愛知県共済

インターネット公開文化講座

文化講座

インターネット公開文化講座

「イタリア世界遺産の旅」と「誰でもわかるイタリア語」

石黒 秀嗣

ローマ歴史地区(Centro storico di Roma)その24
古代ローマの水道(Aquedotti dell'Antica Roma) 1980/1990年登録


スケッチ 樋口佳代

 ローマ街道は、「すべての道はローマに通ず」と言われるように、それまでの街道の概念を一新し、その後のローマ発展の礎となりました。もう一つの大切なインフラ整備がローマ式水道と言えるでしょう。古代の多くの都市が、水が豊富に得られる場所の近くに築かれました。ローマ初期には、泉や井戸やテヴェレ川などの渓流からの水で十分な水が得られていました。紀元前4世紀から3世紀にかけてローマは急速に発展し、人口の急激な増加により水の需要も増大し、安定した水の供給が必要となりました。アッピア街道を立案し敷設した同じ人物アッピウス・クラウディウスによって、紀元前312年に工事が着工され、全長16.561kmアッピア水道(Aqua Appia)が敷設されました。その後、マルキア水道(前144-14091km)、ヴィルゴ水道(前1920km)などが敷設されました。ローマ市内に供給された水道はアッピア水道をはじめとして総数11本に及んでいます。水道の長さを合わせると350kmとなり、ローマ市に供給された水量は1日に100万m³にもなり、1人当たり1m³/日(1000リットル)供給されたようです。
"ローマ水道"と聞くと、「水道橋」のイメージが強く、下部が連続アーチの高架橋を連想するかもしれません。しかし実際には、水道全体の20パーセントに過ぎず、導水路の大部分は地下にありました。高架式の水道橋は、長い年月と多額の費用がかかること、また敵の攻撃からの防御や水質の維持管理などの理由により地下や地上の導水渠が使われました。ローマの分水施設に到達した水は、陶管・鉛管・青銅管などを通り公衆浴場や、ドムスやヴィッラなどの邸宅・公共施設や、庶民が水を汲みにくる泉などに配水されていました。公衆浴場などから溢れ出た水は下水溝へと流れ、浴場などの共同トイレの排水も含め、絶えず汚水や汚物を流していたようです。
 8本目の水道として完成したのが当時の皇帝の名前がつけられたクラウディア水道Aquedotto Claudia 28-52年)です。全長約68.98kmの内53.62kmは地下の導水渠で構成されていました。地上の水道橋の遺構がよく残っているローマ水道橋公園(スケッチ画 Parco degli Acquedotti)付近では、その高さが約30mにも達しています。ローマ市内のチェーリオの丘からパラティーノの丘に接続する部分の高さは37m以上もあったとされています。

■古代ローマの水道について
http://www.romanoimpero.com/2009/10/acquedotti-romani.html

新シリーズ
◆誰でもわかるイタリア語 第40回

このシリーズ「誰でもわかるイタリア語」では、イタリア語の基礎を文法用語に頼って説明することを出来るだけ避け、誰にでもわかるようにまとめています。また「単語帳」のコーナーを設けていますので、少しずつ単語や簡単なフレーズを覚えるようにして下さい。

【受動態(受け身)】 その3

【受動態の種類】

受動態には、A.essere+他動詞の過去分詞」の他に、「動き」や「状態」を強調するB.venire(stare)+他動詞の過去分詞」や、「義務」(されるべき)を強調したり、「消滅、解消」を強調するC.andare+他動詞の過去分詞」、そして日常会話などでもよく使われる受け身小詞と呼ばれるD.si+他動詞の三人称」があります。

D.「si+他動詞の三人称」:

 siの用法にはいろいろありますので、簡単に説明した上で、受け身小詞siを使った受動態について説明します。

(1)再帰代名詞のsi:代表的なものには、再帰動詞のときに使う三人称の再帰代名詞のsiです。「起きる」(alzarsi)や「座る」(sedersi)という再帰動詞は、もとは(人や物など)を「起こす」(alzare)や、「座らせる」(sedere)という他動詞で、「テーブルを起こす」(alzare la tavola)、「子供を座らせる」(sedere il bambino)というように使いました。再帰動詞は、その動作や行為が自分自身にかえってくる用法です。そしてこの再帰動詞には、かならず「自分自身を(に)」を示す再帰代名詞(mi,ti,si,ci,vi,si)が一緒についてきます。三人称は単数も複数もsiという同じ再帰代名詞となります。

【例文】

Di solito Maria si alza alle sette.
(普通は、マリアは7時に起きます)

(2)非人称のsi:このsiは漠然とした「人」を表します。行為者を具体的に特定する必要がないときに、時には集団的な意味で「私たちは、君たちは」のニュアンスで使うこともあります。この非人称のsiを使って表現します。動詞は自動詞の三人称単数となります。希に例文のように目的語を取らない他動詞「支払う(pagare)」でも非人称のsiを使うことがあります。しかし目的語を取る他動詞の場合は受動態となるので注意して下さい。

【例文】

Non si parla di politica a tavola.
(食事の時は政治の話はしない)

In quel negozio si paga solo in contanti.
(あのお店では現金払いだけです)

