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「イタリア世界遺産の旅」と「誰でもわかるイタリア語」

石黒 秀嗣

ローマ歴史地区(Centro storico di Roma)その10
アウレリアヌス城壁(Mura Aureriane) 1980/1990年登録


スケッチ画 樋口佳代

 紀元前4世紀に建設されたセルヴィウス城壁(Mura Serviane)は、ローマの七つの丘を取り囲んでいました。全長が11km14の城門を持つ大規模で堅固なもので、かのハンニバルがそれを見て攻撃をあきらめたとされるほどでした。その城壁の残骸はローマのテルミニ駅横に見ることが出来ます。ローマの町は次第に勢力を伸ばし城壁の外にも発展し、外からの脅威がローマ帝国を脅かすようになり、新たな城壁の建設が必要となってきました。アウレリアヌス帝により270年から5年という短い期間で完成させました。
工事を短縮し資金を節約するため、古い城壁や建造物(遺跡など)が建築資材として利用されたり、なかにはガイウス・ケスティウスのピラミッド(スケッチ画)やクラウディア水道の一部などの既存の建造物を城壁に組み込んだりもしました。またサンタンジェロ城も防御用の要塞として城壁に組み込まれました。
 アウレリアヌスの城壁(Mura Aureliane)の長さは約19キロもあり、18の城門と381の見張り塔を備えており、13.7平方kmの領域を取り囲んでいます。城壁の高さは当初6.58メートル、厚さ3.5メートルありましたが、4世紀から5世紀には、外壁や塔などほぼ倍の高さに改築する工事が行われ一段と強固な城壁となりました。現在も城壁の大部分は残っていますので、時間のある方は城壁や城門など見学してその時代の空気を肌で感じてくるのもいいでしょう。
ここでは代表的な城門を紹介しましょう。

 サン・セバスティアーノ門(Porta S. Sebastiano):古代ローマの幹線道路である旧アッピア街道(Via Appia)の出発点にあったためアッピア門と呼ばれていましたが、サン・セバスティアーノの聖堂に向かう巡礼の通り道であったことからサン・セバスティアーノ門と呼ばれるようになりました。最大の城門で保存状態も大変よいです。内部には城壁博物館(Museo delle Mura)があります。
 ピンチアーナ門(Porta Pinciana):ヴィッラ・ボルゲーゼ(Villa Borghese)の近くにあります。今ではバスや車がこの門を通り抜けていきます。
 ピア門(Porta Pia):イタリア国王のベルサリエリがこの門を破壊して、ローマを奪還したことで有名。19世紀までこの城壁がローマ市の境界線とされていました。この周辺にはイタリア統一の記念碑があったり、この城門がミケランジェロによる設計で立て替えられたことでも知られています。
 フラミニア門(Porta Flaminia):ローマからリミニまでを結ぶフラミニア街道(Via Flaminia)の基点となったところです。
 ラティーナ門(Porta Latina):石灰華でできたアーチ型の城門で、門扉は二重になっていて、外側は両開きの扉、内側は落とし格子という構造となっており、明かりをとるために、上部には5つのアーチ窓が並んでいます。
 サラーリア門(Porta Salaria):名前から分かるように塩(イタリア語でsale)を運ぶための重要な役割を担った門です。しかし5世紀、西ゴート族はこの門から侵入しローマが攻略されたのでした。現在は道路整備のためこの門は取り壊されフィウーメ広場がつくられ、ぽっかり城壁が開いてしまいました。
 アシナーリア門(Porta Asinaria):サン・ジョバンニ・イン・ラテラーノ大聖堂の近くにある城門で、546年、ローマ軍の傭兵たちが裏切りにより門が開けられ、東ゴート族が侵入しローマを蹂躙したところです。
 サン・パオロ門(Porta San Paolo スケッチ画):ローマの南に位置し、オスティアの海へ続くオスティエンセ通りにでることから、嘗てはオスティエンセ門(Porta Ostiensis)と呼ばれていました。近くに聖パオロが殉教し葬られたサン・パオロ大聖堂(Basilica di San Paolo fuori le Mura)があるのでサン・パオロ門と呼ばれるようになりました。
 546年、東ゴート族がこの城門からローマに侵入した城門でも有名なところです。
 筒形円天井をもつ二つの塔を備えている城門。近くにはピラミッドがあります。
 ローマの法務官であり護民官でもあったガイウス・ケスティウスは、紀元前112年に亡くなり、遺言に従ってピラミッドの墓が建てられました。一辺が22m、高さ27m、大理石の化粧板で覆われています。施工から僅か330日で完成されたと伝わっています。
 紀元前46年、独裁官に就任したカエサル(シーザー)はエジプトからクレオパトラ7世を招聘し、ローマ市民の熱狂的な歓呼に迎えられ、壮麗な凱旋式を挙行したことはよく知られていることです。ピラミッドを建てたガイウス・ケンティウスも同時代の人であったことから、ある種のエジプト・ブームのなかでピラミッドの墓がつくられたのではないかと推測できます。同時期にローマにはこのほかにも3つのピラミッドがあったようです。しかしそれらはいずれも破壊され現存しません。ピラミッドの建設後300年程経って建設されたアウレリアヌスの城壁は、このピラミッドを挟む形で取り込んでつくられました。城壁の一部としてローマの防衛の一端を担うこととなり破壊を免れることが出来たのです。

