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「イタリア世界遺産の旅」と「誰でもわかるイタリア語」

石黒 秀嗣

ローマ歴史地区(Centro storico di Roma)その4 
ナヴォーナ広場(Piazza Navona) 1980/1990年登録


スケッチ画 樋口佳代

 パンテオンから歩いて数分の所にナヴォーナ広場があります。
 ナヴォーナ広場の起源はローマ時代(1世紀末)にありドミティアヌス帝が作った長さ240m、幅65mの競技場で3万人が収容できたローマ最初の競技場(Circus Agonalis)でした。また音楽堂(オデオン)も併設されていました。競技場が最初に使われたのは86年で、その際ギリシャの習慣に倣い、カンピドリオのユピテル神への奉納競技会が開催されました。


ナヴォーナ広場(Piazza Navona)
 広場は、北端が緩やかなカーブを描く細長い馬蹄形をしており、 広場を囲む建物は、3万人を収容した観客席があった場所に建設されています。南北に広がった長楕円形の広場には3つの噴水があります。
 南に位置する「ムーア人の噴水」は、ラッパを吹くトリトンがイルカと戦っている姿が描かれており、ベルニーニの下絵をもとに1653年に完成しました。
 北に位置する「ネプチューンの噴水」は、1574年に出来ていましたが、ネプチューンの像は1878年に追加されたものです。
 広場の中央に位置する「四大河の噴水」がもっとも有名なもので、バロックの巨匠ジャン・ロレンツォ・ベルニーニによる噴水です。1648~1651年にかけて建設されたもので、オベリスクを囲むように、ダイナミックな4体の擬人像がポーズを取っているのが印象的です。「四大河」とはナイル川、ガンジス川、ドナウ川、ラプラタ川を表しています。

 この噴水の前には、バロックを代表する建築家ボッロミーニによって17世紀に建てられたサンタ・アニェーゼ・イン・アゴネ教会(Sant'Agnese in Agone)が建っています(スケッチ画)。湾曲したファサードや、ドーム、鐘塔など、力動的な全体の構造は、典型的なボッロミーニの特徴とされています。この教会には、3世紀末にこの場所で処刑された殉教者である聖女アニェーゼ(アグネス)の遺骨が祀られています。
 バロックを代表するベルニーニとボッロミーニの仲が悪かったことは大変有名な話として伝えられています。ベルニーニの「四大河の噴水」でナイルが頭に布をかぶせているのは「見るに堪えない教会だ!」という意味で、またラプラタが腕を伸ばしているのが「教会が崩れ落ちるのを防ぐ格好をしている」という意味であるという俗説が、ローマ市民の間でまことしやかに語り継がれています。しかし教会より噴水の彫像の方が先に完成しているのでそのような解釈は間違っているということになります。

 彫刻の上に聳え立っているオベリスクは、1世紀にドミティアヌス帝が皇帝の即位のために作らせたもので、パンテオンの近くにあったセラペウム神殿とイセウム神殿の間に建てられていました。その後、このオベリスクはマクセンティウス帝によりアッピア街道沿いにある競技場に移されました。17世紀になってローマ教皇インノケンティウス10世がナヴォーナ広場を再建する計画の中で、5つの断片に割れて放置されていたオベリスクをこの広場に建てることを思いついたとされています。高さ16.54mの赤色花崗岩のオベリスクの頂上には十字架の代わりに教皇一族(パンフィーリ家)の家紋である「オリーブの葉をくわえている鳩」が取り付けられています。
 ナヴォーナ広場は2千年もの間、ローマの市民生活の中心だった場所です。1866年まで2世紀の間、8月の毎土・日曜には水を引き込みボート競技などが行われていました。冬は市民が楽しむ競技広場として親しまれてきた広場でした。
 今も昔もお祭りやいろいろな行事が行われ、縁日などで賑わいを見せ、オープンカフェやレストランなどが軒を連ね、いつもたくさんの人で賑わっています。

■ナヴォーナ広場:ガイドと写真
http://www.navonasquare.com/storia.php
http://www.laboratorioroma.it/ALR/Piazza%20Navona/piazza%20navona.htm

新シリーズ
◆誰でもわかるイタリア語 第20回

このシリーズ「誰でもわかるイタリア語」では、イタリア語の基礎を文法用語に頼って説明することを出来るだけ避け、誰にもわかるようにまとめています。また「単語帳」のコーナーを設けていますので、少しずつ単語や簡単なフレーズを覚えるようにして下さい。

進行形の作り方を学びましょう!

