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インターネット公開文化講座

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カラーコーディネーターに聞く色の活用術

栄中日文化センター講師
竹内 ゆい子

色の見え方の不思議

私たちは、ずっと同じ刺激を与えられ続けるとその刺激に対する反応が鈍ってきます。例えば、焼肉屋に入った時、感じた匂いが、ずっとお店の中にいるとその匂いに慣れてしまい、焼肉臭さが感じられなくなってしまいます。色も同じで、ある色を見続けるとその刺激に慣れてしまい、その色に対する反応が鈍くなります。その結果、他のところに目を移した時、全く別の色が現れます。この色のことを心理補色といい、このような現象を継時対比といいます。
左の赤い丸を30秒ほど見続けてから、右の点に目を移してみてください。
赤のイメージ画像いかがですか?青緑の丸が現れましたね。一つの色だけを見続けるということは私たちの普段の生活にはまずありませんが、このような現象が起こる職業があります。病院の外科の手術室では、医者は血を見続けます。手術室の室内や医者の手術着の色が青緑のわけは、残像が現れるのを防ぐためなのです。白い壁や白衣だと赤の心理補色の青緑が現れて、手術に集中できないということです。
また、色は一つ一つ見ている時と他の色と一緒に見る時では、違って見えます。下の三組の配色を見てください。真ん中の色は左右同じですが、違って見えませんか?
このような現象を対比現象といいます。

(1)色相対比

(2)明度対比

(3)彩度対比
色は、色相(色み)、明度(明るさ)、彩度(鮮やかさ)という異なる3つの性質から成り立っています。これを色の三属性といいます。そして、それぞれに目の錯覚が起こります。
(1)色相対比・・・ 色みが変わって見える現象
左の黄緑は緑っぽく見え、右の黄緑は黄色っぽく見える
(2)明度対比・・・ 明るさが変わって見える現象
左の灰色は明るく見え、右の灰色は暗く見える
(3)彩度対比・・・ 左の水色は鮮やかに見え、右の水色はくすんで見える
大きい面積の色が小さい面積の色に影響を及ぼし、目の錯覚が起こるのです。このような現象は常に私たちの身の周りでおきています。例えば、洋服の色やヘアカラーの色によって顔色が変わって見えるのを皆さんは経験しているはずです。色の不思議な力を味方に、より美しく見せるというのがパーソナルカラーの考え方でしたね。(第1回第2回をご参照ください)
対比現象とは反対に、色は接触している面積が細かくなると同化現象が起こります。
下の三組の配色を見てください。左右のベースの色は同じに見えますか?

(1)色相の同化

(2)明度の同化

(3)彩度の同化
細かい線の色に同化されて色みや明るさ、鮮やかさが変わって見えませんか?
このような現象は、私たちの身近に見られます。スーパーに買い物に行った際、気をつけて見てください。みかんは赤やオレンジのネットに、枝豆やオクラは緑や青のネットに入っていませんか?色相の同化や彩度の同化を利用して美味しそうに見せているわけです。
普段、なにげなく見ている色は、私たちが考えているよりずっと複雑で面白いものがあります。そして、その効果は日常生活の中にも上手く取り入れられています。
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