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「イタリア世界遺産の旅」と「誰でもわかるイタリア語」

石黒 秀嗣

ヴェネツィアとその干潟 その3 (Venezia e la sua laguna) 1987年登録

その3 サン・マルコ区:
サン・マルコ大聖堂(Basilica di San Marco)
サン・マルコ広場(Piazza San Marco)


スケッチ 樋口佳代

 サン・マルコ区は、ヴェネツィアの都市発展にとって政治的にも文化的にも重要な役割を果たしてきたところです。大運河の南半分の湾曲部に位置しています。この地区は、北にはリアルト橋まで繋がり、西にはアカデミア橋へと通ずるエリアで、教会や貴族たちの館が点在しています。またフェニーチェ劇場や、ヴェネチアでは珍しい光溢れる広大な広場(サント・ステーファノ広場やサンタンジェロ広場)があります。ヴェネツィアでは一般に広場のことを、畑や平地を意味するカンポ(campo)と呼んでいます。また路地裏の広場をカンピエルロ(campiello)とかコルテ(corte)と言っています。しかし、サン・マルコ大聖堂(スケッチ画)の前に広がる広場だけはピアッツァ(piazza)を使い、ピアッツァ・サン・マルコ(Piazza San Marco)と呼んでいます。奥行きが175mあり、奥に向かって幅が80mから52mに先つぼまりとなる不等辺四角形の広場です。この広場には、時計塔(Torre dell'Orologio),行政館(Procuratie Nuove),コッレール市立博物館(Mueso Civico Correr)などがあります。そしてこの広場はドゥカーレ宮殿の前の小広場(Piazzetta San Marco)へと繋がっています。そこにはマルチアーナ図書館Biblioteca Marciana), 鐘楼(Capanile di San Marco)などがあります。マルチアーナ図書館は、ギリシャ・ラテン語写本の蔵書が収められており、古典蔵書に関して世界で最も重要な図書館の一つです。また高さ96.8mの鐘楼がドゥカーレ宮殿から少し離れて聳え建っています。この塔は海からの敵を監視する見張り台であり、また灯台の役割も兼ねていたようです。12世紀に建設され、16世紀の初めに増改築され、今見るような姿となりました。ピラミッド型の尖塔のてっぺんには金色の天使が立っており、ヴェネチア共和国の時代から現在のヴェネツィアの町を見守っています。しかし1902714日の朝10時頃、鐘楼は広場に突然崩れ落ちてしまいました。しかしサン・マルコ大聖堂にもドゥカーレ宮殿の方にも倒壊せず、被害も少なく奇跡が起きたようです。同年、使われていた材料を出来るだけ再利用して元の場所に再建されました。頂上にはエレベーターで登ることが出来ます。頂上からは「水の都ヴェネツィア」の素晴らしい眺望を楽しむことが出来ます。
 またこの広場はヴェネチアの海からの表玄関でもあり、数々の歴史を築いてきたところでもあります。海岸の近くには、エジプト産の赤と灰色をした花崗岩でできた2本の巨大な円柱が聳え立っています。これは十字軍の遠征のとき戦利品として略奪してきたもので、円柱の上にはヴェネチア最初の守護聖人である聖テオドロスと、新しい守護聖人聖マルコの象徴である有翼のライオンがヴェネツィア共和国以来現在も守り続けています。ヴェネツィアの町を歩いているとこの有翼のライオンをよく見かけます。彫刻や絵画などで描かれているサン・マルコのライオンには「座るライオン」と「歩くライオン」の2種類があります。正面を向いて座っているのは、聖なる国家の威厳を表しており、また歩くライオンは、前足を水に、後ろ足を土につけているのは海と大地を支配するヴェネツィア共和国を表しています。またライオンが手にしている本にはラテン語で“PAX TIBI MARCE EVANGELISTA MEUS(我が福音書記者マルコよ、汝に平安を)”と書かれています。聖マルコを守護聖人とするヴェネツィア共和国の平和が保証されていることを意味しています。
 福音書記者聖マルコは、キリストの12使徒の一人で、エジプトのアレクサンドリアで殉教した聖人と知られています。しかし伝説では、布教のためアクイレイアにもいたとされ、彼の遺骸は後に建設されるヴェネチアに葬られることをあたかも預言するかのように伝えられています。アクイレイアは、ヴェネチアから東へ20kmトリエステの西に位置するローマ帝国の古い都市で、紀元前181年にローマ帝国4番目の都市として建設されました。またアドリア海の貿易港として大変栄えました。皇帝アウグストゥスの治世(前27年~前14年)には第10属州の首都とされ、人口も20万人を擁し、「第2のローマ」と呼ばれるまで繁栄しました。
 イスラム化するエジプトのアレクサンドリアでは、キリスト教の聖堂が略奪される危険があり、そこに居合わせた二人のヴェネチアの商人が混乱に乗じて聖マルコの遺骸を買い取って(盗み出して?)、イスラム教徒が不浄なものとして嫌う豚肉のなかに隠して、税関吏の検問を難なく通り抜け、アレクサントリアを出航しヴェネツィアに辿り着いたという聖マルコの聖遺物の奉還の話が伝えられています。サン・マルコ大聖堂は、ヴェネツィアの守護聖人である聖マルコの遺骸を納める霊廟として832年にロマネスク・ビザンチン様式の大聖堂が完成しました。その後11世紀から15世紀にかけて改修工事がされ、多数の装飾がファサードを飾り外観が大きく変容します。その代表的なものが中央に置かれた金メッキに装飾された4頭のブロンズ製の馬です。本物は大聖堂付属の博物館に展示されています。これもヴェネツィア共和国が艦隊を提供した第4回の十字軍(1202-04)がコンスタンチノープルを占領した際に、戦利品として持ち帰りサン・マルコ大聖堂に奉納されたものです。

