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「イタリア世界遺産の旅」と「誰でもわかるイタリア語」

石黒 秀嗣

ローマ歴史地区(Centro storico di Roma)その3 パンテオン(Pantheon)
1980/1990年登録


スケッチ画 樋口佳代

パンテオン(Pantheon) :
 今回紹介する「パンテオン」も、前回の「トレビの泉」のローマ水道「ヴィルゴ水道」を引いた、初代ローマ皇帝アウグストゥスの養子でもある腹心マルクス・アグリッパ(Marco Vipsanio Agrippa)によって、紀元前27-25年ごろに建てられました。現存しているのは、その後紀元80年の落雷による火災で焼失したものを皇帝ハドリアヌスが建て直したものです。正面の柱廊玄関(ポルティコ)の上(アーキトレーヴ)に「ルキウスの息子にして3度目の執政官を努めしマルクス・アグリッパ建立せり」(M・AGRIPPA・K・F・COS・TERTIVM・FECIT=Marcus Agrippa, Lucii filius, consul tertium fecit ラテン語)という銘文が彫り刻まれています。皇帝ハドリアヌスのアグリッパに対する敬意を示したと言われています。
 パンテオンという言葉はギリシャ語で「すべての神々」を意味し、ローマの神々を祀る神殿でした。アグリッパのパンテオンは、矩形の聖堂に柱廊玄関を設けたものだったようです。高さ12.5mのコリント式円柱が16本あり正面の柱廊玄関を支えていました。皇帝ハドリアヌスはその聖堂を円堂(ロトンダ)にしました。そこに架かる円形ドームの直径と高さは44.3m、ドームの天井には唯一の採光窓として直径9mの穴(occhio:目)が開いています。ポルティコを通ってロトンダに入ると、丸い天窓から光が降り注ぐ巨大な内部空間が広がります。ドームを支える外周壁の厚さは6mもあり、そこに神々を祀るための多数の壁龕(nicchia)が備えられています。
 パンテオンは、時代の変遷に伴ってカトリックの教会へと引き継がれます。609年に教皇ボニファティウス4世が聖母マリアと殉教者たちに捧げる教会(Santa Maria ad Martyres)へと変えました。その時に教皇はカタコンベからたくさんの殉教者たちの遺骨をパンテオンへ移し、大がかりな献堂式を行ったそうです。ローマ時代の神殿がカトリック教会として再利用されたため、パンテオンがローマ時代そのままの形で現存することが出来たのです。
 しかし17世紀、フィレンツェの名門バルベリーニ家出身のローマ教皇ウルバーノ8世は、ローマの町をバロックの町へと変えた偉大な彫刻家であり建築家であるベルニーニ(Gianlorenzo Bernini 1598-1680)に命じ、このパンテオンの柱廊玄関の上に二つの鐘楼を増築させました。しかしローマの人たちから「ロバの耳」(le orecchie d'asino)と言われ不評であっため1883年に取り壊されました。
また教皇ウルバーノ8世は、三十年戦争(1618-1649)という戦乱の中で軍事力の増強を図るため、大砲を製造しサンタンジェロ城を強化するため、またサン・ピエトロ大聖堂にベルニーニの天蓋(バルダッキーノ)を建造するために、その材料として青銅が鍍金されていたパンテオンの屋根やポーチの柱を覆っていた青銅をはがさせ鋳造するように命じました。バルベリーニ家は、このようにローマの多くのモニュメントの本来の良さを権力によって失わせることもしました。ローマ人はこれを評して「野蛮人(barbari)がしなかったことをバルベリーニ家(Barberini)はしてしまった」と皮肉っています。
 現在パンテオンのなかには、初代イタリア国王ヴィットリオ・エマヌエーレ2世の廟墓があります。それと向い合って建っているのが、2代目国王ウンベルト1世とその妻マルゲリータ王妃の廟墓です。またルネッサンスを代表する芸術家ラファエロの廟墓もあります。1520年にわずか37歳の若さで急逝したラファエルロは、本人の希望によって、1758年になってパンテオンに埋葬されることになりました。ラファエルロの遺体はロレンゼット作の聖母像の下に眠っています。そして墓の右隣には婚約者のマリア・ビッビエーナの祈念碑があります。

■パンテオン:ガイドと写真
http://www.italyguides.it/it/roma/pantheon.htm
http://www.romeartlover.it/Vasi25.htm