「現在形の用法」には、進行・状態を表す表現がありますので、現在形でも十分に説明できると思います。
例えば、"parlare"(話す)"piovere"(雨が降る)などの動詞の使い方は、ただ「話します」とか「雨が降る」という記述的な表現だけでなく、「話している」や「雨が降っている」という進行や状態を表す表現にも使うことが出来ます。
またイタリア語では、進行中の動作を強調するときには「進行形」という形があります。
動詞stareは、「(ある状態や状況に)ある、いる」の意味で使います。
例えば、"Io sto qui."(私はここにいます)のように使います。またあいさつの日常会話で"Come stai?"(お元気ですか?)に対して"Sto bene, grazie!" (元気です。有り難う!)というように状態を表します。

進行形の作り方はstareの現在形(半過去形) + ジェルンディオという形で作ります。

「ジェルンディオ(gerundio)」は、接続詞の代わりをするもので「...するとき(quando)」、「...しながら(mentre)」、「...なので(poiché)」、「たとえ...にしても(sebbene,benché,nonostante)」などを表します。今回は、もう一つのジェルンディオの用法である「進行形」について説明します。
進行形は、行為の進行や状態を強調する用法で、「...しつつある、...しているところ」と訳します。
ジェルンディオの作り方は、-are動詞は-ando-ere動詞と-ire動詞は-endoと語尾を変化させます。また前回、半過去の語尾変化で、古い語幹が残っている動詞(farefacere,diredicere,berebevere等)は、同じように古い語幹を残してジェルンディオを作ります。
fare(する)はfacendodire(言う)はdicendobere(飲む)はbevendoとなります。

動詞stareの現在形と半過去形の変化活用を思い出して下さい。

人称 現在形 半過去形
io(私は) sto stavo
tu(君は) stai stavi
lui(彼は)・ lei(彼女は)
Lei(あなたは)
sta stava
noi(私たちは) stiamo stavamo
voi(君たちは)
(あなたちは)
state stavate
loro(彼らは)
loro(彼女らは)
stanno stavano

■現在の進行形を使った例文

1. Stiamo aspettando l'autobus.
スティアーモ アスペッタンド ラウトブス
私たちはバスを待っているところです。
2. Sto cercando la chiave della mia macchina.
スト チェルカンド ラ キアーヴェ デルラ ミーア マッキナ
自分の車の鍵を探しています。
3. Che cosa stai facendo?
ケ コーザ スタイ ファチェンド
君は何をしていますか?
4. Tutti stanno ascoltando le canzoni del Festival Sanremo.
トゥッティ スタンノ アスコルタンド レ カンツォーニ デル フェスティヴァル サンレーモ
皆はサンレモ音楽祭の曲を聴いています。
5. La vita sta diventando sempre più cara.
ラ ヴィータ スタ ディヴェンタンド センプレ ディ ピュ カーラ
生活費はどんどん高くなっている。

■過去の進行形を使った例文

1. Stavo aspettando l'autobus per un'ora.
スターヴォ アスペツタンド ラウトブス ペル ウノーラ
私は1時間もバスを待っていました。
2. Stavo pensando di venire a trovarti per sempre.
スターヴォ ペンサンド ディ ヴェニーレ ア トゥロヴァルティ ペル センプレ
私はずっと君に会いに行くことを考えていました。
3. Carlo stava seguendo la partita alla TV.
カルロ スターヴァ セグエンド ラ パルティータ アルラ ティーヴ
カルロはテレビで試合を観戦していました。
4. Mio padre stava guidando bene la macchina.
ミオ パードゥレ スターヴァ グイダンド ベーネ ラ マッキナ
私の父は車をうまく運転していました。
5. Stavo guardando il programma preferito alla TV.
スターヴォ グアルダンド イル プログランマ プレフェリート アルラ ティーヴ
私はテレビで好きな番組を見ていました。

