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インターネット公開文化講座

文化講座

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「天命起臥之道」に生きる

Dr.BEAUT・ソフィーリッチ代表
医学博士 山中 直樹

「新考える葦・New-Thinking Reed」となろう-12

 情報技術が急速に発展して個人や社会が自然環境も含めて大きく変わっています。
 今や、資本主義時代が終わってポスト資本主義社会となる可能性が高くなっています(「ポストキャピタリズム 資本主義以後の世界」ポール・メイソン)。
 情報通信技術(ICT)を用いた代表的な企業、GAFA(G:グーグル、A:アップル、F:フェイスブック、A:アマゾン)として知られる独占的な企業によってプラットフォーム(いろいろな技術の基盤となる技術の基礎)として独占状態となり、個人個人の行動や生活傾向をビッグデータとして集めて利用しています。
 ビッグデータ情報を独占するGAFAなどによってサイバー独裁デジタル封建主義社会が出現する可能性があるのです。
 民主主義社会の基本となる普遍的な人権自由、平等が否定される危険な段階です。
 今や、世界の1%ぐらいの人たちに富も集中して貧富の格差も深刻化しています。

 この8月14日に「資本主義の終わりか、人間の終焉か?未来への大分岐」(集英社新書)が出版されました。
 情報、知能や資本主義、富の独占が起こす問題とその解決法を考えさせる重要な本です。
 史上最年少でドイッチャー記念賞を日本人として初めて受賞した若き斎藤幸平が世界の知性との議論を集めて編集した本です。
 対談している人たちの一人、マイケル・ハートは「〈帝国〉-グローバル化の世界秩序とマルチチュードの可能性」で、民主的に共有されて管理される〈コモン〉から出発して国家や権力者には統制されないような社会の重要性を指摘しています。
 マルクス・ガブリエル「なぜ世界は存在しないか」の名著で知られ、ドイツのボン大学教授に史上最年少でなりました。
 日本でもNHK の「欲望の資本主義」シリーズに出演し、事実を基にした新実在論で日本人に多い相対主義による民主主義の危機と人間の終焉の可能性を指摘しています。
 また、ポール・メイソンは英国ガーディアン紙の経済ジャーナリストで資本主義は情報テクノロジーによって崩壊するとしています。
 編集者の斎藤幸平社会的協働的経済への変換とピラミッド型の上下関係のヒエラルヒーのない水平的なネットワークによる情報の民主化が重要だとまとめています。

 私は縄文時代の集落を基本とした平和なネットワーク社会が重要だと思っています。
 仕事以外の生活・人生がある人間性に重きを置いた生活をすることが重要だと指摘しています。
 多くの人達がこの本を読んで情報技術時代も人類が「考える葦」であり続けるように一人ひとりが自分自身の考えを持とう。
 周りをうかがいながらの相対主義思考は止めましょう。
 独占的な情報技術とデータを持った極一部の人達とAIロボットに支配されないように!

「天命起臥之道」に生きる
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