■アウレリアヌスの城壁のガイドと写真
http://roma.andreapollett.com/S4/mura.htm#hist

新シリーズ
◆誰でもわかるイタリア語 第26回

このシリーズ「誰でもわかるイタリア語」では、イタリア語の基礎を文法用語に頼って説明することを出来るだけ避け、誰にでもわかるようにまとめています。また「単語帳」のコーナーを設けていますので、少しずつ単語や簡単なフレーズを覚えるようにして下さい。

比較を表す表現について その2

 今回も比較を表すフレーズをまとめてみました。
会話の中で、比較されるものが「同じぐらい~だ」という場合があります。例えば「これも、あれも美味しい」という場合です。「あれも」は、「~も」(anche)を使って表現できます。また「~のように」(come)を使っても表現することが出来ます。

Questo è buono, anche questo(quello) è buono.
クエスト エ ブオーノ アンケ クエスト クエルロ エ ブオーノ
これは美味しい。あれも美味しい。
Questo è buono come questo(quello).
クエスト エ ブオーノ コーメ クエスト クエルロ
これはあれと同じぐらい美味しい。

comeを使う比較の表現は、「~と同じぐらい~です」という構文で、「così ... come ...」あるいは「tanto ... quanto」という構文を使います。実際の会話ではcosìtantoは省略することが多いようです。

Milano è cara come Tokyo.
ミラーノ エ カーラ コーメ トウキョウ
ミラノは(物価が)東京のように高い。
Questa pittura è tanto bella quanto quella.
クエスタ ピットゥーラ エ タント ベルラ クアント クエルラ
この絵はあれと同じぐらい素晴らしい。
Questa canzone è così bella come quella.
クエスタ カンツォーネ エ コジ ベルラ コーメ クエルラ
この歌はあれと同じぐらい素晴らしい。

また「想像していたとおり(思っていたとおり)...だ」という言い方も同じように表現できます。

Questo romanzo non è (così) interessante come mi aspettavo.
クエスト ロマンツォ ノネ コジ インテレッサンテ コーメ ミ アスペッターヴォ
この小説は期待していたほどおもしろくない。
Maria è una ragazza (così) simpatica come pensavo.
マリーア エ ウーナ ラガッツァ コジ シンパーティカ コーメ ペンサーヴォ
マリアは思っていたとおり感じのいい子です。
Roma era una città (così) bella come avevo immaginato.
ローマ エーラ ウーナ チッタ コジ ベルラ コーメ アヴェーヴォ イッマジナート
ローマは想像していたとおり美しい町でした。

■「~と似ている」(simile a ~)または「~と同じである」(~ uguale a ~)を使って表現することも出来ます。

Quel vestito è simile al mio.
クエル ヴェスティート エ シーミレ アル ミーオ
あの服は私のと似ています。
Quella borsa è uguale a quella di mia madre.
クエルラ ボルサ エ ウグアーレ ア クエルラ ディ ミア マードゥレ
あのバッグは私の母のと同じです。
Io somiglio a mio papà.
イーオ ソミリオ ア ミオ パパ
僕はパパ似です。