■「...しつつある、...しているところ」のように動作や状態の移り変わる経過を強調する場合stareの代わりにandare又はvenireを使って表すことが出来ます。

1. Lo yen giapponese va rialzando(abbassando=scendendo) di giorno in giorno.
ロ エン ジャッポネーゼ ヴァ リアルツァンド (アッバッサンド シェンデンド) ディ ジョルノ イン ジョルノ
日本の円高(円安)が日増しに進んでいます。
2. La nonna va migliorando(peggiorando) sempre di più.
ラ ノンナ ヴァ ミリオランド (ペッジョランド) センプレ ディ ピュ
祖母の容体はますます良く(悪く)なりつつあります。
3. Stavano parlando di politica e venivano concludendo che è miglio non parlarne.
スターヴァノ パルランド ディ ポリティカ エ ヴェニーヴァノ コンクルデンド ケ エ メーリオ ノン パルラルネ
彼らは政治について話していました。その結果それについて話さない方が良いという結論に至りました。

単語帳

今回は、「...番目の」を表す序数についてまとめてみました。

■序数の作り方について

a) 1番目~10番目までは不規則ですので暗記してください。

1番目 primo[プリーモ] 6番目 sesto[セスト]
2番目 secondo[セコンド] 7番目 settimo[セッティモ]
3番目 terzo[テルツォ] 8番目 ottavo[オッタヴォ]
4番目 quarto[クアルト] 9番目 nono[ノーノ]
5番目 quinto[クイント] 10番目 decimo[デチモ]

b) 11番目以降は、基数の最後の母音を落として-esimoを付けます。但し23以上の3(-trè)で終わる基数は最後の母音の上にアクセントがあるので、そのまま基数の後に-esimoを付けます。また最後が1000で終わる数は、複数であっても基数の複数形mila(不規則形)は使わず、milleを使います。但し千の位の次に他の小さい数があれば普通通りに作ります。

15゜ quindicesimo 31゜ trentunoesimo
53゜ cinquatatreesimo 100゜ centesimo
1000゜ millesimo 2000゜ duemillesimo
2013゜ duemilatredicesimo    

■数字や序数はローマ数字を使って表すことも出来ます。
イタリアの建物や石碑に刻まれているローマ数字が読めると旅も楽しくなると思います。

1から10は、I(1),II(2),III(3),IV(4),V(5),VI(6),VII(7),VIII(8),IX(9),X(10)となります。

ローマ数字を作るときの基準となる数がI(1),V(5),X(10),L(50),C(100),D(500),M(1000)です。

  • 13は、10(X)3(III)XIIIとなります。
  • 58は、50(L)8(VIII)LVIIIとなります。
  • 94は、90(XC)4(IV)XCIVとなります。
  • 1764は、1000(M)700(DCC)60(LC)4(IV)で、MDCCLCIVとなります。
  • 2013は、2000(MM)13(XIII)MMXIIIとなります。

■序数の例

カルロ5 Carlo V = Carlo Quinto
ヨハネ23 Giovanni XXIII = Giovanni Ventitreesimo
20世紀 il secolo XX = il secolo ventesimo
紀元前3世紀 il terzo secolo avanti Cristo(a.C.)
紀元後6世紀 il sesto secolo dopo Cristo(d.C.)
1 il primo capitolo
2 la seconda parte
3 l'atto terzo
4 la quarta sezione
前半(後半) primo tempo(secondo tempo)
小学校5 la quinta elementare
12)等 primaseconda) classe
5 quinto piano

■通貨ユーロ(euro)の読み方
1ユーロ=100セント(centesimo)
ユーロは単複同形です。またセントは会話では省略して読まないことが多いです。

  • €1 = un euro
  • € 200 = duecento euro
  • € 0.01 = un centesimo
  • € 0.25 = venticinque centesimi
  • € 36,58 = trentasei euro e cinquantotto(centesimi)
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