新シリーズ
◆誰でもわかるイタリア語 第19回

このシリーズ「誰でもわかるイタリア語」では、イタリア語の基礎を文法用語に頼って説明することを出来るだけ避け、誰にもわかるようにまとめています。また「単語帳」のコーナーを設けていますので、少しずつ単語や簡単なフレーズを覚えるようにして下さい。

過去形の作り方を学びましょう! その2

 半過去の語尾変化は-vo,-vi,-va,-vamo,-vate,vanoと共通の語尾を持っており規則的に変化します。
しかし語幹の取り方に特徴のある動詞があるので注意して下さい。
動詞fare(する),dire(言う),bere(飲む),tradurre(訳す),condurre(連れて行く),trarre(引く),porre(置く)は、動詞の古い形(←facere,←dicere,←bevere,←traducere,←conducere,←trahere,←ponere)が半過去の語幹に残っており、下の変化表にあるように変化します。

動詞の原形 fare
(←facere
dire
(←dicere
bere
(←bevere
tradurre
(←traducere
io(私は) facevo dicevo bevevo traducevo
tu(君は) facevi dicevi bevevi traducevi
lui(彼は)
lei(彼女は)
Lei(あなたは)
faceva diceva beveva traduceva
noi(私たちは) facevamo dicevamo bevevamo traducevamo
voi(君たちは)
(あなたちは)
facevate dicevate bevevate traducevate
loro(彼らは)
loro(彼女らは)
facevano dicevano bevevano traducevano

半過去と近過去の使い方の違いについて

a)

「...しました」そして次に「...しました」というように過去の行為を記述的に語る場合は近過去で表現します。

Ieri sera, prima ho mangiato e poi ho guardato la TV.
イエーリ セーラ プリーマ オ マンジャート エ ポイ オ グアルダート ラ ティーヴ
昨夜、まず食事をしてそれからテレビを見ました。
Abbiamo visitato il museo e poi siamo andati in Piazza di Spagna.
アッビアーモ ヴィジタート イル ムゼーオ エ ポイ シアーモ アンダーティ イン ピアッツァ ディ スパーニャ
私たちは博物館へ行って、それからスペイン広場に行きました。
b)

「...しながら...していた」というように過去の2つの行為が同時に並行して行われいる場合は半過去で表現します。

Ieri sera, mentre mangiavo, guardavo la TV.
イエーリ セーラ メントゥレ マンジャーヴォ グアルダーヴォ ラ ティーヴ
昨夜、食べながらテレビを見ていました。
Di solito, mentre aspettavo l'autobus, leggevo il giornale.
ディ ソリト メントゥレ アスペッターヴォ ラウトブス レッジェーヴォ イル ジョルナーレ
普段は、バスを待っている間、新聞を読んでいました。
Mentre io camminavo, pensavo a te.
メントゥレ イーオ カッミナーヴォ ペンサーヴォ ア テ
歩きながら君のことを考えていました。
Mentre Franco e Sergio andavano in scuola, parlavano di calcio.
メントゥレ フランコ エ セルジョ アンダーヴァノ イン スクオーラ パルラーヴァノ ディ カルチョ
フランコとセルジオは学校へ行く途中、サッカーについて話していました。
c)

「...している間に...した(しました)」というように過去の継続中の行為で起きたことを表す場合、継続中の行為は半過去で表し、起きた出来事を近過去で表現します。

Ieri sera, mentre passeggiavo, ho incontrato Paolo.
イエーリ セーラ メントゥレ パッセジャーヴォ オ インコントゥラート パオロ
昨夜、散歩している時パオロに会いました。
Mentre Rita ascoltava la musica, ha fatto i compiti.
メントゥレ リータ アスコルターヴァ ラ ムージカ ア ファット イ コンピティ
リータは音楽を聴きながら宿題をしました。
Mentre Carlo tornava a casa, ha pensato di passare da Luisa.
メントゥレ カルロ トルナーヴァ ア カーザ ア ペンサート ディ パッサーレ ダ ルイーザ
カルロは家に帰る途中、ルイーザの所に寄ることを考えた。
Mentre lei preparava il pranzo, si è accolta che manncava il pane.
メントゥレ レイ プレパラーヴァ イル プランツォ シ エ アッコルタ ケ マンカーヴァ イル パーネ
彼女は食事を用意している時、パンがないことに気付いた。
d)

「...した時は、...だった」というように過去のある時点での状態を表す場合、「...した時は」の行為は完結しているので近過去で表し、一方「...だった」はその時の状態を表すので半過去で表現します。

