maria?
エ ジャ ウシータ マリーア
マリアはもう出掛けましたか?
No, sta per uscire.
ノ スタ ペル ウシーレ
いいえ、ちょうど出掛けるところです。
4. Piove?
ピオーヴェ
雨は降っている?
No, ancora ma sta per piovere.
ノ アンコーラ マ スタ ペル ピオーヴェレ
いいえまだです。でも今にも雨が降りそうです。
5. Franco: Stavo pensando di venire a trovarti e ti ho telefonato.
スターヴォ ペンサンド ディ ヴェニーレ ア トゥロヴァルティ エ ティ オ テレフォナート
君に会いに行こうと考えていたので、君に電話をしたんだけど。
Carlo: Certo! Stavo per telefonarti. Vieni subito?
チェルト スターヴォ ペル テレフォナルティ ヴィエーニ スビト
もちろんいいよ!君にちょうど電話しようとしていたんだ。すぐに来いよ!
Franco: Sì, sono già pronto. Sto per uscire.
シ ソーノ ジャ プロント スト ペル ウシーレ
もう準備OKだよ! ちょうど出掛けるところだよ!

単語帳

 レストランやバールで「un rosso!」と言えば「赤ワインを1杯」の意味です。また「un bianco!」と言えば「白ワインを1杯」の意味で、決してトマトジュースやミルクは出てきません。もし出てきたらそれはイタリア的ジョーク(Scherzo)です。イタリア三色旗を思い出し、「No, un verde! per favore!」(「いいえ、緑色のをお願いします」)と言い返すとイタリア的ジョークで笑いが生まれることでしょう。
 実際の会話では「un rosso!」(赤ワインを1杯)、「un caffè!」(コーヒーを1杯)というように使われます。グラス(bicchierebicchierino)やカップ(tazzatazzina)などを使って表すことも出来ます。

Un rosso(=un bicchiere di vino rosso), per favore!
赤ワインを1杯下さい。

Due caffè e un cappuccino(=Due tazzine di caffè e una tazza di cappuccino), per favore!
コーヒーを2杯とカプチーノを1杯下さい。

数・量を表す表現

bottigliaは「瓶・ボトル」でワインのボトルのように首が細くなっているものをいいます。またキアンティワインでよく見かける胴にトウモロコシの皮が巻いてあり首が細長い瓶をfiascoといいます。barattoloは長い円筒形の「缶」を意味し、lattinaは清涼飲料などのアルミ、スチール缶を意味します。scatolaは一般的には「箱」の意味で使いますが、缶詰の平たい「缶」の意味でも使います。paccoは紙で出来ている「箱」を意味し、bustaは「袋状のもの」を意味しています。saccoは「袋」の意味で一般に広く使われます。un sacco di~は「(袋一杯の)沢山の」の意味でよく使われます。

una bottiglia di vino rosso (bianco) ボトル1本の赤(白)ワイン
un fiasco di vino rosso 1瓶の赤ワイン
un barattolo di miele はちみつ1
una lattina di birra (coca) ビール(コーラ)1
una scatola di salmone 鮭の缶詰1
due scatole di pomodori pelati 皮むきトマト2
un pacchetto di sale 塩ひとパック
una bustina (un sacchettino) di zucchero 小さな袋に入った砂糖
un sacco di soldi 沢山のお金

その他の数・量を表す表現

un bicchiere di acqua minerale グラス1杯のミネラルウォーター
un bicchierino di grappa ミニグラス1杯のグラッパ
una tazza di tè 1杯の紅茶
un cucchiaino di zucchero ティースプーン1杯の砂糖
un boccale di birra ジョッキ1杯のビール
un litro di latte 1リットルのミルク
un chilo di pomodori 1キロのトマト
due etti di prosciutto crudo 200gの生ハム
mezzo chilo di parmigiano 500gのパルメザンチーズ
un paio di pantaloni, due paia di scarpe ズボン1本、2足の靴
una boccetta di profumo 1瓶の香水
un grappolo d'uva (di glicine) ブドウ(フジ)1ふさ
una presa di sale ひとつまみの塩
un pezzo di pane (torta) 1切れのパン(ケーキ)
una goccia di latte 1滴のミルク
un mazzo di fiori (rose) 1束の花(バラ)
「イタリア世界遺産の旅」と「誰でもわかるイタリア語」
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