つづく

■サン・マルコ大聖堂(Basilica di San Marco) / サン・マルコ広場(Piazza San Marco http://www.sacred-destinations.com/italy/venice-san-marco-photos/
http://www.sacred-destinations.com/italy/venice-san-marco

新シリーズ
 ◆誰でもわかるイタリア語 第7回

 前回は、人称について学びました。そして動詞が主語に合わせて(人称によって)変化することを学習しました。また動詞essere(~です)と動詞avere(~を持っている)の現在形の人称変化とその使い方についても学びました。しかしこの2つの重要な動詞は不規則に変化するので暗記しなければなりません。
 今回は、規則的に変化する動詞を中心に進めていきたいと思います。
現在形の用法には、記述的用法「...する、...します」と進行や状態を表す用法「...している」があります。例えば parlare の場合、記述的用法では「話す、話します」、進行や状態を表す用法では「話している」と使います。
 動詞を辞書で調べるとき、変化した動詞を調べても見つかりません。辞書では動詞の原形(不定詞)で引かないとその意味がでてきません。
 イタリア語の動詞の原形(不定詞)には特徴があります。動詞の語尾に特徴があり、parlare(話す)、vedere(見る)、capire(わかる)ように語尾が -are, -ere, -ire の三つに分類できます。現在形はこの語尾が主語によって語尾変化します。イタリア語は動詞の語尾で人称を表しているので、主語にあたる人称は強調するとき以外は省略します。
 3人称複数形のアクセントの位置は -ano、-ono の前の母音の上に移動するので発音するときは注意して下さい。

are動詞の人称変化: are動詞の多くは規則的に変化します。

動詞の原形 parlare
io(私は) parlo
tu(君は) parli
lui(彼は)・lei(彼女は)
Lei(あなたは)
parla
noi(私たちは) parliamo
voi(君たち)
(あなたたちは)
parlate
loro(彼らは)
(彼女らは)
parlano

