前回は『様』の最終画である右払いに注目しましたが、今回は左払いについて見ていきましょう。前回の右払いは、漢字において最終画に表れるのが多いのに対して、左払いは、字の途中に表れることが多いのが特徴です。


【注目度の高い、左払い長型】
左払いを長く書く人は、華があり目立つタイプです。
左払いを長く書こうとすると、次の点画へ移るのが遅くなり、その分、余計な手間暇がかかってしまいます。大半の人はこの払いは程ほどにして、次の画に移ります。ところが、面倒なことをしてでも左払いを長く書きたいという心理には、他人より手間、時間をかけてでも目立ちたい、自分の美学を貫きたいという深層心理が表れています。
たとえば、ファッションショーのモデルさん。颯爽と歩き、花道を返ってくるときのターン、そしてその時の目線は独特のものです。訓練をつんでいない一般の人には浮いた行為ですが、モデルさんがやるとステキに見えます。他にもこのタイプの人は、お化粧をするなら念入りに、ネイルも塗るなら一層華やかに、また、コスメに限ったことだけでなく、植物を育てるならよい肥料をあげてよりキレイな花を咲かせたい、料理を作るならより美味しいものを作りたい、などというように、手間を惜しまず、美学を追求します。これこそがこの筆跡特徴を持つ人が注目を集める要因といえます。
この書き方をする人には、華やかな印象の有名人が多く、吉永小百合さん、藤原紀香さん、江角マキコさん、ダイアナ妃などがいます。男性では、三島由紀夫さん、星野仙一さん、Ｂ'ｚのギタリスト松本孝弘さん、綾小路きみまろさん、山咲トオルさん、木村拓哉さんなど独特な美学を持った面々がそろいます。

【シャイであっさり左払い短型】
このタイプは、払いを長く書くタイプとは対照的で目立つことはしません。前回の右払いも同時に併せ持つならば、おとなしく、シャイであると同時に、面倒なことには時間をかけないあっさりタイプといえるでしょう。