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「イタリア世界遺産の旅」と「誰でもわかるイタリア語」

石黒 秀嗣

ヴェネツィアとその干潟 その4 (Venezia e la sua laguna) 1987年登録

その4 サン・マルコ区:サン・マルコ大聖堂(Basilica di San Marco)
ドルソドゥーロ区:アカデミア橋とアカデミア美術館
サンタ・マリーア・デルラ・サルーテ教会


スケッチ画 樋口佳代

(前回から)
 大聖堂正面の五つの扉口の内の四つの扉口の上部に、アレキサンドリアからヴェネツィアへの聖マルコの聖遺物の奉還の様子がモザイクで描かれています。聖堂内部に入る手前にナルテックス(拝廊)というスペースがあり、嘗てはキリスト教徒以外の者はそれ以上中に入ることが許されませんでした。ナルテックスの天井を飾るモザイク画は、旧約聖書の「創世記」や「出エジプト記」が主題となっています。更に聖堂内陣に入ると、床は一面多色大理石のモザイクが敷かれており動物や幾何学模様が描かれています。壁面や天井のほとんどに「キリストの生涯」や「福音書中の諸エピソード」などが金色に輝くガラス・モザイクの装飾で描かれており眩しい金色に輝いています。特に見ていただきたいのが、中央祭壇の裏手にあるパーラ・ドーロPala d'oro 黄金の衝立)です。1345年、シエーナの金細工師によって造られたものです。世界の金細工の中でも最も豪華なものと言えるでしょう。金の延べ板(3.48m × 1.40m)にキリストの諸場面、十二使徒や預言者などが80枚の七宝で描かれており、3000あまりの宝石と貴石が散りばめられています。これはすべてが12世紀のコンスタンチノープルから戦利品として持ち帰ったものです。

ドルソドゥーロ区 :
 ドルソドゥーロ区は、ヴェネツィアの南の玄関口であり、サンマルコ広場から海に向かって右手、大運河の端に聳える八角形をした白亜の教会サンタ・マリーア・デルラ・サルーテ教会(スケッチ画)がある地区です。ここへ行くには、サンマルコ広場から水上バスで行くのが便利ですが、是非地上から行くことをお勧めします。サン・マルコ大聖堂とは反対側、コレール美術館からサンマルコ広場を抜け、フェニーチェ劇場、サント・ステーファノ広場を通り抜けるとアカデミア橋(Ponte dell'Accademia)に出ます。1854年に鉄橋が完成するまで大運河に架かる橋はリアルト橋だけでした。しかし第2次世界大戦中に破壊されたため、戦後現在のような木製のアカデミア橋が建造されました。橋の上から眺める素晴らしい眺望を是非楽しんでください。橋を渡ると正面にアカデミア美術館(Galleria dell'Accademia)があります。14世紀から18世紀のヴェネツィア派の絵画が時代ごとに展示されており、ヴェネツィア派絵画を知る上で最も完璧な全体像を提供してくれる美術館です。
 美術館を西へ更に進むと目的地のサルーテ教会(通称)に着きます。サルーテ(salute)は、イタリア語では「健康」という意味です。ヴェネツィアで猛威をふるった疫病ペストがようやく収まったことを感謝して、聖母マリアに「健康」を取り戻した感謝を捧げる教会を建てることになりました。コンペにより当時まだ32歳の建築家バルダサーレ・ロンゲーナ(Baldassare Longhena 1598-1682)が選ばれました。バルダサーレ・ロンゲーナは完成を待たずして亡くなりましたが、彼の死後、この教会はアントニオ・ガスパリにより1687年に完成されました。八角形の集中式プランに大きな円蓋(ドーム)を載せた教会で、外部は数多くの彫刻に様々な装飾が施されており、ドームを支える補強柱のところに渦巻き装飾が際立っています。リ・オレッキオーニ(大きなカタツムリ)と呼ばれています。17世紀バロック建築を代表するこの教会は、威厳に満ちた大理石の塊というよりは、古典的な落ち着きを感じさせ、その姿は優美で風景のなかでも生き生きとした舞台装置的効果をもたらしています。厳粛で広々とした内部は、8本の巨大な柱により支えられており、中央の空間の周囲には6つの礼拝堂が設けられています。中央の主祭壇の左手から聖具室に入ることが出来ます。そこにはティツィアーノの若いときの作品「聖マルコと諸聖人(San Marco e santi)」や天井画、そしてティントレットの「カナの婚礼(Nozze di Cana)」があります。
 バルダサーレ・ロンゲーナは、この教会の他に、大運河沿いにカ・レッツォニコ(Ca' Rezzonico)やカ・ペーザロ(Ca' Pesaro)というヴェネチア・バロック建築を代表する貴族の館を残していますので是非足を運んで見学してください。

新シリーズ
 ◆誰でもわかるイタリア語 第8回

 今回は、不規則的に変化する動詞を中心に進めていきたいと思います。
 イタリア語の動詞の原形(不定詞)には、 語尾が -are, -ere, -ire の三つに分類されることを説明しました。-are, -ire動詞には不規則な変化をする動詞は少ないです。一方-ere動詞になると不規則に変化する動詞がありますので注意しましょう。
 ここでは、会話でよく使う動詞の変化と例文を挙げますのでしっかり学習しましょう。
 不規則動詞の人称変化(活用)は出来るだけ暗記するようにしましょう。しかし会話でもよく使う動詞ですので使いながら身に付いてくるところもあります。

are動詞の不規則動詞: are動詞の多くは規則的に変化しますが、andare(行く)、 fare(する)、 dare(与える)、stare(ある・いる) の4つが不規則に変化します。