【例文】

1. (Io) telefono a Maria.
イーオ テレーフォノ ア マリーア
私はマリアに電話します。
2. (Tu) pari bene l'italiano.
トゥ パルリ ベーネ リタリアーノ
君はイタリア語をうまく話します。
3. Lucia abita a Napoli.
ルチーア アービタ ア ナーポリ
ルチアはナポリに住んでいます。
4. (Noi) mangiamo al ristorante italiano.
ノイ マンジャーモ アル リストランテ イタリアーノ
私たちはイタリアレストランで食事をします。
5. (Voi) giocate a carte.
ヴォイ ジョカーテ ア カルテ
君たちはトランプ遊びをします。
6. Loro lavorano in banca.
ローロ ラヴォーラノ イン バンカ
彼ら(彼女ら)は銀行で働いています。
7. Io e Maria abitiamo in periferia di Roma.
イーオ エ マリーア アビティアーモ イン ペリフェリーア ディ ローマ
私とマリアはローマの郊外に住んでいます。
8. Tu e Luisa imparate il giapponese.
トゥ エ ルイーザ インパラーテ イル ジャッポネーゼ
君とルイーザは日本語を学んでいます。

ere動詞の人称変化: ere動詞の中には不規則な変化をする動詞が多いので注意して下さい。ここでは規則的に変化する ere動詞です。

動詞の原形 prendere
io(私は) prendo
tu(君は) prendi
lui(彼は)・lei(彼女は)
Lei(あなたは)
prende
noi(私たちは) prendiamo
voi(君たち)
(あなたたちは)
prendete
loro(彼らは)
(彼女らは)
prendono

【例文】

1. (Io) vedo un film alla TV.
イーオ ヴェード ウン フィルム アルラ ティーヴ
テレビで映画を見ます。
2. (Tu) scrivi una lettera ad una amica.
トゥ スクリーヴィ ウーナ レッテラ アドゥ ウーナ アミーカ
君は友達に手紙を書きます。
3. Luigi abita a Padova da tre anni.
ルイージ アビタ ア パドヴァ ダ トゥレ アンニ
ルイージは3年前からパドヴァに住んでいます。
4. (Noi) chiudiamo il negozio la domenica.
ノイ キュディアーモ イル ネゴーツィオ ラ ドメーニカ
私どもは日曜日お店を閉めます。
5. (Voi) conoscete tanti amici giapponesi.
ヴォイ コノシェーテ タンティ アミーチ ジャッポネージ
君たちは沢山の日本人の友達を知っている。
6. Loro prendono il cappuccino.
ローロ プレンドノ イル カップッチーノ
彼ら(彼女ら)はカプチーノを飲みます。
7. Io e Maria viviamo a Milano.
イーオ エ マリーア ヴィヴィアーモ ア ミラーノ
私とマリアはミラノで生活しています。
8. Tu e Lucia perdete sempre l'autobus.
トゥ エ ルチーア ペルデーテ センプレ ラウトブス
君とルチアはいつもバスに乗り遅れる。

ire動詞の人称変化: ire動詞の殆どが規則的に変化する動詞です。しかし下の表のように2種類あります。ire動詞の中には、1・2・3人称単数形と3人称複数形のときには語幹(capireの場合、capまでを言います)の後に-iscが入ってきます。語尾変化はire動詞の語尾変化と同じです。辞書では見出し語の後に(-isco)と記載されていますので注意して下さい。

動詞の原形 partire capire
io(私は) parto capisco
tu(君は) parti capisci
lui(彼は)・lei(彼女は)
Lei(あなたは)
parte capisce
noi(私たちは) partiamo capiamo
voi(君たち)
(あなたたちは)
partite capite
loro(彼らは)
(彼女らは)
partono capiscono

