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「イタリア世界遺産の旅」と「誰でもわかるイタリア語」

石黒 秀嗣

ローマ歴史地区(Centro storico di Roma)その19
トラヤヌスの記念柱(Colonna Traiana) 1980/1990年登録


スケッチ画 樋口佳代

 ヴェネツィア広場からヴィットーリオ・エマヌエーレ2世記念堂を正面に見て、左手に目に入ってくるのがトラヤヌス帝の記念柱Colonna Traiana スケッチ画)です。ここから500m程先のコロッセオまで皇帝たちのフォロ群が広がっています。
 トラヤヌス帝(在位98117年)は、全盛時代と言われたローマ帝国を統治した五賢帝2番目の皇帝です。
 トラヤヌス帝(在位:98117)は、ドナウ川北岸のダキア(現在のルーマニア)を征服し、ローマ帝国の領土を最大に拡大した皇帝です。広大なダキア属州をもうけたとき、勝利の記念として元老院の依頼により、建築家ダマスカスのアポロドーロスの指揮のもと建設され、113年に完成しました。
 トラヤヌス帝の記念柱は、ドーリア式円柱の総高は40mにも及ぶ円柱で、19の巨大な大理石を積み重ねたものです。内部はくりぬいて造られており、頂上までは185段の螺旋状階段があり、45の銃眼から採光する構造となっています。円柱の表面には、左下から右上に向かって螺旋状に描いたレリーフが彫られています。ダキア戦勝利の模様が叙事詩的に描かれています。レリーフを構成する物語は、「出陣に際しての皇帝の訓令」「供儀」「軍営などの設営」「施設と捕虜」「遠征と進軍」「戦い」の6つの主題で構成され、155もの場面に分けられ、レリーフのなかには2500人ほどの人物が描かれています、その中にはトラヤヌス帝が約60の場面に登場しています。
 このレリーフの実物大展開図は、200メートルにも及ぶものです。レリーフの詳細は、ローマ南郊エウルのローマ文明博物館に展示されている鋳型を見るとよく分かります。
 建築当初、記念柱の柱頭には鍍金された鷲の彫刻が設置されていましたが、トラヤヌス帝の死後、皇帝ハドリアヌスにより、トラヤヌス帝のブロンズ像が置かれました。しかし1587年、教皇シクストゥス5世によってジャコモ・デッラ・ポルタ作の聖ペテロ像に取り替えられました。
 記念柱の基壇には、トラヤヌス帝の遺灰がはいった黄金製の納骨壺が納められ、墓廟としての機能があったとされています。
 この記念柱がキリスト教時代を生き延びたのは、教皇グレゴリウス1世(在位590-604)によるとされています。トラヤヌスが息子を殺された女性に救いの手を差しのべているレリーフを見て大層感銘を受け、トラヤヌス帝の魂を地獄から解放してやって欲しいと神に祈りました。すると神が現れ「彼の魂は救われた」とお告げを受けたのです。伝説によれば、納められた納骨壺を開けると、頭蓋骨と舌が原型をとどめていて、自分は地獄から解放されたとその舌が語ったと伝えられています。その結果この場所は聖なる地とされ、記念柱もそのまま残さることになったのです。
 基盤の入るところに、トラヤヌス帝と記念柱についての碑文が刻まれています。この碑文の字体は、下から見上げる形で読むので、下の行の文字ほど若干小さくなっており、見上げたときに文字の大きさが揃うようになっています。その後多くの遺跡などの文字として使われました。2000年も前、まだ小文字のなかった時代の文字です。RJの「はらい」がとても綺麗なのが特徴で、厳格で優雅な雰囲気を持った字体(フォント Trajan)です。
 その格式の高さから、映画のタイトル(TITANIC, GLADIATOR, STAR WARS EPISODE III, THE LAST SAMURAIなど)、ANDREA BOCELLIMichael Jackson(THIS IS IT)などのCDタイトルなどにも使われています。その他には、高級チョコレートのゴディバ(GODIVA)のロゴ、最近では世界の有名大学(COLUMBIA UNIVERSITYUNIVERSITA DI BOLOGNAなど)のロゴにも多く使われています。
トラヤヌス帝の記念柱に刻まれた碑文の字体が、2000年という時間や場所を飛び越えて現在と繋がっていると考えると大変感慨深いです。

■トラヤヌスの記念柱のガイドと写真
http://it.wikipedia.org/wiki/Colonna_Traiana
http://www.italyguides.it/it/roma/colonna_traiana.htm
http://www.rome-roma.net/impero-romano/colonna-traiana-1.html

■トラヤヌスの記念柱の碑文とTrajanのフォント
http://blog.giofugatype.com/?p=317
http://foto.museiincomuneroma.it/details.php?gid=100&pid=1707

新シリーズ
◆誰でもわかるイタリア語 第35回

このシリーズ「誰でもわかるイタリア語」では、イタリア語の基礎を文法用語に頼って説明することを出来るだけ避け、誰にでもわかるようにまとめています。また「単語帳」のコーナーを設けていますので、少しずつ単語や簡単なフレーズを覚えるようにして下さい。

