カラーコーディネーターに聞く色の活用術

今年の流行素材には、もうひとつの傾向としてタータン・チェックやペイズリーなどの伝統的柄が見られます。元来、タータン・チェックはスコットランド高地人の家柄を表す紋章です。古代ローマ時代からタータン・チェックに近いものがスコットランドで衣服として用いられたようです。タータン・チェックのうち、氏族を象徴するものをクラン・タータンといい、18世紀以前に作られた古代氏族(クラン)タータンと近代になってから作られたタータンとを区別しています。クラン・タータンは、ダークグリーンをベースにしたグリーン・タータンとレッドをベースにしたレッド・タータンに分けられます。家柄によって、それぞれの指定色が異なり、また藩主の変動などによって、1本、2本と色柄が付け加えられたりして、次第に複雑化していきました。1826年にはタータン・チェックを登録する「タータン紋章院」が存在していたことが確認されており、今日でも300種を越えるタータン・チェックが登録されています。1960年以降は、ブリティッシュ・トラッドのファッション素材として愛用されています。
ペイズリー柄とは、スコットランド南西部の都市の名「ペイズリー」で織物に織り出された複雑で特有な植物模様のことをいいます。ペイズリー柄は、松かさやパーム(やしの葉)、糸杉、マンゴー、生命の樹などを図案化した模様です。勾玉の柄行に見えることから、日本では勾玉模様とも呼ばれています。15世紀にインドのカシミール地方の王がペルシャから職工を連れてきて、織物産業を振興したことが記録に残っています。19世紀、インドからスコットランドに持ち帰ったカシミールを真似て織った毛織物が起源といわれています。複雑な植物模様を織り出すのは高度な技術を要するので、現在では織柄としてよりもプリント柄として多く流布しています。そのオリエンタルな雰囲気の模様は、シックでおしゃれな演出に欠かせません。もともとは、カシミール・ショールといって大判のショールだったことから今でもショールの柄に多く見られます。| 呪術としての色彩 | カラーコーディネーターに聞く色の活用術 一覧へ戻る |
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