■「rispetto a ~」または「a rispetto di ~」(稀)は、「~に比べて」「~に比較して」「~に対して」という意味の表現で、物事の程度などを比較したり対比したりするときに使います。
rispettoは、「尊敬、敬意」を意味する言葉です。

rispetto al passato
リスペット アル パッサート
昔と比べて
Rispetto a me, lei è due anni più giovane.
リスペット ア メ レイ エ ドゥーエ アンニ ピュウ ジョーヴァネ
私に比べて、彼女は2歳若いです。
Rispetto a ieri, oggi fa abbastanza caldo.
リスペット ア イエーリ オッジ ファ アッバスタンツァ カルド
昨日に比べて、今日はけっこう暑いです。
Rispetto a Firenze, Venezia è una citta più tranquilla.
リスペット ア フィレンツェ ヴェネーチア エ ウーナ チッタ ピュ トゥランクイッラ
フィレンツェに比べて、ヴェネチアは大変治安のいい町です。
I prezzi sono aumentati del 10 per cento rispetto all'anno scorso.
イ プレッツィ ソーノ アウメンターティ デル ディエーチ ペル チェント リスペット アルランノ スコールソ
物価は昨年に比べて10パーセント上昇した。

■「in confronto a ~」「a confronto di ~」は、「~比べると」「~に対して」という意味の表現で、これも物事の比較をするときによく使います。
confrontoは、「比較、対照、対比」を意味する言葉です。

In confronto a lui io sono poco timido.
イン コンフロント ア ルイ イーオ ソーノ ポーコ ティミド
彼に比べれば、僕は少し臆病です。
In confronto a Mario Franco è più intelligente.
イン コンフロント ア マーリオ フランコ エ ピュ インテリジェンテ
マリオに比べて、フランコはより賢い。
A confronto di te, io non sono nulla.
ア コンフロント ディ テ イーオ ノン ソーノ ヌッラ
君と比べたら、僕などまるで取るに足りない。
In confronto al mio lavoro il tuo è duro.
イン コンフロント アル ミーオ ラヴォーロ イル トゥオ エ ドゥーロ
僕の仕事に比べれば、君のはきつい。
Farà freddo domani in confronto ad oggi.
ファラ フレッド ドマーニ イン コンフロント アドゥ オッジ
今日に比べて、明日は寒くなるでしょう。

単語帳

 前回は体の部分を表す単語を学習しました。今回は体調などの表し方をまとめてみました。
日常会話のなかで、「調子はいかが?」(Come stai?)と聞かれ、「いいですよ!」(Bene, grazie.)と返事をします。その他に「気分はどうですか?」(Come ti senti?)とか、「顔色が良い(悪い)ですね!」(Hai una bella / brutta cera?)などと体の調子をたずねてきます。良いときはBene(Molto bene, Benissimo), grazie!で話しは終わり、次の話題に入るのですが、体調など悪いときは、どのように悪いのか説明する必要が出てきます。

Come si sente?
具合いかがですか?

Mi sento male. Non mi sento bene. Sto poco bene.
気分が良くないです。

Cosa c'è che non va?
どうかしましたか?

Ieri ho bevuto troppo. Ho mal di testa.
昨日飲み過ぎたので、頭が痛い。

A. essere + 病名

Sono allergico/a al polline. 私は花粉症です。
Sono diabetico/a. 私は糖尿病です。
Sono miope(presbite). 私は近視(老眼)です。

B. avere + 状態

Ho la febbre da due giorni. 2日前から熱があります。
Ho la febbre a 38(trentotto) gradi. 38度の熱があります。
Ho la nausea. 吐き気がします。
Ho la pressione alta(bassa). 血圧が高め(低め)です。
Ho le spalle indolenzite. 肩がこっています。
Non ho appetito. 食欲がありません。
Ho un (leggeroforte) raffreddore. (ちょっと・ひどい)風邪を引いています。
Ho la diarrea(la costipazione). 下痢(便秘)しています。

★痛みを表すイタリア語はdoloreです。acuto(刺すような痛み)、violento(激しい)、sordo(鈍い)、continuo(絶えず続く)、a interualli(時々)などと一緒に使いどのように痛いかを表します。

Ho un dolore acuto alla testa. 頭がズキズキします。
Ho un dolore acuto alla pancia. お腹が刺すように痛いです。

C. 「~が痛い」は、avere mal(e) di + 体の部分

Ho mal di gola. 喉が痛い。
Ho mal di stomaco. 胃がむかむかします。
Ho mal di denti. 歯が痛い。
Ho mal di schiena. 腰が痛い。
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