【関係代名詞】 その1

[例文1]

(a) Io conosco Maria.
(私はマリアを知っています。)

(b) Maria studia il giapponese.
(マリアは日本語を勉強しています。)

基本的には(a)(b)を並べて説明するだけで充分です。しかし共通の言葉(Maria)があるので、出来たら2つの文章を繰り返すのを避けて、1つのスマートでスッキリした文章にするには、関係代名詞を使って(c)のように表すことが出来ます。

(c) Io conosco Maria che studia il giapponese.
(私は日本語を勉強しているマリアを知っています。)

共通の言葉(Maria)は、関係代名詞cheより先に来る言葉という意味で「先行詞」といいます。また関係代名詞に導かれる文章を「関係詞節」といいます。

[例文2]

(a) Quel film è italiano.
(あの映画はイタリア映画です。)

(b) Ieri ho visto il film alla TV.
(昨日、テレビで映画を見ました。)

ここでも共通の言葉(il film)があるので、関係代名詞を使って1つの文章にしてみましょう。

(c) Quel film che ho visto alla TV è italiano.
(昨日、テレビで見た映画はイタリア映画です。)

関係代名詞にはche, cui, quale, chi, quantoがあります。しかし先行詞と関係代名詞との関係は大変重要で、どの関係代名詞でもいいわけではありません。上の例文では、例文1では、先行詞(Maria)が主語(~は)の働きを、また例文2では、先行詞(il film)は目的語(~を)の働きをしています。

A) 関係代名詞 che

1.先行詞関係詞節では、主語(~は)または目的語(~を)の働きをする。

2.前置詞とともには使うことが出来ない

3.先行詞が〈時間に関する名詞〉なら、《関係代名詞 in cui, a cui》の代わりに使うことが出来る。

[例文]

(1) Non conosco la persona che ha telefonato.
(私は電話をしてきた人を知りません)

(2) Il film che abbiamo visto ieri, mi è piaciuto molto.
(私たちが昨日見た映画は、私は気に入りました)

(3) Ho bevuto il vino che mi hai regalato l'altro ieri.
(君が一昨日プレゼントしてくれたワインを飲みました)

(4) Ho portato le rose che sono fiorite nel mio giardino.
(自分の庭に咲いたバラの花を持ってきました)

(5) La stagione che le rondinelle fanno i nidi, ci rivedremo.
(つばめが巣を作る季節にまた会いましょう)

4.その他の使い方

ciò che(...するもの、こと)
quello che(...するもの、こと:...する人)
quelli che(...する人たち)
il che(del che)前に述べられたことを受けて「そのこと」を意味する

[例文]

(1) Non mi piace quello che hai detto.
(君が言ったことはことは嫌いだ)

(2) Farò quello che posso.
(僕は出来ることをしよう)

(3) Ciò che tu dici non è vero.
(君が言っていることは本当ではない)

(4) Lui conosce tre lingue estere, il che è molto utile.
(彼は3か国語を知っている。そのことが大変役にたちます)

B) 関係代名詞 cui

1.先行詞が、関係詞節での主語・目的語として用いられず、前置詞を伴ったいろいろな働きをする(di cui, per cui, con cui, da cuiなど)
訳す場合、後の関係詞節の方から「...するところの」と訳すのが一般的ですが、関係代名詞cuiを使った文章を訳すときは、cuiの前の前置詞の働きを考えて、文章の頭から「...である、そしてそれ(彼)...」といった気持ちで訳すと意味が取り安いです。

[例文]

(1) Questo è il libro di cui ti ho parlato.
(これが君に話した本です)

(2) La ragazza a cui ho prestato il mio quaderno, non è venuta.
(私のノートを貸した女の子は、来なかった)

(3) Vorrei tornare nel paese in cui sono nato.
(私が生まれた故郷に戻りたい)

(4) La cosa di cui stai parlando, non m'interessa.
(君が話していたことは、興味がありません)

(5) Ti dirò subito i motivi per cui sono venuto a trovarti.
(君に会いに来たその理由を、直ぐ君に言おう)

(6) Il professore da cui avete imparato l'italiano, è il professor Ishiguro.
(君たちがイタリア語を教わった先生は、石黒先生です)

(7) Maria ha invitato molte persone tra cui era anche la tua amica.
(マリアが沢山の人を招待しました、その中には君の友達もいました)

2.所有格(~の)の関係代名詞 : 先行詞の所有・所属を表す
《定冠詞+cui+名詞》の定冠詞がcuiの後に置かれる名詞の性と数に一致する

[例文]

(1) Mia moglie, la cui macchina è nuova, guida bene.(= la macchina della mia moglie)
(私の妻の車は新しく、うまく運転します)

(2) Quel signore, il cui figlio studia in Italia, è mio zio.(= il figlio di quel signore)
(息子さんがイタリアで勉強しているあの人は、私の叔父さんです)