動詞の原形 andare
(行く)
fare
(する)
dare
(与える)
stare
(ある・いる)
io(私は) vado faccio do sto
tu(君は) vai fai dai stai
lui(彼は)
lei(彼女は)
Lei(あなたは)
va fa
注1
sto
noi(私たちは) andiamo facciamo diamo stiamo
voi(君たちは)
(あなたたちは)
andate fate date state
loro(彼らは)
(彼女らは)
vanno fanno danno stanno

注1  はアクセント記号を付けることを忘れないようにしてください。アクセント記号のないda は前置詞(~から)の意味になります。

【例文】

1. Stasera (io) vado al cinema con Giorgio.
スタセーラ イオ ヴァード アル チネマ コン ジョールジョ
今夜私はジョルジョと一緒に映画を見に行きます。
2. Che cosa fai oggi?
ケ コーザ ファイ オッジ
君は今日は何をしますか?
3. Loro danno un regalo a Carla.
ローロ ダンノ ウン レガーロ ア カルラ
彼らはカルラにプレゼントを渡します。
4. Come stanno i tuoi amici?
コーメ スタンノ イ トゥオイ アミーチ
君の友達たちはお元気ですか?

ere動詞の不規則動詞 : ere動詞の中には不規則な変化をする動詞が多いので注意して下さい。 代表的な4つの動詞の変化を覚えましょう。 尚、potere(出来る)、volere(~したい、望む)、dovere(~ねばならない)、sapere(知っている、~できる)の動詞の変化と用法については次回詳しく説明します。

動詞の原形 rimanere
(留まる)
tenere
(持つ・保つ)
spegnere
(消す)
bere
(飲む)
io(私は) rimango tengo spengo bevo
tu(君は) rimani tieni spegni bevi
lui(彼は)
lei(彼女は)
Lei(あなたは)
rimane tiene spegne beve
noi(私たちは) rimaniamo teniamo spegniam beviamo
voi(君たちは)
(あなたたちは)
rimanete tenete spegnete bevete
loro(彼らは)
(彼女らは)
rimangono tengono spengono bevono

【例文】

1. Mario e Luisa vanno a teatro, ma (io) rimango a guardare la TV.
マーリオ エ ルイーザ ウ゛ァンノ ア テアトゥロ マ イーオ リマンゴ ア グアルダーレ ラ ティーウ゛
マーリオとルイーザは劇を見に行くけど、私はテレビを見るために残ります。
2. (Io) tengo il bicchiere in mano.
イーオ テンゴ イル ビッキエーレ イン マーノ
私は手にグラスを持っています。
3. Loro spengono la radio e la luce.
ローロ スペンゴノ ラ ラディオ エ ラ ルーチェ
彼らはラジオと電気を消します。
4. Gli italiani bevono il vino durante i pasti.
リ イタリアーニ ベーヴォノ イル ヴィーノ ドゥランテ イ パスティ
イタリア人は食事中にワインを飲みます。

ire動詞の不規則動詞:-ire動詞の殆どが規則的に変化します。不規則に変化する動詞は以下の限られた動詞だけですのでしっかり覚えましょう。

動詞の原形 dire
(言う)
venire
(来る)
salire
(上がる・登る)
uscire
(出る・出掛ける)
io(私は) dico vengo salgo esco
tu(君は) dici vieni sali esci
lui(彼は)
lei(彼女は)
Lei(あなたは)
dice viene sale esce
noi(私たちは) diciamo veniamo saliamo usciamo
voi(君たちは)
(あなたたちは)
dite venite salite uscite
loro(彼らは)
(彼女らは)
dicono vengono salgono escono

【例文】

1. Maria non dice mai di no.
マリーア ノン ディーチェ マイ ディ ノ
マリーアはノーとは決して言わない。
2. Quelle ragazze vengono dal Giappone.
クエルレ ラガッツェ ヴェンゴノ ダル ジャッポーネ
あの女の子は日本から来ています。
3. Io salgo con l'ascensore ma loro salgono a piedi.
イーオ サルゴ コンラッシェンソーレ マ ローロ サルゴノ ア ピエーディ
私たちはエレベーターで上がるが、彼らは歩いて上がる。
4. (Io) esco presto di casa la mattina.
イーオ エスコ プレスト ディ カーザ ラ マッティーナ
朝は、早く家を出ます。

単語帳

覚えておくと便利な動詞の原形(不定詞)を覚えましょう。(基礎編 : 不規則的な変化をする動詞)

  1. -are 動詞
    • andare[アンダーレ](行く)
    • fare[ファーレ](する)
    • dare[ダーレ](与える)
    • stare[スターレ](いる、ある、~である)
  2. -ere 動詞
    • rimanere[リマネーレ](とどまる、残る)
    • tenere[テネーレ](〈手で〉持つ・〈状態を〉保つ)
    • spegnere[スペーニェレ](消す、スイッチを切る)
    • bere[ベーレ](飲む)
    • scegliere[シェリエレ](選ぶ)
    • potere[ポテーレ](~出来る、~してもよい)
    • volere[ヴォレーレ](~したい、望む)
    • dovere[ドヴェーレ](~ねばならない)
    • sapere[サペーレ](知っている、~できる)
  3. -ire 動詞
    • dire[ディーレ](言う)
    • venire[ヴェニーレ](来る)
    • salire[サリーレ](登る、上がる)
    • uscire[ウシーレ](出る、出掛ける)
    • riuscire[リウシーレ](~できる)
「イタリア世界遺産の旅」と「誰でもわかるイタリア語」
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