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インターネット公開文化講座

文化講座

インターネット公開文化講座

カラーコーディネーターに聞く色の活用術

栄中日文化センター講師
竹内 ゆい子

今年の流行柄と色彩文化

 今年の秋冬ファッションには、ヒョウ柄やウシ柄などのアニマル柄が多く見られます。アニマル柄に限らず、レザーなど動物系の素材でキメた女性に対して、それを好むかどうかはともかく、男性が感じるイメージは「セクシー」です。動物には性的に興奮しないのに、いったいなぜでしょう? 小悪魔系やお姉系の女性が好んだことからセクシーな女性が着るものというイメージが先にあり、アニマル柄・レザー=セクシーと結びつくのかもしれません。アニマル柄は、1960年代後半から流行し始めたファッションです。50年代ごろまで、女性ファッションはレースとかフリルなど女性らしく美しいものが主流でしたが、60年代には、あえてモードとはまったく無縁なアニマル柄などを取り入れるような革新的な動きがあり、セクシーなイメージも変わりました。80年代のバブル期にもアニマル柄は流行しています。そもそもアニマルファッションは、ミラノマダムが好んだファッションとのことです。挑発的で露出度が高いファッションが特徴の彼女たちは、古くから毛皮やヘビ皮を愛用していたそうです。さすがはセクシーな国、イタリア。歴史が違いますね。女性ファッションの世界では、すっかり定着した感のあるアニマル柄。今では普通のOLもサラリと着こなしています。
タータン・チェックのイメージ画像  今年の流行素材には、もうひとつの傾向としてタータン・チェックやペイズリーなどの伝統的柄が見られます。元来、タータン・チェックはスコットランド高地人の家柄を表す紋章です。古代ローマ時代からタータン・チェックに近いものがスコットランドで衣服として用いられたようです。タータン・チェックのうち、氏族を象徴するものをクラン・タータンといい、18世紀以前に作られた古代氏族(クラン)タータンと近代になってから作られたタータンとを区別しています。クラン・タータンは、ダークグリーンをベースにしたグリーン・タータンとレッドをベースにしたレッド・タータンに分けられます。家柄によって、それぞれの指定色が異なり、また藩主の変動などによって、1本、2本と色柄が付け加えられたりして、次第に複雑化していきました。1826年にはタータン・チェックを登録する「タータン紋章院」が存在していたことが確認されており、今日でも300種を越えるタータン・チェックが登録されています。1960年以降は、ブリティッシュ・トラッドのファッション素材として愛用されています。
ペイズリー柄のイメージ画像  ペイズリー柄とは、スコットランド南西部の都市の名「ペイズリー」で織物に織り出された複雑で特有な植物模様のことをいいます。ペイズリー柄は、松かさやパーム(やしの葉)、糸杉、マンゴー、生命の樹などを図案化した模様です。勾玉の柄行に見えることから、日本では勾玉模様とも呼ばれています。15世紀にインドのカシミール地方の王がペルシャから職工を連れてきて、織物産業を振興したことが記録に残っています。19世紀、インドからスコットランドに持ち帰ったカシミールを真似て織った毛織物が起源といわれています。複雑な植物模様を織り出すのは高度な技術を要するので、現在では織柄としてよりもプリント柄として多く流布しています。そのオリエンタルな雰囲気の模様は、シックでおしゃれな演出に欠かせません。もともとは、カシミール・ショールといって大判のショールだったことから今でもショールの柄に多く見られます。
 みなさんは今年の流行柄、もう取り入れられましたか? アニマル柄でセクシーにいくのも伝統柄でクラシックにいくのもいいですね。
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