「si+他動詞の三人称単数または複数」の受動態について

 動詞が三人称であっても、≪人や動物≫が主語になることはあまりなく、大抵は≪物≫が主語となります。大抵は動詞の後に置かれます。近過去のような複合時制の場合は、助動詞はessereを取り、過去分詞の語尾は、主語の性と数に一致するので注意して下さい。非人称のsiと混同しやすいので注意して下さい。またこの受動態は、行為者「~によって」を表す「da~」をつけて表すことは出来ません。

【例文】

(1) Si prepara la cena alle sette.
(夕食は7時に支度される)

(2) Si picchia un chiodo col martello.
(釘は金槌でうたれる)

(3) Si mette del sale nel brodo.
(スープにいくらかの塩が入っている=入れられる)

(4) In piazza si vedono molte persone.
(広場には多くの人が見られる)

(5) In Svizzera si parlano l'italiano, il tedesco e il francese.
(スイスではイタリア語、ドイツ語、フランス語が話されています)

(6) Napoli si cantano delle canzoni napoletane.
(ナポリではナポリの歌が歌われている)

(7) Si può sapere quanto costa quella giacca?
(あのジャケットがいくらか教えて下さい)

(8) La sera si accendono le luci.
(夜になると灯りがともされる)

(9) Si è accesa la luce.
(灯りがともされた)

(10) Si vedrà il Monte Fuji con questo bel tempo.
(このいい天気なら富士山が見えるでしょう)

(11) Si sentiva cantare qualcuno.
(誰かが歌っているのが聞こえていました)

(12) Non si sentiva che la soneria della sveglia.
(目覚まし時計のベルが聞こえなかった)

■以下の例文のように文節全体が主語となる場合もあります。

(1) Si crede che tutto andrà bene.
(すべてうまく行くだろうと思われている)

(2) Si dice che in Italia i negozi siano(=sono) chiusi la domenica.
(イタリアでは日曜日には店が閉まっているそうです≪言われている≫)

(3) Non si sa quando smetterà di nevicare.
(いつ雪が降りやむかわからない≪知られない≫)

(4) Giuseppino, si può sapere perché non vuoi stare zitto?
(ジュゼッピーノ!何故おとなしくしていられないの≪知られることが出来るか≫)

(5) Si vede che quella è italiana.
(あの人がイタリア人の女性であるのは見れば分かる≪見られる≫)

■受け身小詞を使った慣用句

(1) Si capisce!
(もちろん=そんなことは理解されている)

(2) S'intende!
(もちろん)又は〈...と言う言葉は〉意味する

【例文】

S'intende che verrai.
(もちろん君もくるんだよ)

Che cosa si intende per "libertà"?
(「自由」とは何を意味するのか?)

(3) Si vedrà!
(いまに分かるであろう、いまに見ていろ)

(4) Si vede?
(分かるでしょう)

(5) Si può?
(...しても)いいですか?

(6) Non si sa mai!
(分かるものか)

(7) Affitasi la camera.
(空室あります=部屋が貸される)

(8) Si prega di+不定詞
(お願いします)

【例文】

Si prega di lasciare la camera prima delle 11:00.
(11時前にお部屋をお開けになるようにお願いいたします)

Si prega di non toccare.
(手を触れないで下さい。)

単語帳

レシピーから学ぶイタリア語

 「食材から学ぶイタリア語」では、イタリア料理に使う食材や調味料について単語をまとめてみました。今回は、この食材を使って料理を作る際に必要なイタリア語をまとめてみました。例えば、「スパゲッティを茹でる」(cuocere gli spaghetti)とか、茹でた後「水気を切る」(scolare gli spaghetti)とか、「ニンニクをきつね色に炒める」(far rosolare l'aglio affettato)などのように、料理のレシピーに必要な単語をまとめてみました。

1. 揚げる friggere(fritto)
2. 和える mescolare,condire con
3. 炒める tostare,soffriggere(soffritto),abbrustodire
4. 燻す(燻製にした) affumicare(affumicato):燻製ニシン(aringa affumicata)
5. 炙る(ローストする) arrostire
6. 茹でる bollire(bollito),cuocere,lessare
7. 焼く cuocere(cotto):far cuocere al forno(オーブンで焼く)
8. 温める riscaldare
9. 冷やす raffreddare(freddare)
10. 味わう assaggiare,gustare:味(sapore,gusto)
11. 味付けする condire:味付け(condimento)
12. おろす(チーズなど) grattugiare
13. 加える aggiungere
14. 切る tagliare,affettare(薄く切る)
15. かき回す agitare,girare:混ぜる(mescolare,mischiare
16. 焦がす bruciare
17. 潰す pestare,schiacciare,macinare
18. 溶かす sciogliere,fondere
19. 注ぐ versare
20. ねかす(生地など) lasciare,riposare
21. グリルする grigliare(cuocere alla griglia)
22. 水気を切る scolare,sgocciolare
23. 飾りつける decorare
24. まぶす infarinare(小麦粉),impanare(パン粉)
25. ポシェする affogare(affogato)
26. マリネーする marinare(marinato)
27. 蒸す cuocere a vapore
28. 湯がく sbollentare,scottare
29. あくを取る togliere la schiuma
30. うらがえす rivoltare,girare
「イタリア世界遺産の旅」と「誰でもわかるイタリア語」
このページの一番上へ