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インターネット公開文化講座

文化講座

インターネット公開文化講座

カラーコーディネーターに聞く色の活用術

栄中日文化センター講師
竹内 ゆい子

七夕と色彩

七夕は、各地でさまざまなお祭りや行事がおこなわれる夏の風物詩です。桃の節句や端午の節句と並ぶ五節句のひとつだと知っていましたか?節句というものは 決して堅苦しいしきたりではありません。季節の移り変わりを感じ取り、楽しむ記念の日として、もう一度見直してみてはいかがでしょう?

天の川をはさんできらめく織姫と彦星の恋物語は、今から2000年以上前に中国で生まれた伝説です。機織に励んだ天上の織姫にちなんで、星に技芸の上達を 祈る「乞巧奠(きこうでん)」という行事が生まれ、奈良時代に日本に伝わりました。中国では、旧暦7月7日「乞功奠(きこうでん)」の際、裁縫(さいほ う)、機織(はたおり)、習字の上達を願い、菓子7品・針7本・5色の絹糸7筋を供えますが、日本では宮中行事として伝わり、ヒサギの葉に5色の糸を通し た金銀7本の針を刺し、詩歌を書いた短冊や色紙を供えました。乞巧奠の伝来以前の日本にも、7月7日にけがれをはらう行事があったといわれています。古事 記に記された、天から降り立つ神のために美しい衣を織る棚機女(たなばたつめ)の伝説です。「七夕」を「たなばた」と読むのはそんな訳があるからです。
 江戸時代になると、七夕の行事は民間にも広がります。笹竹に短冊をかざるスタイルもこのころ定着したようです。日本古来の伝承や風習と、中国の行事がうまく混ぜあわさったからこそ、七夕はいまでも日本の各地にさまざまな形で、大切に伝えられているのかもしれません。

 七夕の日に五色のそうめんを食べる風習が昔からあったそうです。由来はいろいろな説があるようです。平安時代に「延喜式」という宮中の儀式や作法の法典が制定され、7月7日の七夕にそうめんをお供え物とすると定められていたことから庶民に広まったといわれています。
 さて、七夕の短冊の色は何色あるかご存知ですか?「五しきのたんざく わたしがかいた」と童謡「たなばたさま」の歌詞にあるように五色です。もともと は、青、赤、黄、白、黒の五色と決まっていました。五色のそうめんと同じ色です。この五色は中国の五行思想からきており、それぞれの色に意味があります。

  • 青...木(樹木の成長、発育する様子。春の象徴)
  • 赤...火(火の神、火のような灼熱の性質を表す。夏の象徴)
  • 黄...土(発芽、万物を育成・保護する性質を表す。季節の変わり目の象徴)
  • 白...金(金属のように冷徹、頑固、確実な性質を表す。秋の象徴)
  • 黒...水(命の水の意味から胎内と霊性を兼ね備える性質を表す。冬の象徴)

 短冊の色は、日本の縁(ゆかり)の色、尊い色とされる紫が黒に代わって、青、赤、黄、白、浅黄、紫の五色が一般的です。子供の頃を思い出し、色とりどり の短冊に願い事を書いて天の星に託してみてください。浴衣や髪型で七夕ファッションを決めてみたり、インテリアやお料理をアレンジするなど季節感を生活 シーンに取り入れるのは難しくありません。美しい日本文化のエッセンスで暮らしを彩る、そんな豊かな感性を大切にすることも素敵ではありませんか?

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