(3) Venezia, la cui piazza San Marco è famosa in tutto il mondo.(= la piazza di Venezia)
(ヴェニスのサンマルコ広場は、全世界で有名です)

(4) Alla festa di Maria, i cui amici erano allegri e simpatici, mi sono divertito molto.(= gli amici di Maria)
(パーティでは、マリアの友達達は陽気で好い人たちで、私は大変楽しめました)

(5) Dante è un poeta, le cui opere sono conosciute da tutti.(= le opere di Dante)
(ダンテは詩人で、彼の作品は皆から知られています)

C) 関係代名詞 quale

1.少し堅苦しい表現になるが、先行詞を強めたい場合や、先行詞がはっきりしない場合に使われる

[例文]

(1) Devo ringraziare quella signora la quale(= che) mi ha aiutato.
(私を助けてくれたあの奥さんに感謝しなければならない)

(2) Non conosciamo i signori dei quali(= di cui) tu parli.
(私たちは君が話している人たちについて知りません)

(3) Ecco gli amici dai quali(= da cui) sono andata a cena ieri.
(こちらが、昨日私が彼らのところに夕食に行った友達たちです)

(4) Non capisco il motivo per il quale(= per cui) oggi i negozi sono chiusi.
(理由が分かりません。その理由のため今日お店はお休みです)

D) 関係代名詞 chi

1.「...する(ところの)人」「...する(ところの)誰か」を表す関係代名詞chiは、英語のwhoと違って人を表す先行詞をとらない

2.関係代名詞chiは、普通は男性単数として扱われる

[例文]

(1) Chi mangia troppo, ingrassa.
(食べ過ぎる人は太る)

(2) Chi arriva in ritardo, non può entrare.
(遅れて来る人は入ることが出来ない)

(3) Non devi prestare i libri a chi non li restituisce.
(本を返さない人に貸すべきでない)

(4) Chi vuole venire alla gita, deve comprare il biglietto.
(遠足に行きたい人は切符を買わなければなりません)

(5) Al parco c'erano tanti bambini: chi giocava, chi andava in bicicletta, chi correva.
(公園では沢山の子供達がいました。遊んだり自転車に乗ったり走ったりしていました)

単語帳

パスタの名前から学ぶイタリア語 その2

B. ショートパスタ(Paste corte):主食のイメージがあるロングパスタと違い、ショートパスタはスープ、サラダ、主食など様々なパスタ料理として使われています。さらにショートパスタの形状も可愛らしいものが多く、食感だけではなく目で見て楽しむ事も出来ます。

1.パスタの名前:ペンネ(Penne)

「ペン」を意味するpennaが語源。筒状の両端をペン先のように斜めにカットしたもの。
トマトソースからチーズ、生クリームソースまで幅広く使えるパスタ。
「ペンネアラビアータ」が有名。

2.パスタの名前:ペンネリガーテ(Penne rigate)

「線」を意味するriga、rigatoは「線を引いた」という形容詞。
ペンネの表面に線を引いたような筋がついたパスタで、その溝にソースが良くからまるので濃いソースとの相性がよいです。

3.パスタの名前:ファルファッレ(Farfalle)

「蝶」を意味するfarfallaが語源。蝶またはリボンの形をしたパスタ。
中心部と周辺部の厚さが違うため、茹でるときに注意が必要。
スープに入れて眼でも楽しみながら食べて下さい。
生地の薄いところと厚いところで感触が違います。

4.パスタの名前:オレッキエッテ(Orecchiette)

「耳」を意味するorecchioが語源。「赤ちゃんの耳(耳たぶ)」という意味。
主にブロッコリーを使ったオイル系の料理に使われます。

5.パスタの名前:コンキリエ(Conchiglie)

「貝殻」を意味するconchigliaが語源。更に小さいものはコンキリエッテ(conchigliette)と呼ばれます。
魚介類やトマト風味に合います。スープの浮き実などに使われます。

6.パスタの名前:リガトーニ(Rigatoni)

外側に波状の線が入った、太めのパスタ。
クリーム系などのこってりとしたソースがよく合います。

7.パスタの名前:フジッリ(Fusilli)

「ライフルの螺旋状の銃砲身」「銃」を意味するfucile(= fusile)が語源。現代イタリア語では「小さな紡錘(糸巻き)」の意味もあります。
螺旋状の形をしているので、ソースとよく絡みどんなパスタとも相性がよい。

8.パスタの名前:アネッリ(Anelli)

「指輪」を意味するanelloが語源。直径1cmからそれ以下の指輪状のパスタ。
ミネストローネなどのスープに浮かべるなどして使われます。

9.パスタの名前:ルマコーニ(Lumaconi)

「貝殻(かたつむり)」を意味するlumacaが語源。
ルマコーニは少し大きめのパスタのため、中に具を詰めたりして使われます。

「イタリア世界遺産の旅」と「誰でもわかるイタリア語」
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