【例文】

1. (Io) finisco di lavorare di notte.
イーオ フィニスコ ディ ラヴォラーレ ディ ノッテ
私は夜中に仕事を終えます。
2. (Tu) parti per il Giappone per studiare.
トゥ パルティ ペル イル ジャッポーネ ペル ストゥディアーレ
君は留学のため日本に発ちます。
3. Carla preferisce il caffè.
カルラ プレフェリッシェ イル カッフェ
カルラはコーヒーのほうが好きです。
4. (Noi) offriamo la cena a Luca per il suo compleanno.
ノーイ オッフリアーモ ラ チェーナ ア ルーカ ペル イル スオ コンプレアンノ
私たちはルーカの誕生日のために夕食をおごります。
5. (Voi) dormite stasera a casa di Marco.
ヴォイ ドルミーテ スタセーラ ア カーザ ディ マルコ
君たちは今夜マルコの家で寝ます。
6. Loro spediscono un pacco a casa.
ローロ スペディースコノ ウン パッコ ア カーザ
彼らは(彼女らは)家に小包を送る。
7. Io e Maria seguiamo un corso di francese.
イーロ エ マリーア セグオノ ウン コルソ ディ フランチェーゼ
私とマリアはフランス語の講座を受けています。
8. Tu e Giuseppe non sentite mai la sveglia.
トゥ エ ジュゼッペ ノン センティーテ マイ ラ ズヴェーリア
君とジュゼッペは目覚ましが聞こえたことがない。

単語帳

覚えておくと便利な動詞の原形(不定詞)を覚えましょう。(基礎編 : 規則的な変化をする動詞)

  1. -are 動詞
    • mangiare[マンジャーレ](食べる)
    • parlare[パルラーレ](話す)
    • studiare[ストゥディアーレ](勉強する)
    • lavorare[ラヴォラーレ](働く)
    • guardare[グアルダーレ](見る)
    • cantare[カンターレ](歌う)
    • comprare[コンプラーレ](買う)
    • arrivare[アッリヴァーレ](到着する)
    • cercare[チェルカーレ](探す)
    • ascoltare[アスコルターレ](聞く)
    • telefonare[テレフォナーレ](電話する)
    • aspettare[アスペッターレ](待つ)
    • pensare[ペンサーレ](考える・思う)
    • imparare[インパラーレ](学ぶ)
    • abitare[アビターレ](住む)
    • cominciare[コミンチアーレ](始める・始まる)
    • fumare[フマーレ](〈タバコなどを〉吸う)
    • giocare[ジョカーレ](遊ぶ・〈スポーツなどを〉する)
    • pagare[パガーレ](払う)
    • ordinare[オルディナーレ](注文する・整理する・命令する)
    • presentare[プレゼンターレ](紹介する・差し出す)
    • preparare[プレパラーレ](準備する)
    • suonare[スオナーレ](〈楽器などを〉弾く)
  2. -ere 動詞
    • prendere[プレンデレ](とる、〈乗り物に〉乗る、〈食べ物を〉食べる・飲む)
    • leggere[レッジェレ](読む)
    • scrivere[スクリーヴェレ](書く)
    • mettere[メッテレ](置く)
    • credere[クレーデレ](信じる)
    • vedere[ヴェデーレ](見る・会う)
    • vivere[ヴィーヴェレ](暮らす・生きる)
    • ripetere[リペーテレ](繰り返す)
    • rispondere[リスポンデレ](答える)
    • ricevere[リチェーヴェレ](受け取る)
    • conoscere[コノーシェレ](知っている・〈人を〉知っている)
    • chiudere[キューデレ](閉める、閉まる)
    • spendere[スペンデレ](〈お金などを〉使う)
    • perdere[ペルデレ](なくす・失う)
  3. -ire 動詞
    • dormire[ドルミーレ](寝る)
    • aprire[アプリーレ](あける、開く)
    • sentire[センティーレ](感じる・聞く)
    • partire[パルティーレ](出発する)
    • offrire[オッフリーレ](おごる・提供する)
  4. -ire 動詞(-isc型)
    • capire[カピーレ](わかる、理解する)
    • finire[フィニーレ](終える、終わる)
    • preferire [プレフェリーレ](好む)
    • spedire[スペディーレ](送る、発送する)
    • pulire[プリーレ](きれいにする・掃除する)
    • costruire[コストゥルイーレ](建てる)
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