Quando sono tornato a casa, non preparava ancora la cena.
クアンド ソーノ トルナート ア カーザ ノン プレパラーヴァ アンコーラ ラ チェーナ
家に帰った時、夕飯がまだ用意出来ていなかった。
Quando Laura è andata a vivere a Roma, non conosceva ancora nessuno lì.
クアンド ラウラ エ アンダータ ア ヴィーヴェレ ア ローマ ノン コノシェーヴァ アンコーラ ネッスノ リ
ラウラがローマで暮らしていた時、そこではまだ誰も知らなかった。
Quando sono partito per l' Italia, non parlavo ancora bene l'italiano.
クアンド ソーノ パルティート ペル リタリア ノン パルラーヴォ アンコーラ ベーネ リタリアーノ
イタリアに出発した時は、まだうまくイタリア語を話せなかった。
Quando siamo usciti di casa, non pioveva ancora forte.
クアンド シアーモ ウシーティ ディ カーザ ノン ピオヴェーヴァ アンコーラ フォルテ
私たちが家を出た時、まだこんなに強く雨が降っていなかった。

単語帳

数の表し方についてまとめてみました。数には基数と序数があります。
基数は、「2人の友達」(2 amici)とか「3個のリンゴ」(3 mele)のように人や物の数を表します。それに対して序数は、「ヴィットリオ・エマヌエーレ2世」(Vittorio Emanuele II)とか「4階」(4 piano)のように人や物の順位を表します。

■基数について

1から10までの数字1だけはかかる名詞によって不定冠詞と同じ変化をします。例えば「ひとりの友達」(un amico, un' amica)、「ひとりの学生」(uno studente)、「1杯のコーヒー」(un caffè)、「1台の車」(una macchina)となります。

1 uno[ウーノ]
2 due[ドゥーエ]
3 tre[トゥレ]
4 quattro[クアトゥロ]
5 cinque[チンクエ]
6 sei[セイ]
7 sette[セッテ]
8 otto[オット]
9 nove[ノーヴェ]
10 dieci[ディエーチ]

11から20までの数字11から16までは、10を示すdiciが後ろに置かれ、17から19は前に来ることに注意して下さい。

11 undici[ウンディチ]
12 todici[ドーディチ]
13 tredici[トゥレディチ]
14 quattordici[クアトールディチ]
15 quindici[クインディチ]
16 sedici[セーディチ]
17 diciassette[ディチアセッテ]
18 diciotto[ディチョット]
19 dicianove[ディチャンノーヴェ]
20 venti[ヴェンティ]

20から99までは、日本語と同じように十の位の数が前に、そして一の位の数が後ろに来ます。
例えば2320(venti)+3(tre)=23(ventitrè)となります。
1(uno)8(otto)は母音で始まるので、十の位の数の最後の母音を落として繋げて下さい。
例えば51は、50(cinquanta)+1(uno)=51(cinquantuno)となります。
また88は、80(ottanta)+8(otto)=88(ottantotto)となります。

100以降の数の作り方:イタリア語の数の作り方は、3桁ごとにピリオド(.)を打って数を作ります。

上の数は、36(trentasei)+milioni+572(cinque-cento, settantadue)+mila+849(otto-cento,quaranta-nove)

注意点:

  1. mille1.000)の複数形は不規則なmilaとなります。発音と綴りに注意しましょう。
  2. un milione100万)又はun miliardo10億)は、複数の時は複数形にします。
    例)due milioni200万)、cento milioni1億)、dieci miliardi100億)
  3. イタリア語では、小数点をコンマ(,)で表し、1から上位3桁ごとにピリオド(.)を打ちます。日本語とは逆なので間違えないように注意して下さい。

◆数字の234は、実際の数字のほかにも漠然と少ない数を表します。また100(cento)・1000(mille)・100万(un milione)などの数は誇張した数を表すのに使われます。

  • Facciamo due(quattro) passi!(ちょっと散歩をしましょう!)
  • La mia casa è a due passi.(僕の家はすぐそこです)
  • Vieni a fare quattro chiacchiere?(ちょっとおしゃべりをしに来ませんか?)
  • Grazie mille!(またはMille grazie!)(本当にありがとうございます)
  • Mille baci ai tuoi bambini!(君のお子さんに沢山のキスを!)
  • Te l'ho già detto cento volte, è vero?(君にはそのことを何度も言っただろう?)
  • Dobbiamo raccontarvi un milione di cose.(君たちに沢山のことを話さなければなりません)
「イタリア世界遺産の旅」と「誰でもわかるイタリア語」
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