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インターネット公開文化講座

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知って得する鉄道旅行術

鉄道ライター/安城学園高校教諭
山盛 洋介

第46回 鉄道好きなら一度は乗りたい! オーストラリアの鉄道(3)

「インディアン・パシフィック」をアデレードで降り、昼間、市内の散策や、路面電車の試乗を楽しんだ私たちは、夕刻、再びアデレード郊外のケズウィック(Keswick)駅へ。ここから「ザ・ガン」に乗り込むためです。

「ザ・ガン」は、アデレードから、オーストラリア北岸のダーウィンまでを走る、世界にただ一つの大陸縦断鉄道です。「ザ・ガン」とは、ラクダのことで、オーストラリアの開拓民たちが頼ったラクダの輸入元がアフガニスタン(アフガン)だったことから、「ガン」の名が付きました。列車のトレードマークもラクダのマークで、「インディアン・パシフィック」とともに、オーストラリアの鉄道の代表的存在となっています。

アデレード・ケズウィック駅で発車を待つ「ザ・ガン」
「ザ・ガン」のトレードマークはラクダ

週2日運行され、そのうち1日は途中のアリススプリングス止まりとなっています。私たちが乗ったのはアリススプリングス行きでした。本来なら、終着駅・ダーウィンまで行きたかったのですが、旅程の都合上断念。次への目標ができました。

二晩乗ってきた「インディアン・パシフィック」と同じ客車で、変化はありませんが、レストランカーのメニューなどに違いがあり、何といっても、オーストラリア中央の砂漠地帯(アウトバック)へ分け入っていく期待感が膨らみます。

アリススプリングスに到着

私たちが乗ったときは、深夜にトラブルがあったのか、到着が1時間半ほど遅れてしまいましたが、乗客はそんなことなどどこ吹く風。車掌すら「長い時間乗れて良かったな」などと言う始末。列車が1分遅れて「お客様にはお急ぎのところ大変ご迷惑を...」と車掌が言い、乗客が「なんで遅れているんだ!」と駅員に怒号を上げる、どこかの国とは大違いです。

アリススプリングスは、オーストラリアのちょうど「へそ」にあたり、砂漠のど真ん中にある都市です。人口は3万人足らずの小さな町ですが、砂漠の中のオアシス的都市で、多くの先住民も見かけます。また、ウルル(エアーズロック)への中継地点としても機能しており、ここから航空便やバスなどで向かう人が多いところです。パースよりもさらに日本人の姿は見かけなくなります。

アリススプリングスからウルルへは航空便で1時間ほど

ここまでご紹介してきたように、オーストラリアの鉄道はスケールが壮大で、思う存分鉄道の魅力を味わうことができます。そして、乗車しているうち、貨物列車とのすれ違いが多いことにも気づかれるのではないでしょうか。広大な砂漠が広がるオーストラリアでは、鉄道が重要な物流の手段であり、時には1kmほどにも連なる列車とすれ違うこともあります。鉄道好きにとっては、鉄道が活躍していることもうれしいものです。

インターネットで直接予約することもできるほか、旅行会社でも申し込むことができます。私たちのように、「インパシ」と「ガン」を乗り継ぐ場合は、乗り継ぎ料金が適用されます。どちらの列車も、運転日が限定されているうえ、人気も高く、早めに予約を入れないとなかなか乗車できないということもあるようです。旅行の日程が決まったら、お早めに予約しましょう。

そして、乗車されたら、車内での出会いやふれあいを通して、多くの人々と交流しながら、鉄道の醍醐味を存分に味わってみてください。

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