文化講座
アルツハイマー病予防
アルツハイマー病は認知症を代表する病気で新しいことを記憶する力が衰えることが特徴です。
神経細胞はシナップスを介してネットワークを作っています。
脳の活力が保たれるのはシナップスで前回に取り上げたグルタメートの介在で繋がっていくのです。
アルツハイマー病などの認知症はアミロイドベータが沈着(アミロイド斑)して機能が殺されるとされています。
脳は体が使うエネルギー全体の20~25%を消費します。
多くのエネルギーを使う脳は老廃物も沢山作られることになります。
しかし、睡眠でも特に熟睡中には蓄積した老廃物の除去が盛んになります。
アミロイド斑がシナップスに沈着し始めると脳細胞の内で掃除役を担うミクログリアと呼ばれる細胞が除くのです。
しかし、その限界を超えて蓄積するとシナップスが障害されて破壊されることになります。
そうなるとネットワークが働かなくなるのです。
新しいことを記憶する力が低下します。
特に、脳の内で海馬と名付けられている領域のネットワークが破壊されると記憶力が悪くなる原因となるのです。
記憶力を落とさないためにはシナップスでグルタメートの伝達システムを落とさないことが大切になります。
前回に述べたようにグルタメート自身がシナップスを障害する原因になるのです。
ストレスをコントロールして熟睡やマインドフルネスなどによって脳を休ませることが、予防のレッスンワンとなります。
アミロイド斑が蓄積して障害されたシナップスは容易に回復することが出来ません。
そうすると、ネットワークが働いて従来の記憶を担った経路は働かなくなって新しいことを覚えることが困難になります。
予防するためには新しいことを学び、知的活動によってシナップスを増すことが重要なのです。
脳は新しいネットワークルートを発展させる記憶予備力があるからです。
ドリルやパズルのような知識を呼び起こし取り出すだけの学習や創意工夫のない繰り返しではシナップスは回復しません。
それ故に、アルツハイマー病予防は常に新しいことに興味を持って実行することが重要なのです。