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インターネット公開文化講座

文化講座

インターネット公開文化講座

カラーコーディネーターに聞く色の活用術

栄中日文化センター講師
竹内 ゆい子

照明と色

私たちが物を見るためには光が必要です。はるか昔、人間は太陽が昇ると起きて生活し、太陽が沈むと眠りにつくという生活をしていました。夕暮れになるとだんだん物が見えにくくなるので、火を熾したり、動物の油を燃やしたりして光を得てきました。文明の発達とともにろうそく、石油ランブ、ガス灯を使うようになり、19世紀にはエジソンが白熱電球を発見し、20世紀になって、夜でも太陽光と同じような見え方ができる蛍光ランプが発見されると、生活スタイルが大きく変わっていきました。住宅照明の光源のほとんどは、白熱電球と蛍光ランプです。特に日本の住宅においては、効率良く高い照度を得ることが望まれ、結果として蛍光ランプが多く使われています。しかし、本来は部屋の目的や望まれる雰囲気に合わせて最良の照明を選ぶことが大切です。
蛍光ランプは、白熱電球に比べて少ない電力で効率よく照明できますので点灯時間の長い場所や照度を高くとりたい場所に向いています。最近では、明るく、物の見え方に優れ、光色も選べる3波長域発光形蛍光ランプが普及してきました。昼光色蛍光ランプの青白い光は、緊張感をもたらすので勉強部屋や仕事部屋などに向いています。リビングや和室、寝室に使用する際は、暖かみのある電球色蛍光ランプや温白色蛍光ランプをお奨めします。
一方、白熱電球は暖かみのある光色なので団欒や安らぎの場に向いています。明るさを抑えると落ち着いて心が和むような印象になります。食べ物を美味しそうに見せる効果があるので、ダイニングにも向いています。また、自然な陰影がロマンチックな雰囲気を作り出してくれるので、演出的な効果を狙う際に是非お奨めします。寿命は蛍光ランプに比べて短く、長時間点灯する場所での使用には適しません。トイレや玄関灯などに向いています。生活スタイルの変化とともに住宅空間への要求は「住む」ことから「生活を楽しむ」ことに変化しています。インテリアをコーディネートする際、照明にも十分な考慮が必要です。単なる明るさの追求ではなく、雰囲気作りや演出を考え、精神的なくつろぎ感や安らぎ感が得られる照明であることが望まれます。また、照明器具はインテリアに調和したデザインで、配光(直接照明、間接照明、半間接照明)も考えて選んでいただきたいと思います。
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